みなさん、こんにちわ!
株式会社福島屋代表の上田です。
先日、母親が所有する底地について、「売れないなら相続したくない」と相続人の方からご相談をお受けしましたので、現地調査を行いました。
結果、特定空家基準の所有者不明建物が残っていること、立地・形状・面積を鑑みて土地の売却も困難が予想されることから、相続放棄をおすすめしました。加えて、事前準備や手続きのミスで放棄ができなかったり、管理責任(保存義務)が残ることのないように、専門の司法書士をご紹介させていただきました。
そこで本日は、相続放棄をしても不動産の管理責任が残るかについて話してまいります。
「現に占有」していることが管理責任の要件
2023年4月の民放改正で、「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第952条第1項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない」と規定しました。
ということで、管理義務負うのは、その放棄の時に相続財産に属する財産を「現に占有している」者だけとされましたので、占有していないのであれば管理責任がないことが明確になりました。
占有とみなされないように注意
家に住んでいたり、物を保管していたりすると占有とみなされますが、それ以外にも、草刈りや、壊れた箇所を直したりする保存行為が占有とみなされる可能性がゼロではないので注意が必要です。
相続放棄が受理された後であっても、何かしらの事故が発生した場合は被害者に訴えられる可能性があるので、相続放棄をする家・した家には近づかないことが賢明だと思います。
不動産の相続放棄は慎重に
最近では、親が相続放棄をすれば子供に相続権は移らないと考え、相続放棄をする建物に息子さんを住まわせている方がいましたので、早急に引っ越しすることを助言させてもらいました。
ちなみに、売却したり賃貸に出せる物件でも、借地権に絡む問題があることや、共有名義で話がまとまらないことが原因で相続放棄をする人もいます。
これからは益々、不動産が原因で相続放棄を考える人が増えると思いますので、相続放棄した後の管理責任が残らないように「現に占有している」かどうかに注意して、慎重に行動をしてください。
