皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
高知県では人口減少と山地比率の高さから、空き家・空き地・山林などの“負動産化”が顕著に進んでいます。
「市町村に寄付できないか?」「森林組合が引き取ってくれるのでは?」と考える方は多いものの、実際にはどちらも受け入れられるケースは極めて限定的です。
そこで本日は、高知県の実情に即し、寄付が難しい理由と、現実的な“手放し方”について話してまります。
目次
高知県の市町村に土地を寄付することはできるのか?
可能性はあるものの、実際には受け入れが難しい
高知県は自治体規模が小さく、財政や人員に余裕がありません。
そのため、市町村が寄付を受けるのは次のような行政目的がある場合に限られます。
- 道路拡幅・公共用地として必要
- 他の公共地と一体で利用価値がある
- 防災のために取得すべき土地
これに当てはまらない土地は、ほぼ例外なく断られます。

高知県の市町村が寄付を断る主な理由
自治体の管理コストが非常に大きい
高知県の地形は急峻で、土地の維持管理には大きな手間と費用がかかります。
草刈り・倒木処理・法面管理など、日常的な管理だけでも自治体が負担し続けるには重すぎるのが現実です。
さらに、高知県沿岸部では津波リスクを抱える地域が多いため、老朽建物の安全対策、避難路の確保、浸水想定区域における管理責任など、自治体が新たな土地を受け入れるほど、将来的な負担やリスクが増してしまうという事情もあります。
こうした理由から、自治体は寄付の受け入れに非常に慎重にならざるを得ません。
固定資産税が重要な財源を占めている
高知県の市町村では、固定資産税が自治体財政の中で極めて重要な割合を占めています。
人口規模が小さく、法人も少ない地域では、固定資産税が歳入の大きな柱であり、自治体運営を支える主要な財源となっています。
そのため、寄付によって土地を引き受けてしまうと、固定資産税という貴重な税収が減ってしまうことになります。
寄付希望が急増するリスク
人口減少や空き家率が全国トップクラスで進む高知県では、寄付希望が爆発的に増える可能性があり、前例を作れない状況です。

山林は森林組合に寄付できる?
森林組合は“山林の寄付受付機関”ではない
森林組合は森林所有者を支援する団体であり、不要な山林を引き取ることを目的にしていません。
したがって、寄付として森林組合が山林を受け入れるケースはほぼありません。
森林組合が扱える山林の条件①:木材価値が高いこと
以下のような商業林であることが必須です。
- スギ・ヒノキの人工林
- 適切に手入れされ、伐期を迎えている
- 林道や搬出路があり、収益化が見込める
高知県の多くの山林は、雑木林・急傾斜地・搬出不可の放置林であるため、対象外となります。
森林組合が扱える山林の条件②:境界が確定していること
森林組合が山林を取り扱うためには、隣接地との境界が明確に確定していることが前提となります。
ところが高知県の山林では、地積測量が行われていない区画が多く、境界が曖昧なままになっているケースが少なくありません。
このように境界が不確定な山林は、事業としての取り扱いが難しく、森林組合でも引き受けることができません。
森林組合に寄付できる山林は“ごく一部の価値ある山林”のみ
一般的な放置山林・原野・雑木林は、森林組合の引き取り対象にはなりません。
そもそも森林組合が扱う山林とは、木材としての市場価値が見込め、通常の売買が可能なレベルのものに限られます。

寄付が不可能な不動産の特徴
- 放置された山林・原野
- 過疎地域の空き家
- 極端な傾斜地・崖地
- 災害リスクの高い土地
- 境界が不明確な土地
これらの不動産は、市町村にとってもメリットがほとんどなく、管理負担やリスクだけが増えてしまうため、寄付として受け入れることは現実的ではありません。
そもそも自治体は、一般の不動産市場で売買取引が可能な土地であっても、引き取りに応じないのが一般的です。
まして、寄付を検討するような「売買が難しい土地」であれば、なおさら自治体が受け入れる可能性は低く、寄付による処分はほぼ期待できないと言えます。

寄付できない土地を手放す方法
隣地所有者への無償譲渡
隣地が広がることで利用価値が高まるため、山林・宅地・農地いずれでも検討されやすい方法です。
ただし、土地の需要が限られる地域では、隣地所有者でも受け入れが難しいケースがほとんどです。
それでも一定の可能性は残されているため、隣地調整は出口戦略のひとつとして検討する価値があります。
個人・法人への無償譲渡
農地利用者や山林所有者、移住希望者、不動産投資家など、土地の特性や利用目的に合致すれば、引き取り手が見つかる可能性があります。

まとめ|寄付が難しい土地は、無償譲渡など別の出口を考える
- 市町村は、管理負担や税収への影響を考慮し、土地の寄付を受け入れない
- 森林組合も木材価値・境界確定などの条件を満たさなければ引き取り不可
- 処分が難しい土地は「無償譲渡」を検討することも選択肢のひとつ


































