皆さま、こんにちは!
高知で相続不動産の売却・処分を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。
「相続した家や土地を売ったら、いくら税金がかかるの?」と疑問を持つ方はとても多いです。
実は、相続不動産の売却でかかる税金は主に3種類あり、特例を活用できれば、課税額を大幅に減らしたり、非課税にできるケースもあります。
そこで本日は、相続不動産の売却でかかる税金の全体像と、税金を減らす、またはゼロにできるケースについて話してまいります。
目次
相続不動産を売却するとかかる3つの税金
相続した不動産を売却する際、主に次の3種類の税金が関係します。
- 譲渡所得税(所得税+住民税)
不動産を売って得た利益(譲渡所得)にかかる税金です。 - 復興特別所得税
東日本大震災の復興財源のために、所得税額の2.1%が加算されます。 - 印紙税(売買契約書に貼付する印紙代)
契約書に記載された金額に応じて課税されます。
(例:1,000万円~5,000万円の売買契約=1万円)
ポイント:
実際の税負担の中心は、譲渡所得税(所得税+住民税)です。
相続税をすでに払っていたとしても、売却益が出れば譲渡所得税が課税される可能性があります。
譲渡所得税の計算方法と税率の具体例
譲渡所得税は、以下の計算式で求められます。
計算式
- 譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)
- 課税譲渡所得 = 譲渡所得 - 各種特別控除
この課税譲渡所得に税率をかけて、所得税と住民税が課されます。
税率
所有期間によって税率が異なります。
区分 | 所得税率 | 住民税率 | 合計 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得(5年以下) | 30% | 9% | 39% |
長期譲渡所得(5年超) | 15% | 5% | 20% |
※所有期間は、被相続人(亡くなった方)が購入してからの年数も引き継ぐため、相続した直後に売っても長期譲渡所得になることが多いです。
譲渡所得税の具体例
売却価格:2,000万円
取得費(購入価格等):1,200万円
譲渡費用(仲介手数料など):100万円
特別控除:なし
所有期間:長期譲渡所得(5年超)
- 譲渡所得=2,000万円-(1,200万円+100万円)=700万円
- 課税額=700万円×20%=140万円
この場合、約140万円の譲渡所得税がかかります。
税金がかからない(ゼロになる)ケースとは?
次のような場合には、税金がかからないことがあります。
- 譲渡所得がゼロまたはマイナスの場合
売却価格が取得費や売却費用と同じ、またはそれ以下なら税金はかかりません。 - 空き家の譲渡所得3,000万円特別控除
一定の条件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円まで控除されます。 - 居住用財産の譲渡所得3,000万円特別控除
一定の条件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円まで控除されます。 - 相続税の納税期限から3年以内の譲渡で取得費加算特例を使える場合
相続税の一部を取得費に加算でき、結果的に課税所得がゼロになるケースがあります。
税金対策を失敗しないための注意点
- 税務署への申告は売却翌年の確定申告で必要
- 書類を残しておかないと取得費が認められず、税額が増える可能性あり
取得費査定サービスとは
不動産鑑定士と税理士が連携し、「取得費査定サービス」を提供しています。
このサービスでは、不動産取得税の申告時に「実際の取得費が売却額の5%以上であること」を証明する書類を作成します。
通常、取得費を証明する資料(売買契約書や領収書など)が残っていない場合、税務上は取得費を「売却額の5%」とみなされてしまいます。しかし、実際には取得費が5%を大きく超えていたケースも少なくありません。
取得費査定サービスを活用することで、本来よりも多くの税金を支払わずに済む可能性があります。
まとめ|相続不動産の売却は税金対策がカギ
相続不動産の売却では、主に譲渡所得税がかかりますが、譲渡益が出ない場合や各種特例を活用できる場合には、税金がゼロになる可能性があります。
最終的に手元にいくら残るのかが重要
遺産分割協議書に不動産の売却内容を記載する必要がある場合は、売却額が決まる前の段階から不動産会社に相談し、単に「いくらで売れるか」だけでなく、税金や諸経費を差し引いたうえで「最終的に手元にいくら残るのか」を見据えて計画を立てることが大切です。