不動産相続税評価額の計算方法|相続税路線価を使った評価の基本【高知県版】

不動産相続税評価額の計算方法|相続税路線価を使った評価の基本【高知県版】

皆さま、こんにちは!
高知で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい不動産を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。

不動産を相続した際に避けて通れないのが「相続税評価額」の確認です。

この評価額をもとに相続税が計算されるため、正確な理解が非常に重要です。

ただし、不動産の「相続税評価額」は実際の市場価格(実勢価格)とは異なり、国税庁が定める路線価や倍率をもとに評価される点に注意が必要です。

そこで本日は、相続税評価額の基本から、高知県内エリアごとの具体的な比較まで話してまいります。

相続税評価額とは?

相続税評価額とは、相続税を算出するために定められた不動産の評価額です。

市場価格ではなく、国や自治体が定めた基準をもとに計算します。

  • 土地:国税庁が公表する「路線価」または「倍率方式」で算出
  • 建物:市町村が定める「固定資産税評価額」で算出

一般的には、相続税評価額は実勢価格(実際の売買価格)の約70〜80%程度になるのが目安です。

高知県内市町村地価

土地の評価方法(路線価方式)

土地の評価は、原則として路線価方式によって行います。

路線価とは?

「路線価」とは、国税庁が毎年7月に発表する、道路に面した1㎡あたりの土地の価格です。

この価格に土地の面積や補正率を掛け合わせて相続税評価額を求めます。

計算例

  • 路線価:20万円/㎡
  • 土地面積:150㎡

土地の相続税評価額 = 20万円 × 150㎡ = 3,000万円

ただし、土地の形状や奥行き、角地などの条件によっては「補正率」を加味して調整します。

倍率方式による評価(土地)

郡部や山間部などで路線価が設定されていない地域では、固定資産税評価額 × 評価倍率 で算出する「倍率方式」が採用されます。

倍率は、国税庁の「評価倍率表」で地域ごとに定められています。

不動産相続税評価額

建物の評価方法

建物の評価はシンプルで、固定資産税評価額そのものを使用します。

固定資産税の納税通知書や、役所で発行される「固定資産評価証明書」で確認できます。

相続税評価額は固定資産税評価額の約1.1倍?

一般的に、土地の相続税評価額(路線価方式)は、固定資産税評価額の約1.1倍前後 になります。

これは、以下のような全国的な評価基準の関係によるものです。

評価基準実勢価格(時価)に対する割合の目安
公示価格約100%
路線価(相続税評価額)約80%
固定資産税評価額約70%

したがって、80 ÷ 70 ≒ 約1.14倍 となり、実務上は「約1.1倍」と言われています。

ただし、地域差があり、高知市中心部では1.15倍、高知市郊外では1.05倍前後になることもあります。

不動産相続税評価額比較

高知県内エリア別:路線価と固定資産税評価額の比較

以下は、高知県内の代表的なエリアを例にした参考比較表です。

実際の数値は令和6年(2024年)時点の公表データや一般的な評価割合に基づく概算です。

エリア路線価(相続税評価額)固定資産税評価額公示価格(参考)固定資産税評価額に対する倍率備考
高知市中心部(帯屋町・本町)約230,000円/㎡約200,000円/㎡約290,000円/㎡約1.15倍商業地。路線価が高く、倍率も大きめ。
高知市住宅地(旭・上町周辺)約110,000円/㎡約100,000円/㎡約140,000円/㎡約1.10倍住宅地の標準的な倍率。
南国市中心部(駅周辺)約70,000円/㎡約65,000円/㎡約95,000円/㎡約1.08倍通勤圏の住宅地。やや緩やかな評価差。
いの町(郊外住宅地)約40,000円/㎡約38,000円/㎡約55,000円/㎡約1.05倍郊外エリアでは評価差が小さい。
安芸市・須崎市(地方部)約25,000円/㎡約24,000円/㎡約35,000円/㎡約1.04倍地方部は固定資産税評価と近似。
山間部・農地(倍率地域)固定資産税評価額×1.1(倍率方式)約10,000円/㎡約15,000円/㎡約1.10倍路線価設定なし。倍率方式で評価。

数値の傾向

  • 高知市中心部では倍率が高く、約1.15倍前後
  • 郊外や地方部では1.05倍前後で、固定資産税評価額との乖離は小さい。
  • 路線価がない地域(山間部や農地)は、倍率方式で1.1倍前後が一般的。
地価基準田舎と都会の違い

路線価と固定資産税評価額の調べ方

✅ 路線価の確認方法

国税庁の「路線価図」で、都道府県 → 市町村 → 該当地域を選択すると、道路ごとの路線価を無料で確認できます。

✅ 固定資産税評価額の確認方法

市町村から届く「固定資産税納税通知書」または、市役所・町役場の資産税課で発行される「固定資産評価証明書」で確認可能です。

不動産相続税評価額専門税理士

まとめ|不動産の相続税評価に詳しい税理士へ相談を

  • 相続税評価額(土地)は、原則として路線価方式で算出。
  • 路線価方式による評価額は、固定資産税評価額のおよそ1.1倍前後
  • 路線価がない地域では、固定資産税評価額に倍率を掛けて算出する。
  • 高知県内でも中心部と郊外で倍率差があり、地域特性に応じた確認が必要。

相続税評価額の算定は、税額計算だけでなく、遺産分割や不動産売却の判断にも大きく影響します。

正確な評価を把握するためには、土地評価に精通した税理士へ相談することをおすすめします