皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
高知県で負動産の整理をしていると、非常に多いのが次のようなご相談です。
「独り暮らしだった兄が亡くなり、相続人は兄弟だけになったのですが、他の兄弟や甥・姪も関係していて、誰も動こうとせず処分が進まないんです。」
こうした「生涯独身だった兄弟の家」は、一見シンプルな相続に見えても、実は共有名義が絡む最も厄介なケースです。
そこで本日は、高知県内でも相談の多い「独身の兄弟が残した家」の整理方法と、共有名義のまま放置するリスクについて話してまいります。
目次
兄弟相続の仕組み|“子どもがいない人”の遺産は兄弟姉妹へ
子どもがいない方が亡くなった場合、その遺産は兄弟姉妹に相続されます。
ただし、兄弟姉妹のうちすでに亡くなっている人がいれば、その人の子ども(=甥・姪)が代わって相続します。
つまり、
- 故人に配偶者・子どもがいない
- 親もすでに亡くなっている場合
兄弟姉妹+甥姪が法定相続人になります。
その結果、相続人が3人、5人と増え、誰一人として全体を代表できない「共有相続」状態が生まれます。

共有名義のままでは、何も決められない
共有名義になった不動産は、全員の合意がなければ処分できません。
たとえ固定資産税を一人が払っていても、勝手に売ることはできません。
さらに、
- 共有者の一部が遠方や行方不明で連絡が取れない
- 認知症の方がいて意思確認ができない
- 一人だけが管理負担(草刈り・修繕)を背負っている
こうしたケースでは、他の相続人に負担感がなく、「誰かがやってくれるだろう」と放置され、共有名義のまま時間だけが過ぎてしまうことが少なくありません。
そして、時間が経つほど相続人が増え、権利関係も複雑に絡み合っていきます。

親が相続人の不動産を子が整理しようとしても、話が進まないことが多い
実務でよく見られるのが、親が相続人である不動産を、子どもが代わりに整理しようとするケースです。
例えば、独り暮らしだった叔父や叔母が亡くなり、親(兄弟姉妹)が相続人になった場合、他にも親の兄弟姉妹や、その子ども(甥・姪=子から見ればいとこ)が相続人として関係していることが多く、話が思うように進みません。
負動産の整理を急ぎたい子が、善意で自分ひとりで専門家に相談を始めることもありますが、それが他の相続人から「勝手に進めている」と受け取られて関係が悪化するケースも少なくありません。
整理を進めたい気持ちは理解できますが、こうした相続ではまず相続人全員の意思確認と合意形成が何より大切です。
焦って動くよりも、最初に「誰が相続人か」を正確に整理し、専門家を交えて話し合うことが、円満な解決への近道です。
戸籍をたどっていくと、相続人も気づいていなかった“認知された子”が見つかることもあります。

放置の末に“負動産化”するリスク
兄弟相続の家や土地を共有のまま放置すると、次のような事態が起こり得ます。
- 固定資産税だけ払い続ける「名義だけの所有」になる
- 管理不全により、雑草・雨漏り・建物の破損などが発生
- 行政指導や近隣トラブルにつながる
- 数年後に共有者がさらに亡くなり、孫世代にまで相続が広がる
こうして、「売れない・処分もできない・放棄もできない」状態に陥り、まさに“負動産化”が進行していきます。
解決のための3つの方向性
① 共有者で話し合い、代表者に持分を集約する
売却や処分を進めるには、まず代表者を決めるのが第一歩。
他の共有者の持分を買取・贈与などでまとめることで、実行が早まります。
② 専門家を交えた「共有整理チーム」で進める
司法書士・行政書士・税理士・土地家屋調査士・不動産会社が連携すれば、登記・戸籍調査・評価・売却・処分をワンストップで進められます。
③ 利用・売却が難しい場合は「無償譲渡」や「国庫帰属」も検討
過疎地の空き家や遊休地など、買い手がつかない物件では、所有権を手放す制度を活用することが現実的な選択肢になります。

高知県でも増えている「兄弟相続型」の空き家問題
高知県では単身世帯が年々増加し、兄弟や甥姪が相続人となるケースが急増しています。
誰も住まない家や土地が残り、共有者は県外や遠方に住んだまま。
こうした物件は放置されやすく、「売れない」「片付けられない」「相続人が多すぎる」という三重苦を抱えた“負動産”になりやすいです。

まとめ|共有のまま放置せず、早めの整理を
生涯独身だった兄弟の家や、叔父・叔母名義の不動産は、放置すればするほど整理が難しくなる傾向があります。
相続が発生するたびに名義が分散し、ときには代襲相続によってさらに枝分かれしていくことで、気付いたときには共有者が多数に膨れ上がり、売却も解体も話し合いも進められない「調整不能な負動産」になってしまうケースも珍しくありません。
だからこそ、できるだけ早い段階で現状を整理し、法的な選択肢や出口の方向性を明確にしておくことが、将来の安心につながります。

































