皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
相続した実家のご相談の中でも特に多いのが、
「建築計画概要書はあるのに、検査済証がない」
というお悩みです。
じつは、検査済証が無い建物は全国的に非常に多く、とくに昭和〜平成初期に建てられた住宅では決して珍しいことではありません。
そこで本日は、検査済証がない建物は売却できるのか?融資は?相続では? といった疑問にわかりやすくお答えし、安心して手放すための正しい対処法について話してまります。
目次
そもそも「建築計画概要書」と「検査済証」は何が違う?
| 書類 | 役割 | 発行タイミング |
|---|---|---|
| 建築計画概要書 | 建物の構造・用途・面積などの“計画内容” | 建築確認申請時 |
| 検査済証 | 建物が図面通りに完成し、検査に適合している証明 | 竣工時(完了検査後) |
つまり、
✔ 建築計画概要書がある → 建築計画は承認されている
✖ 検査済証がない → 完了検査を受けていない可能性が高い
ということになります。

検査済証がない理由は?「違法建築だから」ではないことが多い
不動産所有者の方がよく誤解されるのが、
検査済証がない=違反建築?
というイメージですが、必ずしもそうではありません。
よくある実務上の理由は以下の通りです。
- 当時は完了検査の受検率が低かった(特に昭和50〜60年代)
- 施工会社の指導不足により検査が省略された
- 追加工事(増築)を無届けで行ったため発行できなかった
- 取得していたが書類を紛失している
- 設計事務所(施工会社)が廃業し履歴がわからなくなっている
検査済証がない=特別な問題がある建物ではなく、「当時の時代背景・施工慣行・業界の事情」によるケースが大半です。

検査済証がないと売却・融資・相続にどんな影響がある?
| 影響が出る場面 | 内容 |
|---|---|
| 売却 | 買主が不安を感じやすく、価格交渉の要因になりやすい |
| 住宅ローン | 金融機関により融資NG or 融資額減額の可能性 |
| 建替え | 再建築不可・接道・用途地域などの条件確認が重要に |
| 賃貸運用 | 保険や耐震基準の確認を求められる場合あり |
| 相続 | 売却・譲渡を前提とした整理をしないと手間が増える |
売却する場合の“安全な進め方”
検査済証がない建物を売却する際には、実務では次のような対応が有効とされています。
□ 検査済証が確認できないことを事前に説明
□ 価格査定は「検査済証なし」を前提に実施
□ 現況有姿渡し
□ 契約不適合責任免責
□ 再建築・融資の可否は買主負担で確認する旨を明示
これにより、売主・買主双方のリスクを最小限に抑えることができます。

どうしても融資審査が気になる場合の代替手段
買主側が融資を利用する可能性が高い場合、次の資料が“安心材料”として機能します。
- 既存住宅状況調査(インスペクション)
- 耐震診断
- 瑕疵保険への加入(適合証明)
- 電気・水道・ガス・配管等の機能点検記録
すべて必要というわけではありませんが、1つ追加するだけで売却しやすさは大きく変わります。

まとめ|検査済証がなくても売却・相続整理は可能。大切なのは「出口の設計」
最後に、本日のポイントをもう一度整理しておきます。
| 事実 | 対応 |
|---|---|
| 建築計画概要書はある | 建物計画は承認されている |
| 検査済証がない | 珍しくない・違法建築とは限らない |
| 売却できるか? | 可能。説明と条件の設計が重要 |
| 不安要素の解消方法 | 書類不備の事実を開示し、現況渡し&責任免責 |
検査済証がない家だからといって、「売れない」「処分できない」ということではありません。
適切な対応を取れば取引は可能です。

































