増える負動産引取業者!国のメスは入る!?不動産引き取りビジネスを徹底解説

不動産引取り業者に国のメス

皆さま、こんにちは!
高知で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい不動産を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。

最近、「負動産引取りサービス」をうたう広告を、インスタグラムなどのSNSで見かける機会が増えてきました。
しかし、この新しいビジネスモデルにはさまざまな問題があることから、国土交通省も制度整備の検討を始めているようです。

通常、不動産の売買や仲介に業者が関わる場合には、「宅地建物取引業法」によって消費者保護のルールが定められています。

ところが、この“負動産引取り”については、現行の法律に明確なルールがなく、取引の安全性が担保されていないのが現状です。

そこで本日は、近年急増している「負動産引取りサービス」について話してまいります。

売れない不動産を“有料で引き取る”ビジネスが急増中!

「負動産(ふどうさん)」という言葉を聞いたことはありますか?

これは、持っているだけで固定資産税や維持管理の費用がかかり、売ろうにも買い手が見つからない「負担になる不動産」のことです。とくに地方や山間部では、こうした不動産を抱えて困っている方が急増しています。

そんな中、「処分に困った不動産を有料で引き取ります」といった広告を掲げる業者が増えています。一見すると救世主のようにも思えるこのサービスですが、注意が必要です。

なぜ“負動産引き取りビジネス”が増えているのか?

少子高齢化と地方の過疎化が背景に

近年、日本では高齢化と人口減少が進み、とくに地方では家や土地を相続しても使い道がなく、管理しきれずに放置されるケースが目立ちます。

  • 山奥の土地
  • 接道がない土地
  • 老朽化した古い空き家
  • アクセスの悪い別荘

こうした物件は、不動産会社でも「売れない」「扱えない」と判断され、所有者が手放す方法を見失ってしまいます。

負動産引き取り業者の登場

そうした需要に目をつけたのが、いわゆる「負動産引き取り業者」で、所有者やその相続人から不要な不動産を有料で引き取ります。

引き取りビジネスの仕組みと問題点

一見メリットがあるように見えるが…

確かに、所有者にとっては「どうしようもなかった不動産を引き取ってもらえる」という点で、大きなメリットがあるように思えます。
しかしその一方で、その裏には見過ごせない問題点も潜んでいます。

      引き取った業者が倒産するリスク

      引き取られた不動産は、その後の固定資産税や管理責任が業者に移りますが、一度きりの引取り料だけで、その土地や建物を将来にわたって維持・管理していくことは不可能です。

      将来的に業者が倒産し、土砂崩れや倒木・火事など予期せぬトラブルが発生した場合、責任の所在が不明確となり、最悪の場合には、元の所有者が責任を問われる可能性も否定できません。

      被害者は裁判を起こすことができますが、訴える相手の業者が倒産してしまっている場合は、前所有者に責任追及が及ぶ可能性があります。その場合、最終的には裁判所の判決によって判断されることになります。

      どんな田舎のボロ家でも買い取りますに注意!

      「どうせ田舎の売れない家だし、お金にならなくても引き取ってもらえるなら…」と安易に考えるのは要注意です。
      実際には“買い取り”ではなく、説明を受けるうちに名義変更や処分費用などの支払いが前提になっていたというケースもあります。

      後から「思っていた話と違う」とならないよう、「どんな物件でも買い取る」という甘い言葉の裏にリスクが潜むことを念頭に、冷静かつ慎重に判断することが大切です。

      国の視点から見ると──「土地は国のもの」という原点

      今から約150年前、明治時代の「地租改正」で、ようやく土地の所有権が民間に認められた日本。それまでは、土地はすべて“国のもの”でした。

      私たちはいま、「土地を持つ権利」と「土地を維持する責任」をセットで引き継いでいます。

      ですが、人口減少が進み、使われない土地が増えるなかで、

      「もう、民間では管理しきれない」
      「やっぱり土地は国が管理すべきでは?」

      という声が、都市政策の研究者をはじめとする専門家の間でも、近年ますます高まってきています。

      国も動き出している?「相続土地国庫帰属制度」の登場

      こうした流れを受けて、2023年にスタートしたのが「相続土地国庫帰属制度」です。

      この制度では…

      • 相続した不要な土地を国に引き取ってもらえる
      • 一定の条件を満たせば、名義ごと国に移すことができる
      • 原則として1筆あたり、審査手数料14,000円+負担金20万円が必要

      という仕組みです。

      建物が残っている土地や、特別な問題を抱えている土地は対象外ですが、「正当な手続きを踏んで手放したい」と考える方にとっては、安心して活用できる制度です。

        まとめ|国のメスが入る日は近い

        お金を支払ったにもかかわらず名義変更が行われない、所有者としての管理義務を怠るといったトラブルが相次いでいることから、国土交通省などの行政機関でも「負動産引取り業者」に対する規制強化の検討が進められています。

        「土地は個人が自由に持つ時代から、社会全体で管理する時代へ」

        土地価格が安定しているのは、人口が集中している都市部や市街地に限られます。

        固定資産税が得られるかどうか以前に、国土を守るという視点に立つなら、崖地や接道条件の有無にかかわらず、使われなくなった土地は最終的に“国が管理すべきだ”と私は考えています。

        専門性が求められるご相談にも、福島屋は丁寧にお応えします。高知の相続不動産や空き家、売却・処分が難しい不動産に関するお悩みなら、まずはお気軽に《無料相談をご予約》ください。