皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい不動産を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。
相続で不動産を取得する際、兄弟姉妹や親族間で「とりあえず共有名義にしておこう」と決めるケースは少なくありません。
しかし後になって「管理が煩雑」「売却や活用が難しい」「将来の相続でさらに共有者が増えてしまう」といった理由から、共有をやめて単独名義に分け直したいという相談が多く寄せられます。
では、一度成立した遺産分割協議をやり直すことはできるのでしょうか?
そこで本日は、一度成立した遺産分割協議をやり直せるのかについて話してまいります。
目次
遺産分割協議はやり直せるのか?
結論からいえば、相続人全員の合意があれば遺産分割協議をやり直すことは可能です。
遺産分割協議は「相続人全員による合意契約」のようなものであり、後から内容を変更する場合も、やはり全員が合意し直す必要があります。
一部の相続人だけで修正することはできません。
ケース例:共有名義をやめて2筆ずつ分ける場合
相続人が3人(長男・長女・次女)いたとして、当初の協議では「4つの土地を長女と次女が共有名義で相続する」と決めたケースを考えてみましょう。
ところが後日、
- 管理や売却を考えると共有は不便
- それぞれ単独名義で持った方が分かりやすい
- 長女も次女も子どもがいるため、次の相続で共有者が増えてしまい、扱いがますます大変になる
という理由から、長女と次女が2つずつ分けて相続する内容に変更したいとなった場合です。
この場合でも、長男を含めた相続人全員で改めて協議書を作り直す必要があります。
手続きの流れ
- 新しい遺産分割協議書を作成する
- 「以前の協議内容を変更し、土地を2筆ずつ分割して相続する」旨を記載。
- 過去の協議書を無効とする文言を入れておくと安心です。
- 相続人全員が署名押印し、印鑑証明書を添付
- 最初の協議で相続を受けなかった相続人も含めて、全員の同意が必要です。
- 不動産の名義変更登記を行う
- まだ登記をしていない場合は、新しい協議書に基づいてそのまま登記すればOKです。
- すでに共有名義で登記してしまっている場合は、「持分の移転登記」となり、次の税務上の注意点が絡んできます。
登記前と登記後で大きく違う!税務上の注意点
遺産分割協議のやり直しは、登記前と登記後で大きな違いがあります。
- 登記前の場合
新しい協議書に基づいてそのまま登記ができるので、基本的に税務リスクはありません。 - 登記後の場合
一度共有名義で登記したあとに分け直すと、- 「持分の交換」や「贈与」とみなされる可能性
- 登録免許税や不動産取得税の負担
- 場合によっては贈与税や譲渡所得税の課税といったリスクが生じることがある
このため、登記後のやり直しは慎重に進めなければなりません。
遺産分割協議をやり直すときの注意点
- 相続人全員の合意を得ることが大前提
- 登記前なら新しい協議書で問題なし
- 登記後は贈与税リスクがあるため専門家に相談を
- 不動産は共有よりも単独名義にしておく方が管理や活用の面で有利
まとめ|遺産分割協議はやり直すことができる
遺産分割協議は「全員の同意」があれば後からでもやり直すことができます。
ただし、登記前か登記後かによって手続きや税務上の扱いが変わる点には注意が必要です。
とくに、すでに共有名義で登記してしまった場合には「持分の交換や贈与」とみなされる可能性があるため、相続に詳しい税理士など専門家への相談が不可欠です。
不動産を共有名義にするか単独名義にするかは、後々の管理・売却・相続にも大きく影響します。
「とりあえず共有」にしてしまう前に、しっかりと将来を見据えた遺産分割を検討することが大切です。