皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
相続により山林や原野を取得したものの、
- 正確な場所や境界が分からない
- 利用予定がない
- 管理や処分の判断を先送りにしている
このような土地を抱えたまま、「とりあえず名義だけ引き継いだ」という状況になっている方は少なくありません。
近年、こうした利用実態の分かりにくい土地と関係してくる制度が、2022年9月に全面施行された「重要土地等調査法」です。
特に高知県のように、自衛隊や海上保安庁の施設と山林・原野が近接する地域では、相続した土地が思いがけず制度の対象エリアに含まれる可能性もあります。
そこで本日は、相続した山林・原野と重要土地等調査法の関係を整理し、売却や無償譲渡を含む不動産整理への影響について話してまいります。
目次
重要土地等調査法とは何か

重要土地等調査法は、国の安全に関わる重要施設の周辺などについて、
- 土地・建物の利用状況
- 所有者や管理の実態
を把握し、必要に応じて調査や是正の働きかけを行うことを目的とした法律です。
重要なのは、売却や相続、無償譲渡そのものを禁止する法律ではないという点です。
一方で、「その土地がどのような目的で、どのように管理されているか」を説明できる状態かどうかが重視されます。
特別注視区域と注視区域の違い

重要土地等調査法では、重要施設の周辺土地を次の2つに区分しています。
特別注視区域
- 特に重要性が高い施設の周辺
- 利用状況や管理実態について、より詳細な把握が想定される区域
注視区域
- 特別注視区域ほどではないが、利用状況を継続的に注視する必要がある区域
いずれも、山林・原野・農地といった地目によって扱いが変わるものではありません。
高知県で該当する具体的な区域と施設
特別注視区域

陸上自衛隊 高知駐屯地 周辺
(香南市を中心に、高知市・南国市の一部)
陸上自衛隊高知駐屯地の周辺は、「特別注視区域」に指定されています。
駐屯地そのものは香南市にありますが、区域指定は市町村の境界ではなく、施設との位置関係を基準に行われます。
そのため、
- 香南市だけでなく
- 高知市・南国市に所在する土地であっても
条件次第では、特別注視区域に含まれる可能性があります。
注視区域

- 土佐清水通信所(土佐清水市)
- 高知海上保安部(高知市)
- 宿毛海上保安署(宿毛市)
これらの施設周辺は、「注視区域」に該当します。
「駐屯地から一定距離内」とはどういう意味か
重要土地等調査法では、「同じ市町村にあるかどうか」ではなく、重要施設からの距離が基準になります。
そのため、
- 施設から一定の範囲内にあり
- 行政区域をまたぐ土地であっても
区域指定の対象となることがあります。
「地形・立地条件が該当」とは何を指すのか

距離だけで一律に判断されるわけではありません。
次のような条件も考慮されます。
- 施設を見下ろせる高台や尾根
- 見通しの良い山林・原野
- 進入路や周辺道路に近接する土地
- 利用実態が把握しづらく、管理が形式的な土地
つまり、「距離」+「地形・立地条件」の組み合わせで判断されます。
相続した山林・原野が影響を受けやすい理由

相続による取得地は、
- 現地を確認していない
- 境界や管理状況が分からない
- 利用目的を説明できない
という状態になりやすく、重要土地等調査法の視点では整理が必要な土地として意識されやすくなります。
売却や無償譲渡と規制の関係
重要土地等調査法は、売却や無償譲渡を一律に禁止する制度ではありません。
ただし、
- 特別注視区域・注視区域内にある土地
- かつ、譲受人の属性や利用目的によっては
調査や確認の対象となる可能性があります。
特に、日本国籍を有しない外国人や外国法人が譲受人となる場合には、より慎重な確認が求められる場面があります。
無償譲渡支援と重要土地等調査法

福島屋では、重要土地等調査法の有無だけで無償譲渡の可否を判断していません。
実務では、
- 土地の立地や状況
- 譲受人となる個人や法人の、土地の取得目的や管理に対する姿勢
を一つひとつ確認し、所有者が十分に理解・了承したうえで無償譲渡を成立させています。
重要土地等調査法の規制が想定される土地であっても、目的や管理の内容が明確で、将来的な不安が整理できている場合には無償譲渡が成立しているケースもあります。
こうした進め方は、「とにかく手放す」ことを目的とせず、譲る側・受ける側の双方が納得できる形を優先するという考え方に基づいています。
まとめ|重要土地等調査法と向き合う際の基本的な考え方

重要土地等調査法は、土地所有そのものを否定する制度ではありません。
一方で、
- どこにある土地か
- どのような地形・立地か
- 誰が、どのような目的で引き継ぐのか
といった点が、これまで以上に重要になります。
相続した山林・原野については、区域区分や規制の有無にかかわらず、一度立ち止まって状況を整理することが、将来の選択肢を狭めないための基礎になります。






























