皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
2023年4月にスタートした相続土地国庫帰属制度は、「使わない土地を国に引き取ってもらえる」として注目され、相続不動産の新たな“出口”として期待されてきました。
令和7年5月末時点における全国での実績は、以下のとおりです。
- 申請件数:3,854件
- 帰属完了件数:1,699件
制度開始から2年足らずの間に多くの申請と帰属完了が行われていますが、実際には国の管理費用が当初の想定を大きく上回っていることが明らかになってきています。
そのため、これまで「原則として20万円」で済んでいた負担金では、制度を維持することが難しくなりつつあります。
そこで本日は、相続土地国庫帰属制度の負担金が今後どのように変わっていくのか、そして私たちが今、どのように備えるべきかについて話してまいります。
目次
相続土地国庫帰属制度とは
この制度は、相続などで取得した不要な土地を、一定の条件を満たせば国に引き取ってもらえる仕組みです。
ただし、無料ではなく、申請時には次の費用が必要です。
- 審査手数料:14,000円(1筆あたり)
- 負担金:土地の将来管理費(原則として20万円)
この「負担金」には、国が土地を引き取ったあとに発生する草刈り・除草・巡回・安全管理などの費用が含まれています。
制度設計時には「10年分の維持費を想定」とされていましたが、現実はまったく違う状況になっています。

なぜ20万円では足りなくなっているのか
1. 国が所有している土地の方がクレームを受けやすい
土地が国庫に帰属すると、管理主体は財務省になります。
しかし、すべての土地を定期的に手入れしているわけではありません。
実際には、近隣からの苦情や通報があった場合に限り、国が対応に動くという運用が一般的です。
草木の繁茂や落ち葉の散乱、害虫の発生などで苦情が寄せられて初めて、国が業者を手配して除草や伐採を行います。
また、民間個人が所有している土地よりも、「国の土地だからしっかり管理すべき」という意識から、近隣住民がクレームを入れやすい傾向もあります。

2. 想定をはるかに上回る管理コスト
制度開始当初、国は「負担金20万円で10年分の維持管理費をカバーできる」と見込んでいました。
しかし、実際に引き取られた土地の多くは、山林や原野など面積が大きく、維持管理に手間がかかる土地が中心です。
こうした土地では、
- 草刈り・低木伐採
- 除草シートの設置
- 排水溝の清掃・補修
- 近隣からの苦情対応(出張・業者手配)
などの費用が想定外に積み重なり、負担金20万円では到底まかないきれない状況にあります。

3. 管理件数の増加と“人件費の上昇”
制度が広がるにつれて、国が管理する土地の件数は増加しています。
現地巡回・草刈り・樹木伐採などの委託作業には人件費が伴い、近年の人手不足と人件費高騰も拍車をかけています。
結果として、国庫帰属制度の運用コストは制度設計時の予算をすでに超過しており、このままでは制度が維持できない可能性すら指摘されています。
管理費不足という現実
国は、帰属後の土地について「周辺に迷惑をかけない範囲で最低限の管理を行う」と説明しています。
しかし、現場では実際に、
- 巡回・報告・苦情対応の人件費
- 苦情処理のための業者への作業委託
といった支出が相次いでおり、当初の想定をはるかに超える負担になっています。
つまり、制度を安定的に続けるには、負担金を引き上げて財源を確保するしかないのです。
値上げ前に動くことが重要
国庫帰属できる土地か早めに確認する
竹林や崖地、境界に問題がある土地など、条件を満たさず国庫帰属できない場合もあります。
相続土地国庫帰属制度に詳しい土地家屋調査士や行政書士などの専門家に早めに相談しておくことで、申請できるかどうかの判断がスムーズになります。

まとめ|20万円で国庫帰属できる今こそ、行動のタイミング
相続土地国庫帰属制度は、相続した不要な土地を整理するための画期的な制度です。
しかし、制度開始からわずか2年で、管理費用が想定を超え、20万円では維持できない現実が明らかになってきています。
今後は、市街地の宅地と同様に、その他の土地についても負担金が80万〜100万円、あるいはそれ以上へ引き上げられる可能性があります。
申請を迷われている方は、負担金が20万円のうちに手続きを進めておくことが、将来的なコストを抑える最も効果的な方法です。


































