皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
相続した土地の扱いに悩んだとき、「相続土地国庫帰属制度」が候補に挙がる方は少なくありません。
国に引き取ってもらえる制度として注目されてきましたが、実際の利用に至らないケースも多いのが現状です。
そこで本日は、相続土地国庫帰属制度が良いか悪いかを評価するのではなく、高知県の実務の現場において、なぜこの制度が「使えない」「選ばれない」ケースがあるのかを、実際の判断ポイントに即して話してまいります。
目次
制度は存在するが、適用には現実的な制約が多い
相続土地国庫帰属制度は、管理や処分が困難な土地を国に帰属させる仕組みです。
一方で、制度の設計上、一定の管理性・安全性・境界明確性が前提とされています。
そのため、土地の条件によっては「制度が使えない」のではなく、「使う合理性が見出しにくい」ケースが生じます。
市街地では負担金が高額になるケースがある
国庫帰属が承認された場合、申請者には10年分相当の土地管理費用(負担金)の納付が求められます。

過疎地であっても、市街地に位置する土地の場合、
- 土地評価が高い
- 管理水準が高く想定される
といった理由から、負担金が想定よりも大きくなる傾向があります。
この点が、「帰属させるための費用として合理的かどうか」という判断に影響することがあります。
竹林は制度上よりも実務上のハードルが高い
竹林がある土地は、制度上ただちに排除されるわけではありません。
しかし実務では、将来にわたる管理可能性が厳しく問われます。

竹は地下茎で拡大する性質があり、一時的な伐採だけでは再生を防ぐことが難しい植物です。
そのため、「将来的な繁茂リスクが高い土地」と判断され、申請が成立しにくくなる要因となります。
高知県では急傾斜地の山林が多いという地域特性がある
高知県は地形的に山地が多く、相続対象となる山林の多くが急傾斜地に該当します。

制度では、
- 崩落や落石などの危険性
- 通常の管理を超える負担が想定される土地
については承認されない可能性があります。
このため、高知県の山林は制度との相性が良いとは言えないケースが多いという現実があります。
広大な山林では境界特定の負担が大きくなる
申請時には、
- 境界点の特定
- 境界点ごとの写真提出
が必要とされます。
面積が広い山林や、山奥に位置する土地では、
- 境界点が尾根や谷にある
- 人力での移動・測量が必要
といった事情から、事前調査や測量に高額な費用がかかることがあります。
この費用負担が、申請判断に影響するケースも少なくありません。
判断の軸は「制度があるか」ではなく「土地の条件」
相続土地国庫帰属制度は、一定の条件下では有効な制度です。
一方で、土地の立地・形状・管理状況によっては、制度を選択しない判断が合理的になることもあります。
重要なのは、制度の存在だけで判断せず、土地の特性と制度要件を丁寧に照らし合わせることです。

まとめ|制度を選ばなかったのは「否定」ではなく「適合性の問題」
相続土地国庫帰属制度を選ばなかった理由は、
- 市街地では負担金が高額になる場合がある
- 竹林は管理要件との乖離が大きい
- 急傾斜地の山林は不承認リスクが高い
- 広大な山林は事前コストが大きくなりやすい
といった、制度と土地条件の適合性によるものです。
制度が使えるかどうかではなく、その土地の状況や費用負担を現実的に考えたときに、その制度が本当に適しているかどうかが判断の分かれ目になります。
































