ご相談者:高知県高知市N様
物件所在:高知県高知市
目次
ご相談内容
昨年、母親から築65年の木造アパートを相続しました。
しかし、最後の入居者が退去して以降、数年が経過し、建物はさらに老朽化が進んでいます。
立地は良いのですが、アパートが建っている土地は「旗竿地」であり、接道義務を満たしていないため再建築不可とされていることが判明しました。
「このまま持ち続けても維持費だけがかかる」「取り壊しても更地として売れない」——
そんな行き詰まった状態に頭を抱えて、ご相談に来られました。
物件の状況整理
- 建物は築65年の木造アパートで、老朽化が激しい
- 最後の入居者が退去してから数年が経過
- トイレとお風呂は共同仕様で、現在の賃貸ニーズに合っていない
- 土地は旗竿地(竿部分が狭く、公道との接道が2m未満)
- 接道義務を満たしておらず、建物の再建築ができない「再建築不可物件」
- 建物は空き家状態だが、立地条件は良好(駅や市街地に近い)
ご提案した解決策
「再建築不可」でも、アイデア次第で売却の道は開ける
まず、当社にて現地調査および簡易診断を行ったところ、建物は著しく傷んでおり、そのまま居住用として貸し出すのは難しい状態でした。
しかしながら、立地のポテンシャルは高く、リフォームによって再活用できる見込みがあると判断しました。
特に、シェアハウスやDIY志向の方にとっては「格安で立地の良い建物」というニーズがあります。
再建築不可物件の現実的な課題
- リフォーム費用に対する回収リスク
- 再建築できないことで、建物の老朽化が進んだ際の出口戦略が限られる
- 金融機関の融資が付きにくく、購入者層が限定される
- 周辺住民や隣地所有者との関係性が売却に大きく影響する
これらの制約がある中で、できるだけ広い層に物件の魅力を伝える工夫が求められました。
2つの活用・売却案をご提案
以下の2つのルートを想定し、同時並行で対応を進めました。
① DIY向けの投資用シェアハウスとして販売
老朽化や再建築不可といったネガティブ要素を逆手に取り、「古いからこそDIYがしやすい」「風情ある建物を自分流にアレンジできる」といった魅力を押し出しました。
物件紹介記事のタイトルは、
「DIY好き必見!再建築不可シェアハウス用アパート」
SNSやポータルサイトに掲載したところ、想像以上に多くの不動産投資家やDIY愛好家から資料請求をいただきました。
② 隣地所有者への打診
もうひとつのルートとして、隣接地の所有者様へ挨拶を兼ねてご訪問しました。
その際、「今後内覧希望者の出入りが増える可能性がある」旨をご説明したところ、こちらが密かに期待していた一言が返ってきました。
「他の人に買われるくらいなら、うちで買いたい。」
実はこの隣地所有者様、再建築不可を解消できる「接道要件を満たす土地」を所有していたのです。
そのため、再建築不可を“解消できる買主”として、最も適した候補者であると判断しました。
再建築不可でも買主が現れる理由とは?
再建築不可の物件でも、下記のようなケースでは売却が成功しやすくなります。
条件 | 買主候補 |
---|---|
隣地所有者が接道部分を持っている | 増築や建替え目的で購入される可能性大 |
リフォームや建物活用を前提とした投資家 | 賃貸化・シェアハウスなど収益化を狙う |
築古の“味”を求めるDIY愛好家や地元の工務店 | リノベーション素材として評価される |
つまり、「誰に売るか」を戦略的に考えることで、一般的に難しい物件でも売却の糸口が見つかります。
最終的な解決
再建築不可の鍵は、隣地との連携にあり
最終的には、お隣の土地所有者がご相談者さまのアパートを購入されました。
この結果、「再建築不可」という最大の課題が解消され、買主様にとっても接道を確保した上で相場よりも大幅に安く取得できるという、大きなメリットが得られました。
もちろん、資料請求をいただいた他の方には丁寧にお詫びをし、事情を説明いたしました。
結果的に、「再建築不可の物件こそ、隣地との関係が成功の鍵になる」とあらためて実感できた事例となりました。