皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい不動産を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。
不動産の売却を考えているけれど、「ローン残債や事業資金の借入がまだ残っていても、売れるの?」そんな疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、「抵当権や根抵当権がついた不動産でも、売却は可能」です。適切な手続きを踏めば、問題なく買主が見つかるケースは多々あります。
そこで本日は、抵当権・根抵当権がついた不動産でも売却できる3つの方法について話してまいります。
方法①:売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消する
完済すれば抵当権は消せる。売却前にやるべきことを明確に!
抵当権は、ローンを完済すれば抹消できます。
不動産の売却代金で残りの住宅ローンを支払うことで、売却時に抵当権を抹消できます。
銀行は“残債がなくなれば”担保にこだわらない
抵当権は、貸したお金を回収するための“保険”のようなものです。
住宅ローンが完済されれば、銀行は担保にこだわりません。
ですので、「売却価格 ≧ 残ローン」であれば、問題なく売却できます。
実際の流れ(住宅ローン付き戸建ての場合)
- 売却活動を開始
- 買主が決まった段階で「売買契約」
- 売却代金からローン残債を“金融機関に直接”返済
- 同時に「抵当権抹消登記」を司法書士が実施
- 抵当権が外れた状態で、買主に所有権移転
このように、“売却と同時に完済→抵当権抹消”という流れは実務上よくあるケースです。
ローン残高がわずかでも“抵当権付き”なら要注意!
完済間近の物件であっても、登記簿上に抵当権が残っていれば、そのままでは売却できません。
まずはローンの残高と返済条件を確認することから始めましょう。
方法②:金融機関と交渉して“売却許可”を得る
売却価格がローン残債を下回る場合は「任意売却」という手も
残債より売却価格が低いとき、売却代金ではローンが完済できません。
その場合でも、融機関と交渉して売却を認めてもらう「任意売却」という方法があります。
貸主にとっても「回収できるだけ回収する」方が合理的
ローンを滞納して差し押さえや競売になれば、金融機関の回収額も大幅に減ってしまいます。
そこで、話し合いにより市場価格で売却 → 売却代金を返済に充当、という流れを許可してくれるのが「任意売却」です。
任意売却の流れと必要な対応
- 金融機関に「任意売却の相談」を持ちかける
- 売却価格や残債との差額、支払い計画について合意
- 不動産会社と媒介契約を結び、販売スタート
- 買主が決まり次第、銀行が「抵当権抹消」に応じる
なお、任意売却は時間と金融機関との交渉が必要になるため、経験のある不動産会社のサポートを受けると安心です。
方法③:根抵当権は未使用なら抹消できる
根抵当権=借金の「枠」なので、必ずしも使われていないことも多い
根抵当権とは「将来発生するかもしれない借金」のために設定される権利です。
必ずしも実際の借金があるとは限りません。
ですので、根抵当権付きでも売却できることがあります。
未使用なら抹消に応じてもらえる
例えば「根抵当権:極度額5,000万円」と設定されていても、実際に借入が使われていなければ、抵当権者(銀行など)に依頼すれば抹消してもらうことが可能です。
根抵当権は相続したら引き継がれない?
根抵当権は「借金の枠」のようなものなので、相続しても自動的に引き継がれるわけではありません。とくに、借入を予定していた人(債務者)が亡くなると、その借入枠の効力は終了し、根抵当権も“新たに使うことができなくなる”状態になります。
古い実家に設定されたままのケース
よくあるのが、親が過去に事業用借入のために設定した根抵当権が、40年近く放置されたまま残っているケースです。
こうした場合、金融機関に調査依頼をかけて「使われていない」ことを確認し、抹消手続きに進むことが可能です。(※登記簿だけでは使用状況はわかりません)
根抵当権は“実体を把握”してから動こう
- 実際に借金はあるのか
- 債務者は誰か(他人のケースもある)
- 抹消の同意を誰から得る必要があるか
こうしたポイントを事前に整理することで、根抵当権付き不動産でもスムーズな売却が可能です。
まとめ|諦める前に“専門家に相談”がカギ
抵当権や根抵当権がついた不動産でも、状況に応じた対処法で売却は可能です。
- 住宅ローンが残っていても、売却代金で完済できれば抹消できる
- 任意売却という手段で売却を認めてもらえる
- 根抵当権は使われていなければ抹消できる
不動産に抵当権や根抵当権がある場合、大切なのは「今の状況を正しく知ること」です。
不安を感じている方は、専門家に相談することが解決へのカギとなります。