皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい不動産を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。
相続で引き継いだ不動産を売却しようとしたとき、よくあるお悩みが「取得費が分からない」という問題です。
購入時の契約書や領収書が残っていない古い相続不動産はとくに多く、この場合、通常は「概算取得費(売却価格の5%)」しか認められず、譲渡所得が大きく計算されてしまいます。
高知市や南国市をはじめ、高知県内の自治体では、都市計画区域内にある「低未利用土地等」を売却する場合、所得税や住民税を軽減できる特例が設けられており、一定の条件を満たせば節税が可能です。
そこで本日は、取得費不明の相続不動産売却で使える「低未利用地の特例」について話してまいります。
取得費不明の不動産を売却するリスク
- 5%ルールの適用
取得費が不明な場合、売却価格の5%を取得費とみなして計算します。
例:売却価格800万円 → 取得費はわずか40万円にしかなりません。 - 課税額が大きくなる
結果として課税対象となる譲渡所得が膨らみ、税負担が増加します。 - 古い不動産ほど資料が残っていない
昭和時代に購入した土地や建物は、売買契約書や領収書が残っていないことが多く、相続人が困る代表的なケースです。
低未利用地の特例とは?
「低未利用地の特例」とは、都市計画区域内にある空き地や空き家など、有効活用されていない小規模土地を譲渡した場合に、譲渡所得から最大100万円を控除できる制度です。
特例の主な要件
- 譲渡するのは都市計画区域内の低未利用地(空き地や空き家など)
- 譲渡価格が800万円以下 ※市街化調整区域の場合は500万円以下
- 売った年の1月1日において、所有期間が5年を超えること(長期譲渡所得)
- 売却後の利用見込みがあること
- 令和7年(2025年)12月31日までに売却したもの
この要件を満たすと、譲渡所得から100万円が控除され、税負担を軽減できます。

特例を使うとどれくらい違う?
例を見てみましょう。
- 土地の売却価格:400万円
- 取得費:不明(概算取得費20万円 *5%ルール)
- 譲渡所得:400万円 – 20万円 = 380万円
通常なら380万円が課税対象になりますが、
低未利用地の特例を使うと → 380万円 – 100万円 = 280万円
となり、課税対象が減少します。
さらに、この土地を4人で相続し、それぞれが4分の1ずつの持分を所有している場合には、各人の譲渡金額は100万円、譲渡所得は95万円となります。
各人に100万円の控除が認められるため、結果的に全員が非課税(課税対象0円)となります。
※わかりやすさのため、仲介手数料や登記費用などの取得費は計算から省略しています。
特例の申請方法
- 市区町村に相談
売却予定の土地、またはすでに売却した土地が特例対象かを確認。 - 確認書の取得
市区町村から「低未利用土地等確認書」を発行してもらう。 - 確定申告で添付
売却した翌年の確定申告時に、この確認書を提出する。

まとめ|取得費不明でも節税しよう
低未利用地の特例を活用すれば、長期譲渡所得から100万円控除でき、節税につながります。
放置されがちな相続不動産も、制度を活用すれば税負担を抑えつつ、賢く処分することが可能です。
また、「低未利用地」という名前のため、「土地だけの制度」と思われる方が多いのですが、建物が残っていても大丈夫です。
安心してご活用ください。