「相続した家を売ろうとしたら、建物が登記されていないことが発覚」
そんな時、「未登記のままでも売れるの?」と疑問に思う方は多いはずです。
不動産の売買において建物の登記は法律上「絶対に必要」というわけではありません。ただし、登記がされていない物件は、買主が住宅ローンを使えなかったり、大規模なリフォームができなかったりするため、買い手が限られてしまいます。
そのため、売却までに時間がかかったり、価格交渉で不利になってしまうこともあります。
そこで本日は、登記されていない建物の売却について話してまいります。
目次
なぜ登記されていない建物があるのか?
建物を所有しているなら、登記されているのが当たり前と思われがちですが、実はそうとも限りません。
次のような事情で、建物の登記がされていないケースがあります。
住宅ローンを使わず、現金で家を建てたり購入した場合
通常、住宅ローンを組んで建物を建てたり購入する場合、金融機関が抵当権(担保)を設定するために登記が必須です。
しかし、現金一括で建てたり買ったりした場合には、金融機関が関与しないため登記をしないケースが見られます。
昔は建物登記が厳格に義務化されていなかった
- とくに昭和の時代やそれ以前に建てられた建物では、登記をしていないケースが多くあります。
- 昔は登記への関心や必要性が低く、自治体や工務店側も積極的に案内していませんでした。
増築・改築した部分だけ未登記
建物の一部をリフォームや増築したけれど、その部分だけ未登記ということもあります。
登記されていない建物でも売却は可能?
未登記でも売却はできるが、実際は少ない
登記とは、法務局にその建物の情報(場所・構造・所有者など)を登録することです。
しかし、建物を登記していないからといって「売れない」というわけではありません。
ただし、次のような問題が生じることがあります。
- 買主が住宅ローンを組めない
- 建築確認申請が必要な工事が認められない
- 所有者の証明ができない
そのため、実際には登記を済ませてから売却することの方が多くなります。
売却のために必要な登記とは?
未登記建物を売却する際、次の登記申請手続きが必要です。
表題登記(建物の存在を登記する)
- 建物を土地家屋調査士が調査・測量し、「表題登記」を行います。
- 所在地・構造・床面積などを登録します。
所有権保存登記(名義を登録する)
- 建物の所有者を法務局に登録します。
- 相続が絡む場合は、相続登記も併せて必要になります。
登記にかかる費用・日数はどれくらい?
申請手続き | 依頼先 | 費用の目安 | 期間の目安 |
---|---|---|---|
表題登記 | 土地家屋調査士 | 約5万~15万円 | 1〜2週間 |
所有権保存登記 | 司法書士 | 約3万~10万円 | 1〜2週間 |
※相続人が複数いる場合や、連絡が取りにくい相続人が含まれている場合は、手続きが長期化し、追加費用が発生します。
まとめ|ほとんどは登記してからの売却になる
登記されていない建物でも売却することはできますが、買主がローンを使えなかったり、建物の工事が制限されたりと、売却のハードルが高くなります。
こうした事情から、登記を済ませたうえで売却するのが一般的です。