皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい不動産を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。
「古くてボロボロの家をどうやって手放そう」
「不動産会社に相談したけれど“仲介できません”と言われた」
そんな空き家の所有者にとって朗報となる制度が、「低廉な空家等の媒介の特例」です。
これは、2023年(令和5年)の空家対策特別措置法の改正で新たに創設された仕組みで、市場価値が低い空き家でも、不動産会社が安心して仲介できるよう支援する制度です。
そこで本日は、空き家の流通を促進するために設けられた「低廉な空家等の媒介の特例」について話してまいります。
目次
「低廉な空家等の媒介の特例」とは?
通常、不動産会社は売買価格の3%+6万円(上限)という報酬ルールに基づいて仲介を行います。
しかし、市場価格が極端に低い空き家では、仲介手数料が数万円程度にしかならず、現地調査や内見対応、広告掲載、契約書作成から名義変更までにかかるコストをまかなうことができません。
そのため、不動産会社にとっては「引き受けにくい物件」となっていました。
こうした課題を解消するために導入されたのが、「低廉な空家等の媒介の特例」です。
この制度では、一定の要件を満たす「低廉な空き家等」については、国が定める特例報酬の範囲内で、不動産会社が通常より高い仲介手数料を受け取ることが可能になります。

対象となる「低廉な空家等」とは?
売買価格が安い建物・宅地
- 一般的に数十万円〜100万円程度の物件が目安
- 具体的な金額基準は地域や状況により異なりますが、「通常の媒介報酬では業務が成り立たないレベル」の低価格が基準です。
制度を利用するとどうなる?
✅ 1. 不動産会社に相談しやすくなる
これまで断られがちだった「安い空き家」でも、特例を活用すれば仲介を引き受けてもらえる可能性が高まります。
✅ 2. 実質的な“処分費用ゼロ”が実現しやすい
建物の状態が悪くても、広告や不動産会社のネットワークを通じて、活用意欲のある購入希望者やリノベーションを検討する人と出会えるチャンスが広がります。
✅ 3. 放置リスク(倒壊・火災・税負担)を解消できる
使わない空き家を放置すると、固定資産税の負担や管理責任が続くだけでなく、将来的に「特定空家」に指定され、行政から修繕や解体を求められる可能性があります。
特例を活用して早期に手放すことができれば、心理的にも大きな負担軽減になります。
不動産会社にとってのメリットも大きい
この制度は、所有者だけでなく、不動産会社にとっても「地域貢献」と「事業としての採算」を両立できる仕組みです。
これまでは事業採算の面から断らざるを得なかった市場価値の低い空き家や空き地の相談も、一定の報酬が得られることで、今後は受け入れやすくなります。

媒介報酬の特例はいくらまで?
低廉な空家等(売買価格が800万円以下の宅地・建物)の場合、通常の上限を超えて、売主・買主の双方からそれぞれ30万円+消費税を上限に報酬を受け取ることができます。
ただし、この報酬額を請求するには、媒介契約を結ぶ際に売主に対して特例の内容と報酬上限を説明し、合意を得ておく必要があります。
また、買主からも報酬を受け取る場合には、買主にも事前に内容を説明し、同意を得ることが求められます。

まとめ|諦めていた空き家を手放すチャンス
「古い家だから」「ボロボロだから」と諦めていた空き家でも、「低廉な空家等の媒介の特例」を活用すれば、不動産会社が仲介に入り、買い手や譲渡先が見つかる可能性があります。
空き家を放置すれば、税金や管理の負担が年々重くなり、将来的には解体費用を負担しなければならない場合もあります。
一方で、この制度の報酬体系を理解し、適切に受け入れることで、費用負担を抑えながら安心して空き家を手放すことができます。





























