皆さま、こんにちは!
高知で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい不動産を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。
親から賃貸マンションを相続したものの、「消防設備の設置や点検にお金がかかりすぎる」と不安を抱えている方は少なくありません。
管理会社に任せているけど、「どの設備が本当に必須なのか分からない」「もし違反したら営業停止になるの?」と疑問を感じているオーナーも多いと思います。
実際、消防設備に関する義務は所有者が変わってもそのまま引き継がれるため、相続直後こそ確認が欠かせません。
そこで本日は、消防法・建築基準法・高知市火災予防条例を踏まえ、
について、相続オーナーの視点でわかりやすく解説します。
なお、先日大阪市内で起きたビル火災では、消防隊員2名が殉職するという痛ましい事態となりました。
調査の結果、このビルでは自動火災報知設備の一部未設置やスプリンクラー設備の未設置など、計6項目にわたる法令違反が確認されています。
目次
相続した賃貸マンションに引き継がれる消防設備の義務
親から賃貸マンションを相続すると、消防設備の設置・維持管理・点検・報告の義務は新しいオーナーにそのまま引き継がれます。
消防法や建築基準法は「所有者・管理者」に義務を課しているため、相続による所有者変更で免除されることはありません。
注意すべきは、前オーナーが長年点検を怠っていた場合でも、新オーナーがそのまま是正責任を負うという点です。
相続直後こそ「設備の有無」「点検記録の有無」を確認することが重要です。
消防設備ごとの義務内容(共同住宅の場合)
消火器
- 共同住宅は延べ面積150㎡以上で設置義務あり。
- 製造から10年以上の古い消火器は更新が必要。
自動火災報知設備(自火報)
- 共同住宅は延べ面積500㎡以上で設置義務あり。
スプリンクラー設備
- 11階以上の高層建築物で原則必須。
- 地下・無窓階・高齢者施設併用など、条件により追加設置義務あり。
誘導灯・避難器具
- 3階以上で片階段・収容10人以上、または2階・地階で収容30人以上のとき義務化。
築古マンションでは、建築当時は不要だった設備が今は義務になっているケースが多いため要注意です。
防火管理者の選任義務
- 収容人員50人以上:防火管理者の選任義務。
- 延べ面積500㎡以上:甲種防火管理者が必要。
- 高知市火災予防条例でも、選任や届出を怠れば是正命令や罰則の対象になります。
管理会社に委託していても、最終責任はオーナーです。
消防用設備等の点検報告(高知市火災予防条例)
- 報告時期
共同住宅は3年に1回報告 - 点検期間
6ヵ月に1回 - 報告義務者
所有者・管理者・占有者のいづれか
高知市消防局の案内でも明記されているとおり、相続直後は必ず過去の点検・報告記録を確認し、なければ速やかに対応する必要があります。点検や報告を怠ったままでは罰則の対象となる可能性があり、火災が発生した場合には重大な過失責任を問われるリスクもあります。
違反した場合の罰則と行政処分
- 消防法の罰則
- 行政処分
「営業停止」という言葉は、マンション経営そのものではなく、民泊や旅館業を営んでいる場合に適用される点に注意しましょう。一方、通常の賃貸マンション経営の場合は「営業停止」ではなく、消防法に基づき「使用停止命令(建物の使用禁止措置)」や「是正命令」が出されることがあります。これに従わないと罰則(懲役・罰金)の対象となり、入居者を住まわせられない=事実上の賃貸経営停止に追い込まれる可能性があります。
コストを抑えるポイント(相続オーナー向け)
- 既存設備を点検・活用
既存設備を点検・活用すれば、更新や改修で済み、費用を抑えられます。 - 複数棟の点検を一括依頼
相続物件が複数ある場合はまとめて業者に依頼し、コスト削減。 - 補助制度・税制特例を活用
高知市や国の補助制度が適用される場合があります。 - 早めの対応で余計な出費を防止
違反で命令が出てから工事すると、緊急対応で高額になるケースも。
まとめ|消防設備の違反は大きなリスクに
相続した賃貸マンションでは、消防設備の設置・維持管理・点検・報告義務がすべて新しいオーナーに引き継がれます。
もし違反があれば、
- 是正命令や使用停止命令が出される可能性がある
- 従わなければ懲役や罰金の罰則を受ける
- 結果的に入居者を住まわせられず、事実上のマンション経営停止につながる
という深刻なリスクを抱えることになります。
一方で、消防法・建築基準法・高知市火災予防条例に基づき、必要な設備を整え、定期点検と報告を怠らなければリスクは回避可能です。
費用は業者ごとに異なるため、少なくとも3社から見積もりを取ることをおすすめします。