負動産時代の到来|高知県の土地・空き家が抱えるリスクと出口戦略

高知県負動産時代

皆さま、こんにちは!

高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。

かつて「土地は資産」と言われた時代がありました。

ところが今の高知県では、「持っているだけで負担になる不動産」、いわゆる負動産が急速に増えています。

背景には、人口減少・高齢化・相続不動産の放置といった社会構造の変化があり、「使わない・売れない・相続したくない」という声が年々強まっています。

そこで本日は、高知県で深刻化する負動産問題の実情と、代表的な解決策について話してまいります。

高知県の人口減少|昭和と令和の現実

昭和35年(1960年)当時、高知県の人口は約83万人でした。

当時はベビーブームの影響もあり、県内各地で人の往来が盛んで、地方にも活気があった時代です。

しかし、令和6年(2024年)の推計人口は約65万5,000人(65万5,698人)まで減少しました。

この約60年余りで、実に17万人以上(約21%)もの人口が減少したことになります。

人口が減れば、土地や住宅の需要も自然と減少します。

その結果、かつて人が暮らしていた家が使われなくなり、空き家として残っていく、これが今の高知県の現実です。

高知県空き家問題

活用予定のない「空き家」が増加中

総務省の統計によると、高知県には約5万戸もの空き家が存在し、空き家率は全国でもトップクラスです。

とくに問題となっているのが、「売る」「貸す」といった活用予定のない、いわゆる“二次的利用目的のない空き家”です。

住居や貸家として活用される予定もなく、ただ所有されたまま放置されている空き家が年々増えています。

古い木造住宅では雨漏り・シロアリ被害・倒壊リスクが高まり、隣地や道路への影響、火災、草木の越境といった近隣トラブルにも発展します。

不動産価値ない

高知県は持ち家率が全国トップクラス

高知県の持ち家率は約76%(全国平均は61%前後)と非常に高く、多くの県民が「土地・建物を所有」しています。

一見すると安定的な地域社会のように思えますが、実はこの“持ち家率の高さ”が、後の世代に大量の相続不動産を残す要因にもなっています。

相続人の居住地が県外、または県内でも遠方の場合、空き家や空き地は管理が行き届かず放置されがちです。

こうした不動産は、利用されないまま維持費や管理義務のみが発生し、結果的に“負動産”化してしまうのが現状です。

高知県持ち家率全国トップクラス

相続した田畑や山林が“負動産化”してしまう理由

近年、県外で暮らす子世代が高知の実家や農地・山林を相続で引き継ぐケースが急増しています。

しかし現実には、「使う予定がない」「遠方のため管理が難しい」という理由から、活用されないまま放置されてしまうケースが少なくありません。

とくに管理が行き届かなくなった田畑や山林は、需要が極めて低く、買い手も見つかりにくいため、結果的に“引き継ぐことが負担になる不動産”へと変わってしまうことが多く見られます。

さらに、登記簿上の名義が祖父や曾祖父の代から変更されないままの土地も多く、時間の経過とともに相続人が増加し、整理や処分がますます難しくなるのが実情です。

なかには連絡の取れない相続人も現れ、権利関係が複雑化してしまうことが、整理や処分を難しくしている大きな要因です。

負動産と化した農地

不動産の「所有権」は他人に移す以外、処分できない

「もう要らないから放棄したい」と思っても、日本の法律では所有権を一方的に手放すことはできません

登記上の所有者や相続人である以上、「使っていなくても」固定資産税の納税義務や管理の責任を負うことになります。

つまり、不動産は「使わないから捨てる」「要らないから手放す」といった自由がきかない資産です。

こうした所有の制約こそが、負動産問題を根深くしている要因の一つです。

相続登記高知県

相続登記の義務化が「負動産時代」を加速させる

近年、持ち主が分からない土地や建物が増加していることを受け、2024年4月から「相続登記の義務化」が始まりました。

相続で不動産を取得した場合、3年以内に登記をしなければならないというルールです。

これにより、これまで放置されていた相続不動産が一気に“名義確定”される流れとなっています。

つまり、相続登記の義務化は、負動産時代の幕開けともいえる出来事です。

今こそ必要な「出口戦略」

負動産化を防ぐには、“早めの行動”が何よりも重要です。

代表的な解決策として、以下のような選択肢があります。

  • 一般市場での売却
  • 不動産業者による買取・引取り
  • 無償譲渡
  • 相続土地国庫帰属制度の活用(一定条件を満たす土地を国に引き渡せる)
  • 相続放棄

どの選択肢が最適かは、不動産の価値・土地の種類・権利関係によって異なります。

負動産を子供に残さない

まとめ|「負動産」を次世代に残さないために

「負動産時代」とは、簡単にいえば、かつて資産とされてきた不動産の価値が、時代の変化によって相対的に低下してしまった状況を指します。

人口減少・需要の集中・維持費の高騰などにより、かつて「所有=安心」と考えられていた土地や建物が、今では「所有=負担」となりつつあります。

もちろん、遠い将来に再び不動産の価値が高まる可能性もゼロではありません。

しかし、忘れてはならないのは、不動産だけは他の資産と違い、自由に手放すことができないという点です。

所有している限り、固定資産税や維持・管理の責任は続き、その負担は相続によって次の世代へ受け継がれてしまいます。

「所有することの重み」が明確になった今こそ、相続を真剣に考え、使わない不動産をきちんと整理しておくことが、家族に残せる最大の優しさといえるでしょう。

高知県負動産無料相談
ABOUT US
上田 司代表取締役/宅地建物取引士
相続した負動産で苦労した自身の経験を原点に、同じような悩みを抱える方の支えになりたいとの想いから、負動産専門のサポート事業を開始。相続不動産を中心に、各分野の専門家と連携し、売却の難しい家や土地の再生・譲渡・国庫帰属など多角的な解決策を提案。ご相談者様一人ひとりの事情に寄り添い、不動産の整理・処分を全力でサポートしています。