皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
2024年に始まった相続登記の義務化ですが、「罰則付き」という言葉が独り歩きし、当初は大きな混乱が予想されていました。
では、義務化の開始からもうすぐ2年を迎える現在、実際の相続登記はどれほど進んでいるのでしょうか。
そこで本日は、法務省の統計や報道をもとに、まずは数字が示す現実について話してまいります。
目次
相続登記は確実に増えている
法務省の公表データによると、令和6年度(2024年度)上半期の相続登記申請件数は「約79万1,644件」です。
これは、「前年同期比で約14%増」という結果でした。
注目すべき点は、義務化前の令和5年度です。
この年も制度周知が進んだ影響で、相続登記の申請件数は前年度比で約10%増となりました。
これに対し、義務化後となる令和6年度上半期は、前年同期比で約14%増となっています。
- 義務化前(令和5年度):+10%
- 義務化後(令和6年度上半期):+14%
この推移を見る限り、相続登記は一時的な反応ではなく、緩やかに加速しながら定着しつつあると読むことができます。
さらに、相続登記の義務化が本格的に意識される期間が長くなるにつれ、今後も申請件数が段階的に増えていく状況といえるでしょう。
地域によっては“明確な変化”も出始めている

全国一律で見ると緩やかな増加に見えますが、都道府県別に見ると温度差があります。
一部地域では、
- 前年比「20%以上増」
- 相続登記の相談件数が急増
といった動きも報告されています。
これは、
- 空き家対策が進んでいる地域
- 地方で不動産の整理が課題となっている地域
ほど、相続登記が制度に従うためではなく、不動産の整理や活用を見据えた判断として行われていることがうかがえます。
「まだ大丈夫」という空気と、行政の実際の動き

申請数が急増していない理由として、多くの人が次のように考えています。
- 罰則はすぐに来ない
- 周りもまだやっていない
- 急がなくても様子見でいいのではないか
この感覚自体は、数字を見れば理解できます。
しかし一方で、行政側の動きはすでに次の段階に入っています。
法務局は現在、長期間放置されている不動産の調査を進めており、すでに約11万人の「相続登記放置者」を特定したと報じられています。
これは単なる名簿整理ではなく、過料(罰則)運用に向けた準備が具体化していることを意味します。
「未登記=即アウト」ではないが、安全でもない
ここで重要なのは、冷静な整理です。
結論から言えば、未登記であること自体が今すぐ重大な問題になるケースは限定的です。
- 相続人が確定している
- 不動産を整理する予定がない
- 相続関係が単純
- 自治体・法務局から通知が来ていない
こうした場合、直ちに不利益が生じる可能性は高くありません。
しかし問題は、未登記の不動産がどんな性質を持っているかです。
数字が語っていない「置き去りにされている不動産」

申請数が増えている一方で、依然として登記されていない不動産の多くは、次の特徴を持っています。
- 利用予定がない
- 収益を生まない
- 売却が難しい
- 管理と税金だけが残る
いわゆる「負動産」です。
こうした不動産ほど、
- 登記をしても次の一手が見えない
- 登記=問題の先送りになる
という理由で、放置されがちになります。
その結果、時間だけが経過し、相続人が増え、意思統一が難しくなり、登記も整理も困難になる。
これが、負動産が本当の意味で“負担”になる典型的な流れです。
負動産整理の視点で考える「登記の前にすべきこと」

相続登記は義務ですが、目的ではありません。
本質は、「その不動産をどうするのか」です。
負動産整理の視点では、登記の前に次の問いが欠かせません。
- この不動産は将来も持ち続けるべきか
- 誰が管理責任を負うのか
- 何もしなかった場合、5年後どうなっているか
- 子や孫に引き継がせてよい内容か
これを考えずに登記だけを済ませると、名義は整ったが問題は固定化したという結果になりがちです。
相続登記義務化2年、申請数が示す本当の判断基準
今回の数字が示しているのは、相続登記が一斉に進んでいる状況ではないこと、
そして、
- 動ける人はもう動いている
- 動けない不動産ほど、静かに取り残されている
という現実です。
未登記が問題なのではなく、未整理のまま時間が過ぎることが、後戻りできない問題になります。

まとめ|数字は「猶予」と「警告」の両方を示している
相続登記義務化から2年で申請数は確かに増えています。
一方で、11万人規模の放置者が特定されているという事実もあります。
これは、
- 今すぐ全員が罰せられるわけではない
- しかし、何もしないままでいい時代は終わりつつある
という、猶予と警告の両方を示しています。
問題は、未登記かどうかそのものではありません。
その不動産を今後どう扱うつもりなのかが、すでに決まっているかどうかです。
申請数という数字の裏側にあるのは、多くの人がまだそこに向き合いきれていないという現実なのかもしれません。































