皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい不動産を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。
相続をきっかけに実家を引き継いだ方の中には、「空き家のままでは維持費ばかりかかる」と考え、賃貸活用を選択する方もいます。
しかし、賃貸契約には「普通借家契約」と「定期借家契約」の2つがあり、どちらを選ぶかで将来のリスクや収益に大きな差が出ることをご存じでしょうか?
「できれば家賃収入を得たいけど、トラブルは避けたい」――これは多くの相続オーナーが抱く共通の思いです。
とくに初めて不動産を貸す方にとっては、契約の仕組みは専門用語だらけでわかりにくく、不安になってしまいます。
そこで本日は、「普通借家契約」と「定期借家契約」の違いをわかりやすく解説し、相続した実家を貸す場合にどちらを選ぶべきかについて話してまいります。
目次
「普通借家契約」と「定期借家契約」の基本的な違い
普通借家契約とは
普通借家契約は、もっとも一般的な賃貸契約の形です。契約期間は2年が一般的ですが、終了時には自動的に更新されるケースが多く、借主は長期間住み続けることができます。更新を拒否するには「正当事由」と呼ばれる法律的に認められる理由が必要で、貸主の都合だけでは解約できません。つまり、一度貸してしまうと借主が住み続ける限り、貸主は家を自由に使えなくなるリスクがあります。
定期借家契約とは
定期借家契約は、2000年に導入された制度で、契約期間が終了すると自動的に契約が終了します。更新はなく、再度貸す場合は新しい契約を結び直す必要があります。そのため、貸主はあらかじめ決めた期間が終われば家を自由に使うことができます。借主にとっては不安がある一方で、家賃が相場より安めに設定されることも多いため、短期で住みたい人には選ばれる契約形態です。
違いを簡単にまとめると
- 普通借家契約:更新あり、借主の権利が強い、貸主が自由に解約しにくい。
- 定期借家契約:更新なし、期間終了で確実に明け渡し、貸主の自由度が高い。
この違いを知ることで、「自分の家をどのように貸すべきか」の判断がしやすくなります。相続した実家をどう活用するかは、契約選びが大きな分かれ道になります。
相続実家を貸すなら定期借家契約がおすすめな理由
相続した実家を貸す場合は、普通借家契約よりも 定期借家契約がおすすめ です。
- 将来の活用方法を選びやすい
相続した家は、将来的に売却するか、自分が住むか、取り壊すかなどの選択肢があります。定期借家なら契約期間が終われば必ず戻ってくるので、計画的に次の活用が可能です。 - トラブルを防ぎやすい
普通借家だと、借主が退去を拒否すれば裁判になる可能性があります。定期借家なら、契約終了時点で確実に退去となるため、余計な争いを避けやすくなります。 - 短期利用ニーズとマッチする
「数年だけ住めればいい」という単身赴任者や外国人労働者、親の介護で近所に住む必要がある方などには、定期借家契約がマッチしやすく、空き家問題の解消にも役立ちます。
例えば「退職後に都会を離れて田舎の実家へ戻る予定」があるケースでは、普通借家契約にしてしまうと返してもらえない可能性があります。定期借家契約なら、数年後には確実に戻ってくるため安心です。
相続実家を賃貸に出すときに大切なのは、自由に将来の選択ができることと、余計なリスクを避けること。その2つをかなえるのが、定期借家契約です。
普通借家契約を選ぶときに注意すべき点
それでも「入居者が見つかりやすい普通借家契約」という方もいるでしょう。そんな場合は、次の点に注意が必要です。
- 借主の保護が強い
法律で借主の権利が強く守られているため、貸主の都合だけで契約を終わらせるのは困難です。 - 長期的に固定される
長期間にわたり家を使えなくなるリスクがあります。将来的な売却や相続を考えると不利になることもあります。 - トラブル発生時の対応が難しい
家賃滞納や近隣トラブルが起きたときでも、立ち退きを求めるのは容易ではありません。
普通借家契約は「安定して長期間貸したい」「家を将来的に活用する予定がない」という場合には向いています。しかし、相続実家のように「将来の予定がはっきりしていない」というケースではリスクが高いといえるでしょう。
まとめ|定期借家契約がおすすめ
相続した実家を賃貸に出すとき、「普通借家契約」と「定期借家契約」の違いを理解することはとても重要です。
長期で安定収入を得たいなら普通借家契約も選択肢ですが、将来の自由度やリスク回避を考えると 定期借家契約がおすすめ です。