負動産を残した親と片付ける子世代の温度差|処分費100万円を覚悟した相続人が“10分で間違えた判断”

負動産処分費100万円

皆さま、こんにちは!

高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。

「この不動産、すべて整理するなら100万円くらいは見ておいた方がいいですね。」

そう言われた相続人は、少し考えたあと、すぐにこう答えました。

「分かりました。それなら、もう処分してください。」

その判断が、本当に正しかったのか。

答えは、10分後に変わります。

この話は、高知県で空き家や山林、農地といった“負動産”の相談を受けていると、実はよくあるケースです。

そこで本日は、負動産の整理で判断を誤りやすい「整理の順番」について話してまいります。

「残した親」と「片付ける子世代」の間にある決定的な温度差

親世代にとって不動産は、

  • 苦労して取得した財産
  • いずれ誰かが使うかもしれないもの
  • 特に困っていない限り、触らなくてよい存在

という認識のまま止まりがちです。

一方、相続した子世代にとっては、

  • 管理しなければならない
  • 税金がかかる
  • 遠方で使えない
  • 境界・名義・農地法などの制約が多い

「残された財産」ではなく「背負う負担」として現れます。

この時点で、すでに不動産は“負動産”に変わっています。

負動産処分費100万円

処分費100万円を覚悟した背景

今回の相談者が相続したのは、

  • 長年使われていない空き家
  • 接道条件の悪い宅地
  • さらに、点在する複数筆の山林と農地

でした。

ここで大切な点があります。

空き家1軒だけで、すぐに100万円かかるケースは多くありません。

しかしこのケースでは、

  • 建物の整理だけでなく
  • 複数筆の山林・農地を含めた一式の整理
  • 農地特有の制限や将来の管理リスク
  • 全体を「相続人の代で片付けたい」という意向

こうした条件が重なり、「負動産一式を整理する前提」で話が進んだ結果、トータルで見て100万円前後の負担も視野に入る、という説明になりました。

不動産処分費100万円

なぜ、すぐ「分かりました」と言ってしまったのか

相続人は、その時点ですでに疲れていました。

  • 自分では使わない
  • 親の気持ちは理解しづらい
  • でもこのまま放置もできない

「どうせお金がかかるなら、もう終わらせたい」

そう考えてしまうのは、無理もありません。

しかし、その判断こそが、10分で見直すことになります。

“10分で間違えた判断”だった理由

冷静に状況を整理していくと、見え方が大きく変わりました。

  • 空き家は、必ずしもすぐ解体する必要はなかった
  • 山林は、隣地所有者との調整や無償譲渡の余地があった
  • 農地も、利用者次第で出口が見える可能性があった
  • すべてを同時に整理する必要はなかった

つまり、「最初から全部まとめて処分する前提」で考えてしまったこと自体が誤りだったのです。

負動産の整理でよくあるのは、“費用”ではなく、“整理の順番”を間違えることです。

不動産処分優先順位地

判断を早めることと、急ぐことは違う

相続では、

  • 決断が早い=良い
  • 覚悟がある=正解

と思われがちです。

しかし負動産の整理では、急いで決めた判断ほど、後から「高くつく」ことがあります。

必要なのは、

  • 何が本当に負動産なのか
  • 今すぐ動くべきものは何か
  • まだ選択肢が残っているものは何か

を分解して整理することです。

「すぐ結論を出させない」理由

福島屋では、売却や無償譲渡、国庫帰属を最初から前提としたご提案はしていません。

空き家、山林、農地は、それぞれ出口も、判断のタイミングも異なるからです。

  • なぜ負動産になっているのか
  • どこで判断が止まっているのか
  • 本当に今すべきことは何か

まずは状況を整理し、最も負担の少ない選択肢を探します。

結論は、その先で十分です。

まとめ|「覚悟」より先に「整理」を

処分費100万円を覚悟できる人ほど、実はまだ選択肢が残っていることがあります。

負動産の整理に必要なのは、勇気でも決断力でもありません。

知らないまま急ぐことが、一番高い選択になる

それだけです。

空き家・山林・農地など、「このままでいいのか」と感じたときが、整理を始めるタイミングです。

困ってからではなく、迷っている今こそが、相談のタイミングです。

ABOUT US
上田 司代表取締役/宅地建物取引士
相続した負動産で苦労した自身の経験を原点に、同じような悩みを抱える方の力になりたいとの想いから、2025年より、売却が難しい家や土地を専門に取り扱う「負動産整理」のサポート事業を開始しました。相続不動産を中心に、各分野の専門家と連携しながら、再生・無償譲渡・相続土地国庫帰属制度など、一つの方法に限定せず、複数の選択肢を整理したうえで、状況に応じた進め方をご案内しています。売却や処分を前提に話を進めることはありません。ご相談者様一人ひとりの事情やお気持ちに寄り添い、「どう整理するか」を一緒に考えることを大切にしながら、不動産の整理・処分を丁寧にサポートいたします。