皆さま、こんにちは。
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい「負動産」を専門に扱う、福島屋の上田です。
高知県内のご相談の中で、近年とくに増えているのが「路線価が付いていない土地」=“路線価ゼロ地”に関するお悩みです。
一見すると「土地の評価が低い=税金が安い」という印象を持たれる方も多いのですが、実際には、「評価が付かないほど市場価値が低い」という現実を意味しています。
こうした土地は山間部や旧集落エリアに集中しており、相続後の管理や処分に頭を抱えるケースが少なくありません。
そこで本日は、高知県の山間部に多い「売れない不動産」について、実際の事例と処分のポイントを交えながら話してまいります。
路線価ゼロ地とは?|評価が“付かない”土地の実情
路線価ゼロ地とは、国税庁が毎年公表する「相続税路線価図」において、道路に面していない、市場取引がほとんどないために評価が設定されていない土地のことを指します。
具体的には、次のような土地が該当します。
| 区分 | 典型的な特徴 |
|---|---|
| 山林・雑種地 | 林道や作業道にしか接していない |
| 農地(旧農振地域) | 耕作放棄地で、転用や売却が難しい |
| 集落の奥地 | 宅地造成がされておらず、車での進入が困難 |
| 分筆残地 | 祖先代々の相続で細分化され、形状が不整形 |
このような土地は、不動産市場での需要が極めて低く、実質的な取引価格がゼロ円にとどまることも多いのが実情です。

実例紹介|高知県山間部の“路線価ゼロ地”ケース
福島屋に寄せられたご相談の一例をご紹介します。
【事例】高知県の山間部にある相続土地(約300坪)
道幅が1mしかなく車両通行不可、現地まで徒歩15分。路線価なし・固定資産税評価額3万円。
ご相談者は「売れなくてもいいから手放したい」とのご希望でした。
調査の結果、隣接する山林所有者に限定して引き取り提案を行い、実質無償での譲渡が成立しました。
このように、「金額ではなく負担の軽減」を目的とした整理こそ、路線価ゼロ地の現実的な出口といえます。

売れない土地をどう処分する?|3つの現実的選択肢
① 隣地・地域住民への譲渡交渉
隣地所有者にとっては、農道や進入路の確保、境界整理などの実利がある場合があります。
まずは、隣地や地域内での需要を確認することから始めましょう。
② 国に引き取ってもらう
条件を満たす場合、「相続土地国庫帰属制度」の申請が可能です。
ただし、急傾斜地や境界が不明確な土地、残置物がある場合などは対象外となるため、事前に専門家へ調査を依頼することが大切です。
③ 無償譲渡
インターネットを活用し、より多くの方に土地の情報を発信していきます。
境界が未確定の土地や残置物がある場合でも、所有者の負担を抑えつつ処分できる可能性があります。

まとめ|「価値のない土地」は、負担だけが残る負動産
路線価がゼロでも、「相続」すれば所有権は生じ、その土地に関する管理・納税・責任はすべて引き継がれます。
放置していると、雑草や倒木、越境などの問題が起きた際に行政や近隣から連絡が入ることも少なくありません。
早い段階で現地調査を行い、譲渡・国庫帰属など、状況に応じた出口戦略を検討することが、負担を最小限に抑える最善の方法です。


































