皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
不動産トラブルが起きたとき、「もう法的な判断しかないのではないか」と感じる方は少なくありません。
所有権、賃貸借、相続、占有など、不動産は法律と深く結びついているため、トラブルが起きると法的手段が頭に浮かぶのは自然なことです。
もちろん、法的手段が必要な場面は確実に存在します。
権利関係を明確にしなければならない場合や、話し合いが完全に破綻している場合など、法的判断が不可欠なケースもあります。
ただ、実務の現場に長く関わっていると、法的手段に進んだことで問題が解決するどころか、かえって時間・費用・生活の負担が大きくなってしまった例にも数多く出会います。
そこで本日は、法的手段を否定するのではなく、法的な仕組みを理解したうえで、あえて別の道を選ぶという考え方について話してまいります。
目次
不動産トラブルは「正しさ」だけでは終わらない

不動産トラブルは、法律だけで完結する問題ではありません。
そこには必ず、
- 暮らし
- 感情の積み重ね
- 経済状況
- 家族関係
- 時間の制約
といった要素が絡みます。
法的には正しい主張であっても、それを通すために、
- 数年単位の時間を費やし
- 多額の費用を負担し
- 精神的に消耗し続け
- 人間関係が完全に断たれる
という結果になることもあります。
実務では、「勝ったはずなのに、何も楽にならなかった」という声を聞くことも珍しくありません。
法的手段が向いているケース、向いていないケース
制度上の解決が必要なケースは確かに存在します。
たとえば、
- 明確な権利侵害がある場合
- 合理的な話し合いが成立しない場合
- 迅速な法的判断が不可欠な場合
このような状況では、法的手段を避けるべきではありません。
一方で、不動産トラブルの多くは、
- 契約関係が曖昧
- 相続により当事者が変わっている
- 長年の経過で事情が複雑になっている
- 双方が「困っている」状態にある
という特徴を持っています。
こうしたケースでは、白黒をつけること自体が必ずしも最善の解決にならないことがあります。
「争う」前に必要なのは「整理」

法的手段に進むかどうかを判断する前に、本来やるべきことがあります。
それは、
- 何が問題なのか
- どこが争点なのか
- どこまで解決すれば現実的なのか
を、冷静に整理することです。
多くの不動産トラブルでは、
- 法律の問題
- お金の問題
- 気持ちや精神面の問題
が混ざり合ったまま進んでしまいます。
この状態で法的手段に進むと、争点が拡散し、長期化しやすくなります。
「法的手段にしない」という選択は、問題を冷静に整理し、解決の方向性を見直すための判断でもあります。
不動産には、市場価値だけでは測れない現実がある
不動産は、市場で売れるかどうかという視点で語られることが多い存在です。
しかし現実には、
- 売却が見込めない土地
- 管理が難しい山林
- 利用予定のない農地
- 長年住まわれ、権利関係が曖昧になった老朽化した建物
といった、「価値がない」のではなく「扱いづらい不動産」が数多く存在します。
こうした不動産を、法律手段によって無理に整理しようとすると、
- 解決しても使い道がない
- 処分しても意味がない
- 経済的な負担が増える
- 当事者だけが消耗する
という結果になりがちです。
弁護士に進む前に、整理できること

不動産トラブルが起きたとき、すぐに弁護士へ相談すること自体は決して間違いではありません。
ただ実務では、その前に状況を整理することで、争点そのものが変わるケースが少なくありません。
私ども不動産会社の役割は、誰が正しいかを判断することではなく、
- 現在の利用状況
- 権利関係の実態
- 市場性の有無
- 管理や処分の現実性
- 費用対効果
といった、「現実として動かせる情報」を整理することにあります。
この整理が行われることで、
- 法的手段に進む必要が本当にあるのか
- 話し合いで終われる余地があるのか
- 終わらせる範囲はどこまでか
- そのために、どの程度の費用をかけることが現実的なのか
を冷静に判断できるようになります。
制度上の解決は、こうした整理を踏まえたうえで選択するからこそ初めて意味を持ちます。
話し合いは「譲歩」ではなく、「出口の設計」

法的手段にしない選択は、どちらかが一方的に我慢することでも、負けを認めることでもありません。
実務で行われている話し合いは、
- 問題をこれ以上拡大させない
- 生活への影響を最小限にする
- 不要な費用負担を増やさない
- 現実的に終わらせる
ための出口を設計する作業です。
結果として、
- 法的には完全勝利ではないが
- 日常生活への影響を最小限に抑えられる
という結論に至ることもあります。
それは妥協ではなく、現実を踏まえた判断です。
法的手段を使わないという選択は、知っている人ほど行う
実務の現場では不思議な傾向があります。
法的手段の重さや影響をよく知っている人ほど、最初から法的手段に進むことには慎重になります。
それは、
- 法律の限界
- 時間と費用の現実
- 判決後の生活
を具体的に想像できるからです。
法的手段を使わないという選択は、感情論ではなく経験に基づいた合理的な判断として行われることが多いのです。
まとめ|不動産トラブルは「勝つか」より「どう終わらせるか」

不動産トラブルの多くは、誰かを打ち負かすことで解決する問題ではありません。
大切なのは、
- 問題を小さくすること
- 終わらせる範囲を決めること
- これ以上、大切な人生の時間とお金を奪われないこと
です。
法的手段は、そのための一つの手段にすぎません。
法的手段を使わないという不動産トラブルへの考え方は、現実を見据えたうえで選択されるもう一つの解決の道です。
問題は「どう勝つか」ではなく、「どう終わらせるか」。
不動産トラブルに直面したとき、そんな視点も選択肢として持っていただければと思います。
































