古家や空き家を「現況有姿」で売るときの注意点|トラブルを防ぐ3つのポイント

空き家現況有姿高知県

皆さま、こんにちは!

高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。

築年数の古い家や、長く空き家になっている不動産を売却するとき、よく使われるのが「現況有姿(げんきょうゆうし)での売却」という契約方式です。

一見「そのまま売って終わり」と思われがちですが、実際には契約内容や引渡し条件を誤解すると、トラブルになるケースも多いのが現実です。

そこで本日は、現況有姿の正しい意味や注意点、そしてトラブルを防ぐ3つの実践ポイントについて話してまいります。

「現況有姿」とは?

「現況有姿」とは、建物や土地を現在のありのままの状態で引き渡すという意味です。

つまり、売主は修繕や片付けをせずに、今の状態のまま売却できる契約形式です。

例えばこんなケース

  • 老朽化して屋根が傷んでいる
  • 雨漏りや傾きがある
  • 境界が未確定のまま
  • 家財道具が残ったまま

このような状態でも、「現況有姿で売却」と合意すれば、修繕せずにそのまま引き渡すことが可能です。

不動産売却現況有姿のリスク

現況有姿売買の誤解とリスク

現況有姿で売れば「一切責任がなくなる」と誤解されている方も多いですが、実はそうではありません。

たとえ現況有姿であっても、契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)が完全に免除されるわけではありません。

契約不適合責任とは

売却後に、買主が「契約時に説明されていなかった重大な欠陥(シロアリ被害・雨漏り・建物の傾きなど)」を発見した場合、売主は修補・損害賠償などを求められる可能性があります。

つまり、現況有姿でも

  • 「知らなかった」では済まないケースがある
  • 「知っていたのに説明しなかった」と判断されるとトラブルになる

という点が重要です。

不動産売却現況有姿のポイント

トラブルを防ぐ3つのポイント

① 状況を正確に伝える(告知書を丁寧に)

「現況有姿」といっても、知っている不具合は必ず告知することが大切です。

  • 雨漏りの履歴
  • 給排水設備の不具合
  • 床のきしみ
  • 地盤沈下や傾き
  • 越境・境界不明確箇所

など、気になる点はすべて事前に伝えましょう。

告知をしっかりしておけば、後日の「聞いていなかった」というトラブルを防ぐことができます。

② 引渡し前の状態確認(写真・書面で残す)

現況有姿の場合、「どんな状態で引き渡したのか」がトラブル防止のカギになります。

引渡し前に建物内部・外観・境界まわりを写真で残しておきましょう。

最近では、360度カメラを使って全方向の状態を記録するケースも増えています。

また、残置物の有無(家具・家電・廃材など)も明確に取り決め、契約書に記載しておくことが重要です。

不動産売却現況有姿特約

③ 契約不適合責任の特約を入れる

売主が個人の場合は、契約書に「契約不適合責任を負わない」旨の特約を設けるのが一般的です。

ただし、この特約が有効になるのは、買主が内容を理解し、合意している場合のみです。

宅建業者が買主の場合は、売主の責任を問わない形で契約を結ぶことが多く、空き家や古家の売却ではこの方式(業者買取)が安心できる選択肢のひとつです。

現況有姿での売却が向いているケース

状況向いている理由
築30年以上の古家引渡し後に不具合が見つかることがある
荷物が多く片付けが大変残置物ごと引き受ける業者がある
相続した空き家相続人が現況を十分に把握していないことが多い
遠方の不動産万が一のトラブルに備えながら現地対応の負担を減らせる
誠実な対応不動産売却

まとめ|現況有姿の正しい理解と誠実な対応が何より大切

現況有姿での売却は、「修繕せずに早く手放せる」という大きなメリットがある一方で、契約内容を理解せずに進めると、後からトラブルになるリスクもある方法です。

だからこそ、

  • 告知を誠実・丁寧に行う
  • 契約不適合責任の扱いを明確にする
  • 買主の理解を得る
  • 不具合箇所を写真・書面で残す

契約前にこうした誠実な対応を取っておくことで、引渡し後に不具合が見つかった際も、買主からの信頼と理解を得やすくなります。

ABOUT US
上田 司代表取締役/宅地建物取引士
相続した負動産で苦労した自身の経験を原点に、同じような悩みを抱える方の支えになりたいとの想いから、負動産専門のサポート事業を開始。相続不動産を中心に、各分野の専門家と連携し、売却の難しい家や土地の再生・譲渡・国庫帰属など多角的な解決策を提案。ご相談者様一人ひとりの事情に寄り添い、不動産の整理・処分を全力でサポートしています。