みなさん、こんにちわ!
株式会社福島屋代表の上田です。
相続した実家や土地を売却するとき、「重要事項説明書」という専門的な書類にサインする場面があります。
しかし、内容をよく理解せずに進めてしまい、「説明されていたはずなのに、よく聞いていなかった!」と後々トラブルに発展するケースも少なくありません。
重要事項説明書は、不動産取引における最重要書類ですが、聞きなれない言葉が多く、内容がとても分かりづらくなっています。
そこで本日は、相続不動産の売却時に「重要事項説明書」で確認すべき注意ポイントを話してまいります。
重要事項説明書とは?そもそも何のためにあるの?
重要事項説明書は、不動産の購入・売却時に「後悔しないようにするための説明書」です。とくに相続不動産の売却では、相続人が“知らなかった欠点”に気づくための大事な役割を果たします。
不動産の取引には、さまざまな法律やルールが関係しています。中でも「宅地建物取引業法」では、不動産を売買・賃貸する際に不動産会社が仲介に入る場合、宅地建物取引士(宅建士)が、買主や借主に対して『重要事項説明』を行うことが義務付けられています。
この説明に使われるのが重要事項説明書(35条書面)です。
例えば、売却しようとしている実家が「再建築不可」の土地だった場合です。重要事項説明書には「接道義務に適合していない」と記載します。
また、都市計画法や建築基準法に基づく制限や、越境・通行地役権・上下水道の引き込み状況など、細かい内容が記載されます。
重要事項説明書は、一般の人には分かりにくい、不動産の隠れた欠点やリスクを見える形にしてくれる、大切な書類です。売主側もきちんと説明を受けて内容を理解すれば、安心して相続した家や土地を売ることができます。
見落とされやすい「重要事項」の8つのポイント
重要事項説明書には注意すべきポイントがあります。ここを見落とすと、思わぬトラブルになることがあります。
- 接道状況(再建築の可否)
公道か私道か、幅員は?再建築ができる土地かどうかの確認。 - 用途地域・建築制限
工業地域や市街化調整区域など、用途地域の建築制限を確認。 - ハザードマップによる災害リスク
洪水・土砂崩れ・津波など、その土地が災害の危険がある場所にあるかどうかと、そのリスク度の確認。 - 越境・隣地境界・通行地役権の有無
隣地の建物や塀が敷地内に入っていないか?通行地役権がある場合は、書面で契約されているか?の確認。 - インフラの整備状況
上下水道・ガス・電気などが確実に引き込まれているかの確認。 - 建物の状態
雨漏り、シロアリ被害、屋根や壁の破損、地盤沈下、建物の傾き、床のきしみ、設備の不具合、配管の劣化などの確認。 - 近隣の状況(騒音・トラブル・嫌悪施設など)
近くに大きな工場があってうるさくないか?夜に騒ぐ人がいないか?墓地やゴミ処理場など、買う人が気にする施設(嫌悪施設)が周囲にないかの確認。 - 管理規約や共有部分の取り決め(マンションの場合)
共有部の修繕積立金やペット禁止、ゴミ当番などの取り決めの確認。
この8点をしっかり把握しているだけで、トラブルリスクは大幅に減らせます。専門用語が多くて分かりにくいと感じたら、そのままにせず、宅地建物取引士に具体的な意味を質問して確認しましょう。
重要事項説明書を読み解くコツと注意点
重要事項説明書は“理解”が大切です。単なる確認書ではなく、「あなた自身が納得して理解するための資料」と考えてください。
宅地建物取引士が説明してくれるとはいえ、全てを丸投げして安心するのは危険です。実際に起こるトラブルの多くは、売主・買主のどちらか、あるいは双方が「説明は受けたつもりだったけれど、内容をちゃんと理解していなかった」ことが原因になっています。
とくに相続した実家などの売却では、相続人が把握しきれていない重要事項が多く、リスクが埋もれがちです。
重要なのは、以下のような姿勢です。
- 「分からない」と思ったらその場で質問
- 「この記載、どういう意味ですか?」と繰り返し確認
- 不安なら第三者(不動産に詳しい弁護士・司法書士・他社の宅地建物取引士など)にも重要事項説明書を見せてセカンドオピニオンをもらう
重要事項説明書は、後で起こるかもしれないトラブルを防ぐために、とても大切な書類です。だからこそ、書いてある内容を自分でしっかり理解して、納得できるまで確認することが大事です。
まとめ|よくわからないまま売るのは危険
相続不動産の売却は、よくわからないままサインが一番危険です。
宅地建物取引士が説明してくれるとはいえ、その説明は一度限りです。内容を自分自身で理解しておかないと、後から「そんなつもりじゃなかったのに…」という事態にもなりかねません。
相続不動産の売却では、物件の状態や権利関係が複雑なこともあり、重要事項説明書の読み落としでトラブルになるケースがあります。
買主にとって不利になりそうなことは、もれなく書面に記載し、しっかり説明することが大切です。