地籍調査(国土調査)実施済みの山林は整理が進みやすい|境界・手続き・出口の違いを解説

高知県山林国土調査

皆さま、こんにちは!

高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。

山林を相続した方や、長年手つかずのまま所有している山林について、「この先どう整理すればいいのか」「処分も含めて考えたい」といったご相談を多くいただいています。

その中で、整理が比較的スムーズに進みやすい山林と、長期間止まってしまう山林には、はっきりとした違いがあります。

その大きな分かれ目の一つが、「地籍調査(国土調査)が実施されているかどうか」です。

そこで本日は、地籍調査実施済みの山林がなぜ整理しやすいのかを、「境界」「手続き」「出口」という3つの視点から話してまいります。

そもそも地籍調査とは?

地籍調査とは、国や自治体が主体となって行う土地調査で、

  • 土地の位置
  • 面積
  • 地目
  • 所有者
  • 境界の位置

などを、現地調査と関係者の確認をもとに整理・記録する制度です。

特に山林では、

  • 境界標が古い・失われている
  • 登記簿と現地が一致していない
  • 隣地との境界が曖昧なまま放置されている

といったケースが非常に多く、地籍調査の有無がその後の整理の進み方を大きく左右します。

高知県山林境界

理由① 境界の「たたき」がすでにできている

地籍調査実施済みの山林が整理しやすい最大の理由は、境界について一定の整理がされている点です。

重要なのは、「地籍調査=完全な境界確定」ではないという点ですが、

  • 境界の位置について、過去に調査・確認が行われている
  • 図面や記録が残っている
  • 行政が把握している情報がある

という状態は、未実施地と比べると大きなアドバンテージです。

未実施の山林では、

  • どこからどこまでが自分の土地か分からない
  • 隣地所有者が誰か分からない
  • 立会い自体ができない

という状態からスタートするため、整理に入る前段階で止まってしまうことも珍しくありません。

高知県山林処分

理由② 手続きが「検討段階」まで一気に進む

地籍調査実施済みの山林では、

  • 無償譲渡が可能か
  • 隣地調整が現実的か
  • 国庫帰属制度の要件を満たす可能性があるか

といった出口の検討に早い段階で入れるのが特徴です。

一方、未実施地では、

  • 境界確認ができない
  • 面積が不明確
  • 引き取り手が見つかりにくくなる

といった状況になりやすく、地籍調査実施済みの山林と比べて、処分や整理に進むまでのハードルが高くなりがちです。

高知県山林売却

理由③ 出口(整理方法)の選択肢が広がる

地籍調査実施済みの山林は、整理の出口を複数比較しやすいという点も大きな特徴です。

例えば、

  • 隣地所有者への無償譲渡
  • 山林利用者・管理者への引き渡し
  • 国庫帰属制度の検討

など、「現状を把握したうえで、現実的な選択肢を比較する」ことが可能になります。

高知県山林国土調査

地籍調査が実施されているかを調べる方法

「自分の山林が地籍調査実施済みかどうか分からない」という方も多いと思います。

その場合に役立つのが、「MAPPLE 法務局地図」ビューアです。

このサイトでは無料で、地籍調査の実施状況などを地図上で確認することができます。

ご自身で確認することも可能ですので、まずは所有されている山林について、地籍調査が実施されているかどうかを一度確認してみてください。

地籍調査が実施されているエリアでは、地図上に赤い境界線と地番が表示されるようになっています。

MAPPLE法務局地図ビューア

高知県山林境界不明

まとめ|整理が進みやすいからこそ、動く価値がある

地籍調査実施済みの山林は、

  • 境界情報の土台がある
  • 手続きの検討に入りやすい
  • 整理の出口を比較しやすい

という理由から、山林整理を進める上で有利な条件を備えています。

「どう処分すればいいか分からない」と感じている山林があれば、まずは現状を整理し、取れる選択肢を確認するところから進めていきましょう。

ABOUT US
上田 司代表取締役/宅地建物取引士
相続した負動産で苦労した自身の経験を原点に、同じような悩みを抱える方の力になりたいとの想いから、2025年より、売却が難しい家や土地を専門に取り扱う「負動産整理」のサポート事業を開始しました。相続不動産を中心に、各分野の専門家と連携しながら、再生・無償譲渡・相続土地国庫帰属制度など、一つの方法に限定せず、複数の選択肢を整理したうえで、状況に応じた進め方をご案内しています。売却や処分を前提に話を進めることはありません。ご相談者様一人ひとりの事情やお気持ちに寄り添い、「どう整理するか」を一緒に考えることを大切にしながら、不動産の整理・処分を丁寧にサポートいたします。