皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい不動産を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。
突然の相続で受け継いだ不動産が事故物件。
最初は「親から受け継いだ大切な財産」と思っていたのに、調べていくうちに“事故物件(心理的瑕疵物件)”だとわかり、不安やショックを感じる方も少なからずいらっしゃいます。
「事故物件だけど本当に売れるのだろうか?」「買い手に全部説明しないといけないの?」
相続した不動産が事故物件だったとき、多くの方が同じような不安に直面します。
でもご安心ください。事故物件でも、法律のルールに従って正しい方法で進めれば、売却も活用も可能です。
そこで本日は、事故物件を相続したときに知っておくべき「売却や活用の方法」と「告知義務」について話してまいります。
目次
事故物件(心理的瑕疵物件)とは?
事故物件の定義
事故物件とは、建物や土地自体に物理的な欠陥があるのではなく、「心理的に住む人が嫌だと感じる事情がある物件」 のことをいいます。
具体的には、次のようなものが該当します。
- 自殺・他殺・孤独死
⇒ 過去の出来事が心理的な抵抗感につながるため。 - 火災や水害による死亡事故
⇒ 修復やリフォームで建物の見た目がきれいになっても、「事故があった」という印象で敬遠されやすい。 - 周囲に老朽化した空き家やゴミ屋敷がある物件
⇒ 倒壊や火災、害虫の発生などの危険があり、安全面や衛生面で不安を抱かせる要因となります。 - 近隣にトラブルの多い住人がいる物件
⇒ 大声や嫌がらせ、迷惑行為が続けば、安心して暮らすことが難しくなるため敬遠される要因となります。
なぜ「心理的瑕疵」と呼ばれるのか
不動産の価値は、立地や建物の状態だけでなく、買い手や借り手の「気持ち」によっても左右されます。たとえ建物が無傷でも、「過去に人が亡くなった」「近隣に迷惑住人がいる」と聞くだけで敬遠する人は少なくありません。そのため、不動産取引の世界ではこれを 心理的瑕疵 と呼びます。
相続した家が事故物件だった場合のリスク
売却が難しくなる
事故物件は、通常の物件に比べて売却価格が2〜5割下がるのが一般的です。ただし、自殺や火災、ましてや殺人事件など内容が深刻な場合には、半額以下にまで値下がりすることもあります。
買い手の心理的抵抗が強いため、売れるまでに長い時間がかかることも少なくありません。
告知義務を怠るとトラブルに
「細かいことまで言わなくていい」と思って売却してしまうと、後で買主に発覚し、契約解除や損害賠償請求につながることがあります。不動産業者には告知義務があるため調査は行われますが、相続人自身も事前に状況を正しく把握しておくことが重要です。
管理責任が続く
「売れないなら放置すればいい」と考えるのは大変危険です。時間が経つほど老朽化は進み、倒壊や害虫の発生といった被害が近隣に及べば、相続人が法的責任を問われる可能性もあります。
事故物件の告知義務とは?【法律上のルール】
告知義務の基本
宅地建物取引業法により、取引の相手方(買主)にとって重要な事実は告知する義務があります。事故物件の場合、「過去に人が亡くなった」「事件があった」といった事実がこれにあたります。
告知義務が必要なケース・不要なケース
- 必要なケース
・自殺や他殺があった場合
・火災や事故で亡くなった場合 - 不要とされることが多いケース
・自然死や老衰死(ただし孤独死は告知される場合あり)
・事件からかなりの年月が経過している場合
※告知義務の有無はケースごとに異なり、裁判例や自治体の判断基準によって扱いが変わることがあります。迷った場合は専門家に確認するのが安心です。
事故物件を相続した場合の売却方法
通常売却
一般市場で売却する場合、価格を下げる必要がありますが、クリーニングで印象を改善することで成約の可能性を高められます。
建物を解体して土地として売却
事故物件の大きなネックは「建物にまつわる出来事」です。そこで、建物を取り壊し、更地として売却する方法があります。
- 建物に心理的瑕疵がある場合でも、更地にすることで買い手の心理的抵抗を減らせる
- 解体費用はかかるが、建物の心理的瑕疵を取り除けるため、買い手が早く見つかる可能性が高まる
※建物を解体して更地にしても、事故物件の経緯は原則告知義務が残ります。ただし死因や経過年数、利用目的によっては不要とされる場合もあります。
事故物件の活用方法
賃貸として貸し出す
「事故物件でも安ければ借りたい」という需要はあります。とくに外国人労働者は「安さ重視」で選ぶケースがあり、家賃を下げることで入居者を見つけやすくなります。
まとめ|事故物件も正しい知識と専門家のサポートで解決できます
事故物件を相続してしまった場合、次のようなリスクがあります。
- 告知義務を守る必要がある
- 売却価格が下がる
- すぐには売れない可能性がある
それでも、正しい法律知識と売却ルートを知れば、事故物件でも十分に売却や活用が可能です。