相続した山林・農地を処分したい!手放す前に知っておくべき法的ポイント

相続山林・相続農地

皆さま、こんにちは!
高知で相続不動産の売却・処分を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。

「使い道のない山林や農地を相続してしまったけれど、どう処分すればいいのかわからない…」そんなお悩みを抱えている方はいませんか?

相続した土地が農地や山林だと、売るにも貸すにもハードルが高く、「負動産」として放置されがちです。

しかし、正しい法的知識を持てば、処分の選択肢は大きく広がります。農地法や森林法などのポイントを押さえておくことで、スムーズな売却や引き渡しが可能になります。

実際、相続した山林や農地をスムーズに手放せた方は、事前に「用途の制限」「届け出の義務」などをしっかり確認しています。

そこで本日は、相続した山林・農地の処分で押さえるべき法的ポイントについて話してまいります。

農地と山林、それぞれに異なる“法律の壁”を理解しよう

農地は「農地法」がカギ!勝手に売ることはできない

相続した土地が「農地」に該当する場合、売却や賃貸の前に必ず知っておきたいのが「農地法」です。農地法は、農地の無秩序な転用や投機を防ぐために定められており、主に以下の3条・4条・5条がポイントです。

  • 農地法第3条:農地として売買・貸借する場合の許可
    相手が農業を行う者でないと基本的に許可が下りません。
  • 農地法第4条:農地を自分の目的で転用する場合の許可
    農地を駐車場や資材置き場にしたいときなどに必要です。
  • 農地法第5条:農地を他人に売って転用してもらう場合の許可
    他人に売却して、その人が非農地用途で使う場合に必要です。

例えば、農業をしていない一般の方が農地を購入し、別の用途で利用しようとしても、適切な申請を行わなければ違法となります。行政への「許可」や「届出」が必要になります。

「農地として登記されているか?」を確認

処分を考える前に、まず法務局で「登記簿謄本」を取得し、地目が「田」「畑」となっていないか確認しましょう。
農地とされていれば、そのままでは住宅用地や売却地として活用できないケースが多いです。

場合によっては、市町村の農業委員会に「農地転用届」を出して、非農地化の手続きを行う必要があります。
なお、すでに耕作されておらず、実態として農地でない場合には、「非農地証明」を取得することで、農地法の制限を受けずに処分できるケースもあります。

山林には「森林法」が!伐採や転用にも制限がある

山林の処分にも「森林法」という法律が関係してきます。とくに注意したいのが以下の点です。

  • 森林計画区域内の伐採には事前の届出や許可が必要
  • 山林を転用(別の用途に使う)には都道府県知事の許可が必要
  • 保安林指定がある場合は一切の伐採や転用が禁止されることも

まずは市区町村の農林課や県の林業事務所に、対象地が森林計画区域内かどうかを確認しましょう。
必要な届出や許可の申請がある場合には、手続きに精通した行政書士に相談することで、スムーズに進めることができます。

処分の前に確認したい手続き

相続登記は済んでいる?未登記では売却も不可

相続した土地は、まず「相続登記」を済ませて「あなたが正式な所有者」であることを証明する必要があります。
2024年4月からは相続登記が義務化されており、3年以内に手続きをしないと過料(罰金)の対象になることもあります。

相続登記をしていない土地は、売却も譲渡もできませんので、まずは法務局での登記を済ませましょう。

    地目変更や境界確認も重要な準備

    農地や山林の処分では、「地目変更登記」や「境界確定測量」も必要になるケースがあります。

    • 地目変更登記:農地を宅地に変える場合などに必須です。
    • 境界確認:隣接地との境界トラブルを防ぐために必要です。
    • 測量図の作成:売却するためには確定測量図が求められる場合もあります。

    具体的な譲渡先が決まってからでも構いませんが、測量や地目変更、境界の確認といった手続きには専門的な知識が必要です。取引をスムーズに進めるためにも、事前に土地家屋調査士に相談しておくことをおすすめします。

    処分の選択肢とその判断基準

    売却、0円譲渡、国庫帰属制度…何を選ぶべき?

    処分方法には主に次のような選択肢があります。

    • 通常売却
      ・条件が整っていれば売却可能
      ・農地法や森林法の許可が必要
      ・契約書作成と名義変更登記が必要
    • 0円譲渡(無償譲渡)
      ・引き受け手がいれば有効な手段
      ・農地法や森林法の許可が必要
      ・契約書作成と名義変更登記が必要
    • 相続土地国庫帰属制度の活用
      ・どうしても引き取り手がいない場合に有効
      ・一定の条件と審査があるため、誰でも使えるわけではない
      ・専門家の活用が有効

    判断基準は「将来的な管理コスト」と「手間」

    「相続しても管理できない」「今後も使う予定がない」という場合は、固定資産税・草刈り・境界管理などの維持コストを考えると、早めの処分が有利です。
    とくに山林の場合、放置されたままだと倒木や土砂災害のリスクも高まり、万が一被害が発生した際には所有者としての責任を問われる可能性もあります。

    放置してしまうと、いざ処分しようとしたときに手続きが増えたり、隣地とのトラブルが起こったりするリスクがあるため、注意が必要です。

    まとめ|処分は“急がず、でも放置せず”が正解

    相続した山林や農地は、住宅地よりも処分が難しく、法律や手続きのハードルも多くあります。
    しかし、事前にしっかりと確認と準備をしておけば、たとえ山林や農地であっても、売却や譲渡といった方法で手放すことは十分に可能です。

    専門性が求められるご相談にも、福島屋は丁寧にお応えします。高知の相続不動産に関するお悩みは、お気軽に無料相談をご予約ください。