皆さま、こんにちは!
高知で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい不動産を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。
賃貸アパートや貸ビル、駐車場などの事業用不動産を売却した際に、多くの方がまず驚かれるのが、譲渡所得税の負担の大きさです。
所有期間によって異なりますが、売却益の約20%〜40%が税金として課される場合があります。
そこで活用したいのが、「事業用不動産の買い替え特例」です。
一定の条件を満たせば、売却で発生する税金の支払いを将来に繰り延べることができる、非常に有利な制度です。
そこで本日は、事業用不動産の売却で発生する譲渡所得税の負担を軽減できる「買い替え特例」について話してまいります。
目次
事業用不動産買い替え特例とは?
「事業用不動産の買い替え特例」とは、事業に使っていた不動産を売却して、一定期間内に新しい事業用不動産を取得した場合に、譲渡益にかかる課税を繰り延べできる制度です。
税金が「免除」されるわけではありませんが、支払いを将来に繰り延べることで、次の投資や事業再構築に資金を回すことができます。

対象となる「事業用不動産」
特例の対象となるのは、「事業に供していた」土地・建物です。
以下のようなケースが該当します。
- 自社オフィス・店舗・事務所・倉庫
- 貸店舗・貸事務所・貸駐車場などの賃貸用不動産
- 個人事業主が業務に使用していた土地や建物
- アパート・貸家などの不動産賃貸業用資産
注意
- 自宅(居住用)は対象外です。
- 遊休地(使用していない土地)も原則対象外です。
- ただし「貸地」などで事業的に収益を得ている場合は対象になることもあります。

適用の主な条件
事業用不動産買い替え特例には、以下のような期間・金額・用途に関する要件があります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 買い替え期間 | 売却年の前年1月1日から翌年12月31日まで(2年間)に買い替えること |
| 買い替え資産 | 同じく事業用として使用する土地・建物であること |
| 面積要件 | 買い替え資産の土地は、300㎡以上であること(店舗・事務所・工場・倉庫などの敷地) |
| 売却価格と購入価格の関係 | 新しい不動産の取得費が売却価格より少ないと、その差額部分に課税される |
| 所有期間 | 原則10年超。ただし、令和8年3月31日までの譲渡は要件停止中につき5年超で適用可 |
| 居住用との併用不可 | 「居住用財産の特例」との併用は不可(どちらか一方のみ) |
| 申告手続き | 確定申告時に、明細書・登記事項証明書などを添付する必要がある |
| 使用開始要件 | 買い替え資産を取得後、1年以内に事業に使用すること |
| 面積制限(上限) | 買い替え後の土地面積は、譲渡土地の5倍以内であること |

節税の具体例
例えば、高知市内で5年以上保有していた貸店舗を売却した場合を考えてみましょう。
- 売却価格:5,000万円
- 取得費:2,000万円
- 譲渡益:3,000万円(通常なら約600万円の税金)
このとき、売却後に同年内または翌年に5,000万円(売却額と同額)で新しい店舗や賃貸用不動産を取得すれば、譲渡益3,000万円に対する課税は、将来その買い替えた不動産を売却する時点まで繰り延べることができます。
(注意) 買い替えた不動産の取得価格が売却価格より少ない場合は、その差額部分に対して課税されます。
適用を受けるための手続き
買い替え特例を受けるには、確定申告での届出が必須です。
主な流れは以下の通りです。
- 売却・買い替え双方の契約書・登記事項証明書を準備
- 「事業用資産の買換え等の特例適用明細書」を作成
- 売却年分の確定申告書に添付
- 税務署へ提出(電子申告も可)
なお、特例の適用可否は個々の状況によって異なるため、不動産の譲渡税に精通した税理士へ相談するのが確実です。

高知の不動産オーナーが活用すべき理由
1. 地価の二極化による組み換え需要
高知市中心部では地価が上昇傾向にある一方、その他のエリアでは下落が続いています。このため、中心部への資産移転(組み換え)を検討するオーナーが増えています。
2. 老朽化物件の建て替え・再投資がしやすい
築古のアパート・店舗を売却し、新しい収益物件やテナント用地へ再投資する際に税金を繰り延べできるため、資金繰りの自由度が大きくなります。
3. 事業承継・相続対策にも有効
将来的な事業承継を見据えて、資産を整理・組み換えしておくことは、相続時の評価引下げや後継者への引き継ぎをスムーズにします。
注意点
買い替え資産の要件を満たさない場合、特例が取り消され追徴されるリスク

まとめ|節税と資産再構築を支援する制度
事業用不動産買い替え特例は、単なる節税策ではなく、資産の再構築を支援する制度です。
高知県内の不動産オーナーにとっても、「老朽物件を売って、より利便性の高い立地に移す」「賃貸用資産を効率的に組み換える」といった事業戦略を後押しします。





























