皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
相続した土地の登記簿を見ると、「宅地」「田」「山林」など、見慣れない区分が書かれています。
これはその土地の「地目(ちもく)」というもので、土地の利用目的を示す法的な区分です。
しかし、相続した土地では、登記簿に記載された地目と、実際の使い方(現況)や課税上の地目が異なることがよくあります。
例えば、登記簿では「畑」なのに、固定資産税納税通知書には「非住宅地」や「宅地」などと記載されているケースも少なくありません。
このような不一致は、すぐに違法になるわけではありませんが、売却・相続登記・農地法の手続きなどで支障をきたすことがあります。
そこで本日は、地目の意味・確認方法・登記簿と現況や課税地目の違い・変更手続き・注意点について話してまいります。
目次
「地目」とは?土地の利用目的を示すもの
「地目(ちもく)」とは、土地をどのような目的で使用しているかを示す区分で、法務局の登記簿に記載されています。
登記上の地目は、不動産登記規則第99条に基づき、23種類に分類されます。
不動産の売買でよく扱われる主な地目は、次のとおりです。
| 主な地目 | 内容の例 |
|---|---|
| 宅地 | 住宅や建物の敷地 |
| 田 | 水を利用して稲を作る土地 |
| 畑 | 水を使わずに作物を作る土地 |
| 山林 | 樹木が生育する山地 |
| 原野 | 樹木が少ない荒地 |
| 雑種地 | どの地目にも属さない土地(駐車場・資材置場など) |

登記簿の地目・現況・課税地目は一致しないことがある
地目には大きく分けて、次の3種類の「判断基準」があります。
| 区分 | 管轄 | 内容 | 更新タイミング |
|---|---|---|---|
| 登記簿上の地目 | 法務局 | 法的に登録された土地の用途 | 変更登記を行うまで変わらない |
| 課税地目 | 市町村(税務課) | 固定資産税評価上の区分 | 毎年1月1日時点の利用状況で判断 |
そのため、登記簿上では「畑」となっていても、実際には駐車場や倉庫用地として利用され、課税上は「非住宅地」や「宅地」として扱われている場合があります。
これは、固定資産税評価は“実際の利用状況(現況)”をもとに課税されるためで、法務局登記簿の地目と一致していなくても、課税上は問題ありません。
ただし、売却・相続登記・農地転用など法的手続きの場面では登記簿上の地目が基準となるため、目的に応じて地目変更登記を検討する必要があります。

地目変更が必要になる主なケース
地目は、現況に合わせるのが原則です。
次のような場合は、地目変更登記が必要になることがあります。
1. 農地を宅地に転用したとき
「田」や「畑」を宅地に転用して家を建てる場合は、あらかじめ農地法の許可を得たうえで造成や建築を行い、建物の完成後に地目を「宅地」へ変更します。
2. 農地を駐車場や資材置場にしたとき
農地を駐車場や資材置場として使うなど、建物を建てずに用途を変える場合でも、あらかじめ農地法の許可を得たうえで転用を行い、現況に合わせて「雑種地」などへ地目を変更しておくことが大切です。
3. 相続後に利用目的を変えたとき
相続したあと、土地を分筆・売却・貸出などする際に、現況と登記地目を一致させておくことが求められます。

地目変更登記の手続きと費用
地目変更登記は、原則として「土地家屋調査士」が代行します。
手続きの流れ
- 現地調査・写真撮影
- 現況の確認と地目判断
- 登記申請書・図面の作成
- 法務局への申請
費用の目安
- 一般的な宅地化:4万円〜7万円前後/1筆
- 登録免許税:土地1筆につき1,000円

■ 相続人が注意すべき3つの確認ポイント
① 登記簿・現況・固定資産税納税通知書を照らし合わせる
法務局の登記簿、現地の利用状況、市町村からの固定資産税納税通知書を見比べて、地目の不一致がないかを確認しましょう。
「登記は畑、課税は非住宅地」というようなケースも珍しくありません。
② 不一致がある場合は、登記変更を検討する
相続登記や売却の前に、土地の現況に合わせて地目変更をしておくと、後の手続きや売却がスムーズに進みます。
③ 必要に応じて専門家に相談する
土地家屋調査士や不動産会社などの専門家に早めに相談しておけば、登記や売却の際のトラブルやリスクを未然に防ぐことができます。

高知県で多い相談事例
- 登記簿では「畑」だが、実際は更地で課税も「非住宅地」
- 売却を進めようとしたら、農地法の届出が必要と言われた
登記簿上では「畑」となっていても、実際には更地や雑草地として放置されている場合があります。
このような土地は、固定資産税の上で「非住宅地」として扱われ、農地より評価額が高くなるため、結果的に課税額も高くなることがあります。
また、売却や譲渡を進めようとした際には、農地法の届出や許可が必要と言われるケースも少なくありません。
このような場合には、まず農業委員会で「非農地証明書」を取得し、地目を現況に合わせて「宅地」や「雑種地」へ変更することが求められます。

まとめ|地目の違いを理解して、相続土地をスムーズに整理する
登記簿上の地目・現況・課税地目は、それぞれ管轄や判断基準が異なります。
相続した土地では、「登記は畑」「課税は非住宅地」「現況は駐車場」といった不一致が生じやすく、放置しておくと、後の売却や登記の手続きがスムーズに進まないことがあります。
そのため、登記簿・現況・固定資産税納税通知書を照らし合わせて確認し、必要に応じて地目変更登記を行っておくことが大切です。
今後の使い道を見据えて整理をしておくことで、将来の売却や相続の際も手続きを円滑に進められます。
なお、地目変更登記はご自身でも申請が可能で、登録免許税は土地1筆につき1,000円です。
また、農地を宅地や雑種地に変更する場合には、農業委員会で発行される「非農地証明書」(発行手数料はおおむね3,000円前後)が必要になります。































