みなさん、こんにちわ!
株式会社福島屋代表の上田です。
不動産を売却したいと思ったとき、「いつ買ったか」や「どれくらい持っていたか」が税金に影響するってご存じですか?
不動産を売ったときの税金は「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」で課税率が大きく異なり、この差を知っているかどうかで、手取りが何十万円も変わることがあります。
そこで本日は、不動産の売却を検討している方が税金を多く払わないために、「短期vs長期」譲渡の違いについて話してまいります。
短期譲渡と長期譲渡の違いとは?まずは税率をチェック!
まず押さえたいのは「保有期間」で税率が変わるということ
不動産を売却して利益が出た場合(譲渡所得が発生した場合)、その利益に対して譲渡所得税が課税されます。
この税率は、その不動産をどれくらいの期間所有していたか(保有期間)によって大きく変わります。
区分 | 所有期間 | 税率(所得税+住民税+復興税) |
---|---|---|
短期譲渡 | 5年以下 | 39.63% |
長期譲渡 | 5年超 | 20.315% |
その差、約2倍です。
5年の数え方に注意!ポイントは「1月1日時点」
保有期間の計算で特に注意すべきなのが、「5年」という区切りの数え方です。
譲渡所得の「短期」「長期」は、売却した年の1月1日時点で、取得日から5年を超えているかどうかで判定されます。
例えば、2020年6月1日に取得した不動産を、2025年6月1日に売却する場合です。売却年の2025年1月1日時点で、取得から「4年7ヶ月」しか経っていないので、2025年中に売却した場合はすべて「短期譲渡扱い」になります。
2026年1月1日以降の売却から「長期譲渡扱い」(2026年1月1日時点で5年7ヶ月経過 → 5年超)になります。
取得日とはいつか?相続や贈与の場合は特例に注意
「取得日」がいつになるかも重要なポイントです。
- 通常の売買 → 売買契約日 or 引渡し日(実務上は引渡し日が多い)
- 相続 → 被相続人が取得した日を引き継ぐ
- 贈与 → 贈与を受けた日が取得日
相続で取得した不動産は「被相続人の取得日」をそのまま引き継ぐため、長期譲渡になることが多いです。
なぜここまで税率が違う?短期vs長期の仕組みと背景
短期譲渡=投機的?だから税率が高い
不動産をすぐに売って儲けようとする行動は、税金の面では“投機的なもの”と考えられます。そのため、あえて税率が高くされていて、ビジネス目的の儲けが出にくいしくみになっています。
長期譲渡=安定的な資産運用として優遇される
一方、長期間保有してきた不動産を売却するケースは、資産の移動や生活の変化に伴う売却と見なされ、税率が優遇されます。
つまり、「長く持ってくれた人の方が優遇される」という税の仕組みです。
税率だけじゃない!長期譲渡には他にも優遇措置が
長期譲渡になると、以下のような特例や控除の適用対象になるケースもあります。
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 所有期間10年超の軽減税率の特例(14%)
- 譲渡損失の繰越控除(住み替え時など)
※適用には要件があります。不明点がある場合は、税理士への相談が安心です。
短期で売るべきか?長期を待つべきか?判断ポイント
短期で売却した方がよいケースとは?
- 欲しい人がいて、今売ることで高く売れる
- 相続税対策や債務整理などで、早期の現金化が必要
長期まで待った方がよいケースとは?
- 売り急ぐ必要がない
- 長期譲渡の特例(3,000万円控除や所有期間10年超の軽減税率など)を使える見込みがある
迷ったら「手取り額のシミュレーション」を
税率の違いは大きいですが、実際に損か得かは「最終的な手取り額」で判断しましょう。不動産会社や税理士に「売却後の手取り額がいくらになるか」を試算してもらうのが一番確実です。
まとめ|節税のカギは売る前のひと確認
不動産を売却する前に確認すべき3つのポイント
- その不動産をいつ取得したか?
- 売却する年の1月1日時点で5年を超えているか?
- 相続で不動産をもらったときの取得日がどう引き継がれるか?
これらを確認することで、税金の負担を軽くできる可能性があります。