皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
最近、相続した実家の売却相談を受けた際に、建物の登記がされておらず、「昔に取り壊したはずの家が、登記簿上ではまだ建っている」と法務局で指摘された事例がありました。
実際、登記が古いままになっていると、売却や相続の手続きが思うように進まないことも少なくありません。
そこで本日は、登記を放置していた家や土地を売却するときに注意すべきポイントについて話してまいります。
目次
登記を放置したままでは、売却が止まる
日本では長年、登記をしなくても住める・使えるという意識が根強くありました。
そのため、祖父母の代から登記をしていない土地や建物が、いまだに数多く残っています。
ところが、
- 登記名義が故人のまま
- 古い家が登記簿に残ったまま(滅失登記未了)
- 現在の家が未登記
このような状態では、売却がスムーズに進みません。

「滅失登記」とは?
家を解体した際、法務局に「この建物はもう存在しません」と申請するのが「滅失登記」です。
本来は解体後1か月以内に申請することが原則ですが、過去にはこの手続きをしていないまま放置されているケースが多くあります。
滅失登記をしていないと、登記簿上では「古い家がまだ建っている」と扱われるため、現在建っている家の登記(表題登記)ができないという問題が発生します。

「未登記建物」とは?
新しい家を建てても、登記(表題登記)をしていなければ登記簿上は存在していない建物という扱いになります。
つまり、
- 実際には古い家は解体済み
- でも登記簿上は古い家が残ったまま
- さらに現在建っている家は登記されていない
という「二重構造」になっているのです。
この状態で「売却したい」と思っても、登記簿上の情報と現況が食い違っているため、法務局では所有権移転登記がスムーズに進みません。

売却までに必要な5つの手続きの流れ
登記を整理しながら売却を進める場合、基本的な流れは次のとおりです。
| 手続き | 内容 | 担当専門家 | 補足ポイント |
|---|---|---|---|
| ① 相続登記 | 名義が祖父母や親のままなら、最終的には相続人に名義を移す | 司法書士 | 相続登記をしなくても滅失登記は可能。ただし売却時には名義整理が必要。 |
| ② 滅失登記 | 登記簿上に残る古い建物を正式に抹消する | 土地家屋調査士 | 被相続人の相続人として申請可能。戸籍・相続関係説明図を添付して行う。 |
| ③ 建物表題登記 | 現在建っている建物を登記簿に新規登録 | 土地家屋調査士 | 滅失登記完了後に申請。登記簿上の現況を正確に反映。 |
| ④ 売買契約 | 不動産会社を通じて、買主との売買契約を締結 | 不動産会社 | 契約条件の調整・重要事項説明・残置物や境界等の確認も含む。 |
| ⑤ 所有権移転登記 | 売却代金の決済と同時に、買主名義へ登記を移す | 司法書士 | 契約に基づき、土地・建物の登記簿上の名義を買主へ移転。 |

滅失登記をしていないと、買主に迷惑がかかる
実際のトラブルとして多いのが、次のようなケースです。
買主が建物を建て替えようとしたところ、登記簿上にはすでに解体済みの「古い建物」が残っており、新しい家の登記(表題登記)が受理されなかった。
このような場合、買主は売主(またはその相続人)に滅失登記の手続きを依頼する必要が出てきます。
ただし、登記名義が祖父母など故人のままになっていると、誰が申請できるのかが分からず、手続きが止まってしまうことがあります。
そのため、相続人であることを戸籍や相続関係説明図で証明したうえで滅失登記を行う必要があります。
相続登記をしていなくても構いませんが、相続関係を整理して、相続人であることを示す書類を整えておくことが前提となります。
登記整理を済ませてから売却するのが鉄則
未登記や滅失登記未了のままでも、形式上の売却は可能です。
しかし、登記簿上の内容と現況を一致させてから売却することで、後々のトラブルを防げます。
まずは現地の登記状況を確認し、司法書士・土地家屋調査士・不動産会社などの専門家に相談して「登記整理の順番」を決めることが大切です。

まとめ|滅失登記と表題登記を整えておきましょう
古い建物の滅失登記をしていないと、登記簿上では「まだ建っている建物」として残ったままになります。
その状態では新しい建物の登記ができないため、まず古い建物を登記上で“消す”手続き(滅失登記)を行うことが大切です。
不動産の売却や処分には、登記の整理が欠かせません。
時間が経つほど手続きが難しくなることもあるため、早めに専門家へ相談して進めていくのがおすすめです。

































