皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
相続が発生すると、「3か月以内」という相続放棄の期限があっという間に近づいてきます。
特に高知県では、空き家や山林・農地の扱いが難しいことに加え、相続人の多くが県外に居住しているケースが多く、判断に時間がかかる傾向があります。
期限が迫っているときほど、慌てて決めるのではなく、「状況を整理して、判断材料をそろえる」ことが重要です。
そこで本日は、高知県特有の不動産事情を踏まえながら、相続放棄を検討する際に確認すべきポイントについて話してまいります。
目次
1|相続放棄は“財産があってもなくても”3か月以内が基本
相続放棄の期限は、「被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内」 と民法で定められています。
この期間を「熟慮期間」と呼び、財産がプラスかマイナスか、引き継ぐべきか放棄すべきかを判断するための猶予期間です。
ただし、
- 土地や建物の状況把握に時間がかかる
- 遠方で現地確認ができない
- 書類が揃わない
など、すぐに判断できないケースは珍しくありません。
その場合、家庭裁判所に「熟慮期間の延長申立て」が認められることがあります。

2|まずは「所有する可能性のある不動産の全体像」を把握する
相続放棄を検討する場合、最初にすべきことは引き継ぐ可能性のある不動産の全体像を把握すること です。
特に高知県では、
- 山林・農地が相続財産に含まれている
- 地番が飛び地になっている
- 名義が古く、位置や範囲が分からない
といったケースが多く見られます。
▼ まず確認すべき項目
- 固定資産税課税明細書の内容
→ 市町村から送付される資料で所在地や面積が分かります。 - 法務局での登記事項証明書
→ 所有者、面積、地目、共有関係などを確認できます。 - 地籍調査(国土調査)の有無
→ 実施済みかどうかで、境界の明確さが大きく異なります。
書類だけでは分からない場合も多いため、できれば Googleマップなどの地図と照合しながら、不動産の位置関係や範囲を整理して全体像を把握することが大切です。

3|空き家の場合に確認すべきポイント
高知県は、湿気・豪雨・潮風といった気候条件の影響で、建物が老朽化しやすい地域です。
相続放棄を考える場合、建物の状態を判断材料として整理する必要があります。
▼ 空き家の要確認ポイント
- 建物の傷み具合(雨漏り・傾き・シロアリ)
- 解体が必要かどうか
- 接道条件(再建築可能か)
- 敷地の境界が明確か
- 売却・処分の可能性があるか
空き家は、「放置すればするほど管理リスクが増える」ため、相続する場合と相続放棄する場合の両方を見据えて比較することが大切です。

4|農地の場合の確認ポイント(農地法・農振法の影響)
高知県では農地が相続財産に含まれることが多く、農地特有の法律が判断に大きく関わります。
▼ 農地で特に重要な点
- 農地法3条:農地のまま譲渡するには許可が必要
- 農地法5条:転用には厳しい制限がある
- 農振法:農業振興地域・農用地区域内(青地)は転用が困難
とくに 農用地区域(青地)に指定された農地は手放しにくい典型例であり、相続人にとって将来的な負担につながる可能性が高い資産です。
一方で、「白地(農用地区域外)」は柔軟に扱える可能性があります。
相続放棄の判断では、この区分の整理が必須になります。

5|山林の場合の確認ポイント(境界・アクセス・管理負担)
高知県の相続相談で最も増えているのが山林です。
▼ 山林で見るべきポイント
- 伐採しやすい立地かどうか(林道の有無)
- 境界が確認できるか
- 地籍調査が実施されているか
- これまで間伐などの森林管理が行われてきたか
- 今後の管理にどれくらいのコストがかかるか
- 将来的な活用可能性(資源価値)
境界が不明確な山林は、売却・処分のどちらも難しく、将来的な負担につながりやすいため、「相続放棄したい」と考える大きな要因になりやすい不動産です。

6|負担・維持費がどれほど発生するか整理する
相続放棄を判断するうえで重要なのが、保有コストと将来発生するリスクの整理です。
▼ 必ず確認しておきたい費用
- 年間固定資産税・家屋敷課税
- 管理にかかる費用(草刈り、倒木処理、不法投棄物の撤去など)
- 建物の修繕・解体費
- 近隣対応や行政手続きにかかる負担
不動産価値がつきにくい地域ほど、毎年の管理コストが相対的に重い負担になりやすくなります。
7|相続放棄前に「相続人全体の関係」を把握する
不動産の整理や相続放棄には、相続人同士の関係性も影響します。
▼ 把握しておくと良い情報
- 相続人が何人いるか
- 誰がどこに住んでいるか
- 連絡が取れるか、意思確認ができるか
- そのうち誰が不動産を管理する意向があるか
特に、県外在住の相続人が多いケースは意思疎通が遅れがちです。
期限が迫っている場合は、早めの情報共有が欠かせません。

8|期限が迫っていても「慌てて相続放棄しない」ことが大事
相続放棄は取り消しできないため、「本当に相続放棄しか選択肢がないのか」を整理したうえで判断すべきです。
とくに高知県では、
- 活用意欲のある方への無償譲渡
- 隣地所有者への引き渡し
- 将来的な国庫帰属制度の利用
など、相続後に現実的な整理方法が見つかるケースもあります。
もし判断がつかない場合は、家庭裁判所への「熟慮期間延長申立て」が有効です。
多くの場合、1〜3か月の延長が認められることがあり、時間さえ確保できれば、より冷静に状況を整理することができます。

まとめ|期限が迫っているときほど「状況整理」が最優先
相続放棄をするかどうかは、不動産の状況・費用・家族構成を踏まえて総合的に判断する必要があります。
特に高知県の相続不動産では、過疎地の空き家や山林・農地など、いわゆる“負動産”として扱われやすい資産が多く、全体像の把握に時間がかかりやすい傾向があります。
期限が迫っている場合ほど、
- どんな不動産を持っているのか整理し
- 不動産ごとのリスクを把握し
- 延長申立ても含めて判断材料を揃える
という流れで落ち着いて進めることが大切です。
































