皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
相続した土地の売買や贈与を進めようとした際に、「登記簿上は雑種地なのに、所有権移転登記ができないと言われた」という相談は、高知県内でも決して珍しくありません。
その原因の多くは、登記簿の地目ではなく、固定資産税の課税地目が「畑」になっていることにあります。
この問題は、表面化した時点ですでに選択肢が限られており、非農地証明が取れない土地では、実質的に農地転用が最終手段となり、費用や時間の負担が一気に大きくなるという現実があります。
そこで本日は、「登記簿は雑種地なのに、農業委員会の許可や届出がなければ所有権移転登記ができない土地」がなぜ生まれるのか、そして農地転用以外に取り得る現実的な対応策について話してまいります。
目次
登記簿の地目が「雑種地」でも安心できない理由
所有権移転登記のご相談で、近年特に増えているのが次のようなケースです。
- 登記簿上の地目:雑種地
- 固定資産税の課税地目:畑
一見すると「もう農地ではないのだから問題ない」と思われがちですが、この状態のままでは、農業委員会の許可がなければ、所有権移転登記ができないことがあります。

判断基準は「登記地目」ではなく「課税地目」
多くの方が誤解しやすいポイントですが、実務上、農地かどうかの判断で重視されるのは登記地目ではなく課税地目です。
課税地目が「畑」のままになっている場合、
- 現況が荒地
- 長年耕作されていない
といった状況であっても、「農地として扱われている土地」と判断されます。
その結果、農業委員会の関与(農地法の許可・非農地証明)が必要となり、何もしなければ登記手続きが止まることになります。

非農地証明も取得できないケースがある
では「非農地証明」を取れば解決するのかというと、必ずしもそうではありません。
非農地証明の取得には、原則として
- 少なくとも15年以上
- 課税地目が農地以外であること
- 農地として利用されていないこと
をさかのぼって証明する必要があります。
つまり、課税地目が長年にわたって「畑」のままになっている土地については、原則として非農地証明を当然に取得できるわけではありません。
そのため、過去の航空写真や現況資料などを用いて、実態としては既に農地として利用されていなかった(非農地であった)ことを客観的に証明し、行政の承認を得られなければ、非農地証明そのものが取得できないおそれがあります。

農地転用以外に取れる現実的な対応策
このような場合、現実的な対応策としては、市町村の税務課など固定資産税を所管する部署に相談し、現況に応じて課税地目を「畑」から「雑種地」「山林」「原野」等へ見直してもらうことが挙げられます。
課税地目は、必ずしも登記や農地法の手続きと連動しているわけではなく、
- 現況
- 利用実態
- 周辺状況
などを踏まえて、税務課の判断で修正されることがあります。
課税地目が農地以外に変更されれば、
- 農業委員会の関与が不要になる
- 法務局での所有権移転登記が可能になる
という道が開けるケースもあります。

「雑種地なのに登記できない土地」は珍しくない
この問題は、書類だけを見ていると非常に気づきにくく、
- 所有権移転を目前にして初めて発覚
- 司法書士から突然「登記できません」と言われる
- 取引の直前でストップ
といった形で表面化するケースがあります。
特に、長年放置されてきた農地や、周辺環境が宅地化または林野化している土地では、このようなトラブルが生じやすい傾向があります。

まとめ|まず確認すべきは「課税地目」
登記手続きや処分を検討する前に、必ず確認しておくべきポイントは次の3つです。
- 登記簿の地目
- 課税地目
- 農業委員会・税務課での扱い
登記簿では「雑種地・山林・原野だから農地は関係ない」と思い込まず、課税地目が何になっているかを最初に確認することが、遠回りを防ぐ一番の近道です。
登記簿の地目が「田・畑」などの農地である場合、長期間耕作の実態がなくても、農地法上は農地として扱われ、原則として農業委員会の関与が前提となる点にも注意が必要です。
































