相続した土地でも「低未利用土地控除」は使える?条件と注意点を解説

低未利用地控除

皆さま、こんにちは!

高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。

相続したものの使い道がなく、そのまま利用されていない土地や、売却を検討していても価格が低いため、売却するかどうか判断を迷っている土地は少なくありません。

このような低価格・未利用の土地について、一定の条件を満たせば、譲渡時の税負担を軽減できる制度が「低未利用土地控除」です。

そこで本日は、「相続した土地でも低未利用土地控除は使えるのか?」という疑問に対し、条件・注意点・誤解されやすいポイントについて話してまいります。

低未利用土地控除とは?

低未利用土地控除とは、一定の条件を満たす利用されていない、または利用が不十分な土地を売却した場合に、譲渡所得から最大100万円を控除できる制度です。

特に、

  • 長年使っていない土地
  • 相続で取得したまま活用できていない土地
  • 売却価格が低く、税金負担が気になる土地

を手放す際の税負担を軽減することを目的として創設されました。

低未利用地控除相続

相続した土地でも低未利用土地控除は使える?

結論から言えば、相続した土地でも条件を満たせば利用できます。

相続で取得した土地かどうかは、この制度の可否を直接左右するものではありません。

ポイントは「相続」ではなく、土地の利用状況と譲渡条件です。

主な適用要件

相続した土地で低未利用土地控除を使うためには、主に次のような条件があります。

  • 譲渡価格が500万円以下(一定の要件を満たす場合は800万円以下)
  • 譲渡時点で低未利用土地に該当すること
  • 市町村から低未利用土地等確認書の交付を受けていること
  • 個人が譲渡すること(法人は対象外)
  • 配偶者や親子、兄弟などの親族、または実質的に身内とみなされる相手への譲渡でないこと
低未利用地控除空家

空き家が建っていても控除は使える?

よくある誤解のひとつが、名称に「低未利用土地」とあることから、建物(空き家)が建っていると対象外になるのではないかと考えてしまう点です。

空き家が建っていても、控除の対象になるケースはあります

以下のような場合は、低未利用土地控除の対象となる可能性があります。

  • 長期間居住や利用がされていない空き家
  • 譲渡後に、買主が建物を解体または活用するケース

「建物がある=使えない」ではなく、譲渡前の利用実態や、譲渡後にどのように利用されるかが判断のポイントになります。

宅地建物取引業者

宅地建物取引業者が仲介した場合の重要な注意点

低未利用土地控除を利用するうえで、見落としがちなポイントがあります。

宅地建物取引業者の仲介で譲渡した場合

不動産会社(宅地建物取引業者)の仲介により土地を譲渡した場合、

  • 譲渡前の書面
  • 譲渡後の書面

それぞれに、仲介した宅地建物取引業者の記名が必要です。

不動産会社が制度を十分に理解していない場合、後から手続きが滞ることもあるため、売却前の段階で確認しておくことが安心です。

適用期限に注意|いつまで使える制度?

低未利用土地控除には期限があります。

現在の適用期限

  • 令和2年(2020年)7月1日から
  • 令和7年(2025年)12月31日まで
    の間に譲渡された物件が対象です。

制度の延長について

令和8年度税制改正に向けて、延長を求める要望は出されていますが、2025年12月10日現在、延長はまだ閣議決定されていません

低未利用地控除節税

まとめ|低未利用土地控除を正しく理解し、賢く活用しよう

  • 相続した土地でも低未利用土地控除は利用できる
  • 空き家が建っていても対象になる
  • 控除延長は未決定

低未利用土地控除は、「売るか、持ち続けるか」で悩む相続土地を整理する際の一つの判断材料になります。

税制を上手に活用しながら、将来的な管理負担や次世代への影響も含めて考えることが、後悔しない不動産整理につながります。

ABOUT US
上田 司代表取締役/宅地建物取引士
相続した負動産で苦労した自身の経験を原点に、同じような悩みを抱える方の力になりたいとの想いから、売却が難しい家や土地を専門に取り扱う、負動産のサポート事業を開始しました。相続不動産を中心に、各分野の専門家と連携し、再生・無償譲渡・国庫帰属制度など多角的な選択肢の中から、状況に応じた解決策をご提案しています。ご相談者様一人ひとりの事情に寄り添い、不動産の整理・処分を丁寧にサポートいたします。