皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
「この土地、単独ではとても売れそうにない……」
狭小地・変形地・再建築不可の宅地に限らず、山林や農地についても、こうした悩みを抱える方は少なくありません。
そのようなケースで検討されるのが、隣地と一体化して売却する「合体売却」という考え方です。
そこで本日は、宅地だけでなく、山林・農地も含めた隣地合体売却の現実と注意点について話してまります。
目次
なぜ隣地と合体すると土地は売れやすくなるのか?
土地は「広さ・形・使いやすさ」で評価されます。
単独では評価が低い土地でも、隣地と合体することで、
- 面積が広がる
- 境界が整理される
- 利用計画が立てやすくなる
- 管理効率が上がる
といった改善が見込めます。
これは宅地に限らず、山林や農地でも同様です。

隣地合体売却が向いている土地の例(宅地・山林・農地)
隣地と合体することで価値が生まれやすい土地には、次のようなものがあります。
宅地の場合
- 狭小地
- 変形地
- 接道が弱い、または再建築不可の土地
山林の場合
- 1筆ごとの面積が小さく単独利用しにくい山林
- 境界が細かく分かれ、飛び飛びに点在して管理しづらい放置林
- 隣地と一体でないと施業や管理が非効率な山林
農地の場合
- 小規模で耕作効率が悪い農地
- 利用者が見つからない遊休農地
- 隣接農地とまとめないと借り手・買い手が現れにくい土地
特に山林・農地は、「1筆単位」では評価されにくく、隣接地とまとめて初めて検討対象になるケースが多いのが実情です。

山林と農地ならではの土地合体のメリット
土地を合体(合筆)することで、次のようなメリットが期待できます。
山林の場合
- 施業面積がまとまり、管理がしやすくなる
- 作業道の計画が立てやすくなる
- 管理継続を前提とした引き取り手が見つかりやすい
農地の場合
- 耕作面積が確保でき、営農効率が上がる
- 隣接農家・担い手との話が進みやすい
- 利用目的がはっきりし、合意が得られやすい

隣地合体売却の現実|タイミングが合わないケースが非常に多い
ここで必ず知っておきたいのが、隣地所有者との関係性です。
多くの場合、隣地所有者は、
- 自分と無関係の第三者
- 高齢者
- 相続を控えている現所有者
であり、利害やタイミングが合わないケースが非常に多いのが現実です。
「こちらは早く手放したいが、隣接地の所有者はまだ考えていない」
この意識とタイミングのズレこそが、合体売却における最大のハードルです。

相続待ちは時間が読めないという大きなデメリット
宅地・山林・農地では特に、「隣地の所有者が亡くなり、相続人へ所有権が移ってからでなければ協議が進まない」ケースが多く見られます。
しかし、
- 相続発生の時期は読めない
- 相続人が確定するまで動けない
- 相続登記が済まない限り協議ができない
- 共有名義になると調整はさらに難しくなる
など、数年どころか、10年単位で話が進まないことも珍しくありません。
「合体できれば売れるが、いつになるか分からない」という状態で固定資産税や管理負担だけが続くことも珍しくありません。

隣地合体売却は「選択肢のひとつ」に過ぎない
隣地と合体できれば理想ですが、それが成立しないケースも現実的に多く存在します。
そのため重要なのは、最初から
- 合体を前提に考えすぎない
- タイミングが合えばの選択肢
- 他の出口戦略も同時に検討する
という姿勢です。
合体が難しい場合の代替となる出口戦略
隣地と話がまとまらない場合でも、選択肢は残されています。
- 単独での無償譲渡
- 隣地以外への調整・譲渡
- 山林・農地の利用者探し
- 相続土地国庫帰属制度の検討
「売れない=持ち続けるしかない」ではありません。

まとめ|土地の合体売却は現実を見て判断する
隣地合体売却は、宅地だけでなく山林・農地などの負動産でも有効な出口戦略になることがあります。
一方で、
- 隣地所有者とのタイミングが合わない
- 相続待ちで時間が読めない
- 合体できない可能性も高い
という現実も無視できません。
だからこそ、
合体売却は「可能性のある手段のひとつ」と捉え、複数の出口を比較しながら進めること
が、迅速な不動産整理につながります。

































