皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい不動産を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。
突然、固定資産税とは別に「個人住民税(家屋敷課税)の申告について」と書かれた通知書が届いて驚いた。
毎年の固定資産税ならまだしも、聞き慣れない「家屋敷課税」という言葉に戸惑う方は少なくありません。
そこで本日は、その家屋敷課税の仕組みと対処法について話してまいります。
目次
家屋敷課税とは?
「家屋敷課税」は個人に課される住民税の一部
家屋敷課税とは、個人住民税に上乗せされる“付加税”の一つです。
「家屋敷課税」とは、家屋敷(住宅や店舗などの建物)を所有している人に対して、市町村が独自に課す税金です。
根拠は地方税法第24条および第294条で、これに基づいて各自治体が条例で課税の有無や税額を定めています。
つまり、同じ県内でも市町村によって課税の有無や金額が異なるのが特徴です。
- 所有している家屋敷(住宅・建物)や敷地に課税
- 年額は数百円〜5,000円程度(自治体による)
- 固定資産税とは別途課税される
つまり、「家屋敷課税」は“所有”していること自体に対する自治体独自の課税です。
法人の経営者は家屋敷課税の対象外
当該市町村で法人として事業を行い、法人市民税の課税対象となっている経営者には、家屋敷課税は課されません。

固定資産税との違い|性質・目的・課税対象がまったく別物
比較項目 | 家屋敷課税 | 固定資産税 |
---|---|---|
根拠法 | 地方税法第24条および第294条 | 地方税法第343条 |
税の種類 | 個人住民税の付加税 | 固定資産に対する財産税 |
課税主体 | 市町村 | 市町村 |
課税対象 | 家屋敷(住居・土地)を持つ個人 | 土地・家屋・償却資産などの固定資産 |
納税義務者 | 所有者・居住者(原則1名) | 登記上の所有者 |
税額の目安 | 年数百円〜5,000円程度(自治体による) | 評価額×税率(1.4%など) |
目的 | 住民の行政サービス負担 | 公共施設・行政運営の財源 |
固定資産税とは性質・目的・課税対象が、まったく別体系の税金です。
したがって「二重課税では?」と思われがちですが、法的には別の課税根拠を持っています。
なぜ住んでいない家にも課税されるのか?
家屋敷課税は「その市町村に家屋を所有していること」に対して課されるため、実際に住んでいるかどうかは関係ありません。
例えば、次のようなケースでも課税されます。
- 相続で取得した実家や店舗を放置している
- 所有者は転出して別の地域に住んでいる
- 空き家・別荘・店舗をそのまま残している
つまり、「住んでいない・使っていない=課税されない」ではないという点が、多くの方が勘違いしやすいポイントです。
課税を止めるための方法
家屋を解体し、土地だけにする
建物を解体し「家屋」が存在しない状態にすれば、家屋敷課税の対象外になります。
ただし、建物を解体して更地にすると、固定資産税の「住宅用地特例(6分の1に軽減)」が外れるため、固定資産税は確実に増えます。

よくある質問
Q. 家屋敷課税がある自治体とない自治体があるのはなぜ?
→ 各市町村の条例判断に任されているためです。
高知県内でも、家屋敷課税を実施している市町村と、課税していない市町村があります。

まとめ|「家屋敷課税」の通知は突然届くこともある
- 家屋敷課税は固定資産税とは別の税金
- 家屋を所有しているだけで課税される場合がある
「今まで課税されていなかったのに、突然『家屋敷課税』の通知が届いて驚いた」という方も少なくありません。
とくに高知県のように人口減少が進む市町村では、税収減を補うために、今後は家屋敷課税の導入や強化が当たり前の時代になると考えられます。