皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
相続した家や土地を「使わない」「売れない」「管理できない」と感じながらも、そのまま放置してしまっている方は少なくありません。
草刈りや固定資産税の支払い、空き家の老朽化、親族間の共有トラブルなど、時間が経つほどに“持ち続けるだけの負担”が増していきます。
そんなときに多くの方が考えるのが、
「この不動産の所有権を一切手放してスッキリしたい」という選択です。
そこで本日は、相続した不動産を完全に手放すための具体的な方法と、条件・手続きの流れ・専門家に相談すべきケースについて話してまいります。
目次
相続した不動産を放置するリスクとは?
1. 固定資産税などの負担が延々と続く
誰も住んでいない、使っていなくても、土地や建物を所有している限り、毎年の固定資産税を支払う義務があります。
使い道のない過疎地の土地では、支払いだけが続く負動産となりがちです。
2. 管理責任や損害賠償リスク
倒壊・雑草・害虫・火災など、空き家を放置していると近隣トラブルや行政指導の対象になる恐れがあります。
所有者として「管理責任」や「損害賠償責任」を問われるケースもあります。
3. 将来の相続が複雑化する
放置された土地は、代を重ねるごとに相続人が増え、共有状態が複雑化して処分不能になるリスクがあります。
体力があるうちに手放すことが、次の世代への負担軽減にもつながります。

所有権を完全に手放す3つの方法
方法①:相続放棄で“そもそも引き継がない”
相続放棄は、相続開始後3か月以内に家庭裁判所に申立てることで、遺産のすべて(プラスの資産・マイナスの資産)を相続しない手続きです。
ただし、その不動産を実際に使用していたり、管理行為を行っている場合は、相続放棄が認められないことがあります。
方法②:国に引き取ってもらう(相続土地国庫帰属制度)
2023年から始まった「相続土地国庫帰属制度」は、相続した土地を国に引き取ってもらえる新しい制度です。
対象となるのは「土地のみ」
建物付きの土地は対象外のため、まず建物を解体・滅失登記してから申請する必要があります。
条件の例
- 境界が明確で、所有権争いがない
- 崩壊・崩落の恐れがない
- 通路や他人の利用に支障がない
- 管理コストが過大でない

手続きの流れ
- 申請書を法務局に提出
- 審査(現地調査を含めて約1年程度)
- 承認後に負担金の納付(原則20万円程度)
- 国が土地を引き取り、所有権の移転が完了
方法③:無償で譲渡する
相続した土地や建物が売却困難な場合でも、条件によっては無償で譲渡できるケースがあります。
特徴
- 所有権を譲渡することで完全に手放せる
- 名義移転後は税金・管理責任がなくなる
- 古家・残置物あり・境界未確定でも相談可能
専門家に相談すべきケース
以下のような場合は、自力での判断が難しいため、早めに司法書士や不動産会社に相談しましょう。
- 行方不明の相続人がいる
- 建物が老朽化して危険
- 固定資産税の滞納がある
- 相続放棄の期限がすでに過ぎている

まとめ|「手放すこと」も立派な選択肢
相続した不動産を手放すことは、決して“無責任なこと”ではありません。
むしろ、次の世代に負担を残さない前向きな決断です。
- 物と違い、不動産の所有権は簡単には手放せない
- 使わない・管理できない不動産は「早めの処分」が賢明
- 放置すればするほど、処分がどんどん難しくなる
- 「相続放棄」「国庫帰属」「無償譲渡」など、手放す手段は複数ある
あなたの状況に合った最適な方法を見極めるためにも、まずは地元に詳しい専門家へ相談してみましょう。


































