相続不動産を売る前に知っておくべき!「契約不適合責任」のポイント5選

契約不適合責任と相続した不動産売却

皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい不動産を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。

親から相続した家や土地を売却しようとするとき、「建物のどこかに欠陥があるのでは?」「売った後に思わぬトラブルになるのでは?」と不安に思う方は少なくありません。

不動産を売却するときにもっとも注意しなければならないのが 契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任) です。

これは、売却した不動産が契約内容と違っていた場合に、買主から修理・代金減額・契約解除・損害賠償を求められる民法上ルールのことです。

とくに、「買主が購入した目的を達成できないとき」には注意が必要です。

契約不適合責任はあくまで売主が負う責任であり、仲介する宅建業者(不動産会社)に直接及ぶことはありません。

ただし、宅建業者には重要事項の説明義務や調査義務があるため、事実を隠したり説明を怠った場合には「説明義務違反」や「不法行為責任」を問われる可能性があります。

そこで本日は、相続不動産を売る前に必ず知っておくべき「契約不適合責任」のポイントを5つに整理して話してまいります。

ポイント① 契約不適合責任とは?

契約不適合責任とは、売却した不動産が 買主との契約内容に合っていない場合 に売主が負う責任です。

例えば、次のようなケースが典型例です。

  • 「知っていたらそんな金額で買わなかった」
  • 「知っていたらそもそも買わなかった」

これは単なる「雨漏り」や「シロアリ被害」といった 物理的な欠陥(物理的瑕疵) だけではなく、近所に迷惑住人がいるといった 心理的な問題(心理的瑕疵) も含まれます。

結局のところ、買主が購入した目的を達成できるかどうかが、契約不適合かどうかを判断する重要な基準となります。

  • 購入後に屋根や外壁の雨漏りが発覚
  • 静かに暮らしたかったのに、隣人の騒音で眠れない

こうした状況は「契約不適合」とされる可能性が高くなります。

ポイント② 売主(相続人)が知らなくても責任を問われることがある

「相続で引き継いだだけだから知らなかった」と言っても、売主は一定の責任を負う可能性があります。

なぜなら、不動産売買は「現状有姿(ありのまま)」で行われるケースが多いものの、明らかな欠陥や重要な事実を隠すことは許されないからです。

とくに次のような点には注意が必要です。

  • 横殴りの雨のときだけ雨漏りする(年に1回あるかないかでも告知すべき)
  • 近隣にトラブルメーカーがいるのに「第一種低層住居専用地域で閑静な住宅街です」とだけ説明する

不動産売却においては 「知らなかった」では済まされないリスク があることを理解しておきましょう。

ポイント③ 仲介業者の調査・説明義務も重要

不動産売却で大切なのが、不動産仲介業者(宅建業者)の役割です。

仲介業者には 調査・報告義務 があり、説明を怠れば買主から「説明義務違反」や「詐欺」に問われることもあります。

  • 近隣に聞き込み調査を行う
  • 物件の過去の修繕履歴を確認する
  • 不具合やトラブルの有無を売主に丁寧にヒアリングする

仲介業者は、裁判に巻き込まれないためにも、徹底した調査と正直な説明を行う必要があります。

ただし、仲介業者は建築士のような専門知識を持たないことが多いため、建物の調査は基本的に行いません。

心配な場合は、売主または買主の費用負担でインスペクション(建物状況調査)を受けることをおすすめします。

ポイント④ トラブル防止の基本は「正直さ」と「証拠」

契約不適合責任において大切なのは、 大義名分と正直な行い です。

「不動産売買だから特別に難しいことをしなければならない」わけではなく、常識的に考えておかしいことは隠さず伝えることが基本です。

  • 「どの人が聞いてもおかしい」と感じることは裁判官も「おかしい」と判断する
  • 説明した内容は口頭ではなく、必ず書面で残す
  • 裁判になった場合は、原告(買主)にも立証責任があるが、売主側も証拠を残しておくことが防御になる

「正直に伝え、書面で残す」ことが、もっともシンプルで効果的なトラブル防止策です。

ポイント⑤ 過去に裁判事例がないから安心とは限らない

不動産トラブルは、過去の裁判例がすべてではありません。

「この問題は判例がないから大丈夫だろう」と思い込むのは非常に危険です。

裁判では、契約不適合責任や説明義務違反の判断にあたり、一般論や社会的妥当性が基準になります

  • 欠陥やトラブルを「知らないふり」した
  • 欠陥やトラブルを把握していながら、必要な調査・説明を行わなかった
  • 問題を自分の感覚で「軽微」と軽く扱った

こうした対応をしてしまうと、万が一裁判になった場合に不利に働く可能性があります。

「常識的に考え、誰が見ても正しい行動をとる」ことこそが、最終的に自分を守る最も確実な方法です。

まとめ|相続不動産の売却は「正直な説明」と「証拠を残す」がカギ

相続した不動産は、相続人が気づかない建物や土地の問題によって、買主が購入した目的を達成できなくなる可能性があり、契約不適合責任に関する注意が必要です。

✅ 契約不適合責任とは、買主が購入した目的を達成できないときに売主が負う責任
✅ 「知らなかった」では済まされない可能性もある
✅ 仲介業者には調査・説明義務がある
✅ 正直に説明し、証拠(書面)を残すことが最強の防御
✅ 判例がなくても「常識的に考えておかしいこと」は裁判でも問題視される

不動産の売却は失敗すれば大きなリスクを背負う

例えば古い建物は、リスクを避けるため解体前提で「古家付き土地」として売られることが多いです。

ただし、売主が買主の居住目的を知っていながら契約に明記しなかった場合、建物の不具合で多額の費用がかかり住めないことが分かれば、買主の購入した目的が達成できないと判断される可能性もあります。

後のトラブルを避け、安心して不動産を売るには、『正直に説明する』ことと『証拠を残す』ことを徹底しましょう。

相続された不動産の売却・処分は、早めの対応が大切です。ご不安やお悩みのある方は、まずは《無料相談》をご利用ください。専門スタッフが親身にサポートいたします。