皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
「田舎に家や山があるけど、忙しいし…今はまだ放っておいても大丈夫だろう。」
そう考えて、相続した家や土地を“なんとなく放置”している方は少なくありません。
しかし、その不動産は10〜20年後、確実に子ども世代の大きな“負担”へ姿を変えていきます。
そこで本日は、統計データから見える“2040年前後”の高知県の空き家・負動産の未来予測と、今の段階でできる備えと整理方法について話してまいります。
目次
今の高知県はすでに「空き家全国トップクラス」
高知県の空き家状況(令和5年住宅・土地統計調査)
- 高知県の総住宅数:約38.8万戸
- 空き家数:78,700戸(空き家率20.3%)
→ 全国平均13.8%を大きく上回り、ワースト上位クラス
使用目的のない空き家の割合
賃貸用・売却用・別荘を除く「使用目的のない空き家」
→ 50,100戸(県内空き家の約6割以上)
すでに高知県では、約5万戸が“負動産化した(または負動産化寸前の)空き家”として存在しています。

2040年前後、高知県の空き家はどうなる?(未来予測)
高知県の人口は約10万人減のシナリオ
国立社会保障・人口問題研究所の推計
| 年 | 人口 |
|---|---|
| 2025年 | 約 64.8万人 |
| 2040年 | 約53.6万人 |
予測上でも今後15年で約10万人の人口減が見込まれていますが、高知市だけでも直近2年半で約1万人減っていることを踏まえると、人口減のスピードはさらに早まる可能性があります。
その結果、空き家・負動産の増加が予想以上のペースで進む恐れがあると言えます。
人口が減る → 家を使う人が減る → 空き家が増える(もしくは減らない)

全国トレンドから見える2040年の空き家
- 空き家総数:過去最多の900万戸
- 使い道がない空き家は増加継続
- 野村総研試算では「一戸建て空き家は2023年の約2.6倍」
→ 使い道のない空き家が激増する未来
これを高知県に当てはめると
高知県は現在すでに
- 空き家率20.3%(全国平均より大幅に高い)
- 使用目的のない空き家率12.9%(全国2位)
この傾向が進むと2040年前後は、
| 項目 | 将来の予測 |
|---|---|
| 空き家率 | 25〜30%に到達の可能性、3件に1件が空き家 |
| 使用目的のない空き家 | 解体が進んだとしても、使用目的のない空き家は4〜5万戸規模で横ばい、全体に占める割合はさらに上昇 |
家を使う人が減る一方で、使われない家は減らない
→ 負動産の比率が確実に高まっていく

10〜20年後に「負動産のツケ」を払うのは誰か
最も負担を背負うのは今の50〜60代の子ども世代
親世代↓
- とりあえずこのまま放置
- 書類・情報は整理されずバラバラ
子ども世代(2040年前後)↓
- 相続で突然「使わない家・山・農地」の責任が回ってくる
- 共有名義・名義が古いまま・境界や場所も不明
結果、売れない/処分できない/でも税金・管理は求められる「負動産」が完成します。
負担の重さは想像以上
- 固定資産税・家屋敷課税
- 草刈り・修繕費・近隣トラブル対応
- 共有者増加による意思決定不能
これが一気に子ども世代にのしかかる未来が現実味を帯びています。

「なんとなく放置」で起こりうる5つのリスク
① 市場価値のさらなる目減り
今処分しにくい物件は、人口減の中でさらに処分が難しくなる。
② 解体コストの上昇
廃棄費・人件費の高騰により、2040年頃「壊すなら今のほうが安かった」が起こり得る。
③ 危険空き家指定・行政対応
地震・豪雨リスクの高い高知県では、倒壊・屋根飛散などの危険空き家への監視・責任が強化される可能性。
④ 共有者の増加で整理不能
時間の経過とともに共有者が増えると、連絡が取れない人や、認知症などで同意できない人が1人いるだけで、売却も処分も前に進まなくなる「行き詰まり状態」が現実に起こり得る。
⑤ 子どもに「相続放棄しかない」と感じさせる
本来は売却・無償譲渡・国庫帰属など多様な選択肢があるのに、何も準備しないまま丸投げされると「相続放棄」しか選択肢がない未来に。

10〜20年後に後悔しないために、今できる3つの備え
ステップ1|不動産を“見える化”する
- 名寄帳または固定資産税通知書
- 登記簿謄本
- 公図・測量図
- 地図・写真
→ ひとまとめにし、「どこに何があるか」を明文化
ステップ2|方針をざっくり決める
- 使う可能性がある?
- 誰が管理する?
- 手放す?
→ 持ち続ける意味があるかを判断する
ステップ3|専門家に「選択肢」を聞いておく
- 売却・無償譲渡の可能性は?
- 解体のベストタイミングは?
- 国庫帰属制度の対象になる?
- 相続放棄の進め方は?
→ 物件ごとに最適解は違うため、早めの相談が安心。

まとめ|「そのうち」ではなく「今の代で方向性だけでも決める」
2040年前後の高知県は、人口減・高齢化・空き家増加がさらに深刻化する未来が予想されます。
そのとき、
親世代が何もしていなかった場合
→ 子ども世代が突然、負動産一式を背負わされる
今の代で方向性だけでも決めておく場合
→ 将来の負担・心の重さが大幅に軽減される
「今は困っていない」
その裏側にこそ、10〜20年後の負動産ショックの火種が眠っています。
子や孫に不動産の負担で困らせたくないとお考えの方は、早い段階から不動産の整理に取り組むことをおすすめします。
また、親世代に負動産の問題を受け入れてもらえない場合は、子ども世代の方から先に行動を起こすことも非常に重要です。































