高知県でも急増中|耕作放棄地が“雑種地課税”で固定資産税3〜10倍になる理由と対策

農地・雑種地固定資産税対策

皆さま、こんにちは!

高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。

「田んぼも畑も、もう誰も使っていない」

「毎年、草を刈るだけの土地になっている」

そんな“耕作放棄地”が、近年高知県内でも急増しています。

しかし、放置されたままの農地は、いつの間にか「雑種地」扱いに変わり、固定資産税が3〜10倍に跳ね上がるケースが少なくありません。

そこで本日は、農地が雑種地に変わる理由と、その対策方法について話してまいります。

なぜ農地が“雑種地”として課税されるのか?

「農地」として認められる条件

固定資産税の課税区分は、「地目」ではなく現況(実際の使われ方)」で判断されます。

たとえ登記簿上の地目が「田」「畑」となっていても、次のような状態であれば「農地」として認められません。

  • 長期間、耕作が行われていない(草が伸び放題)
  • 農機具の出入りがない
  • 工作物(資材置場・駐車スペースなど)に転用されている
  • 太陽光パネルやコンテナが設置されている

このような状態の土地は、実態として“農地”ではない=雑種地課税の対象と判断されてしまいます。

雑種地固定資産税

「雑種地課税」に変わると税金は3〜10倍に

農地課税と雑種地課税では、評価基準がまったく異なります。

農地は農業用として評価が低く抑えられていますが、雑種地は宅地に近い評価額になります。

区分主な用途固定資産税評価の目安税額の違い(農地比)
農地耕作・営農低い(生産緑地評価)1倍
雑種地駐車場・資材置場など宅地並み評価約3〜10倍

※評価額・税額の上昇幅は地域や立地条件によって異なります。

とくに、市街化区域や住宅地に近い場所では、「農地→雑種地」変更で課税額が急増します。

結果的に「年間数千円→数万円」「数万円→十数万円」になることもあります。

雑種地扱いになりやすい“典型的なパターン”

高知県でも、以下のようなケースで課税区分の変更が増えています。

  1. 相続後に誰も管理しておらず、雑草が繁茂している
  2. トラクターが入らず、耕作再開が難しい
  3. 農地転用届を出していないのに、実質的に資材置場や駐車場として使用
  4. 太陽光パネル・仮設倉庫・プレハブなどを設置
  5. 隣地との境界未確定で実態不明

とくに「相続してから10年以上放置している」土地は、課税課が現地確認を行い、評価替えのタイミングで自動的に“雑種地”に変更されることがあります。

農地・雑種地固定資産税対策

固定資産税が上がってしまったときの対応策

1. まずは課税明細書を確認

毎年届く「固定資産税・都市計画税課税明細書」で、地目と評価額を確認しましょう。

「農地」ではなく「雑種地(非住宅地)」と記載されていれば、既に課税区分が変更されています。

2. 異議申立て・評価見直しの相談

誤って評価されている場合は、市町村の資産税課へ“評価見直し”を申請できます。

ただし、現況が「耕作放棄」の状態であれば、農地扱いへの復帰は難しい場合が多いです。

3. 営農再開や転用届の整備

再び耕作を開始したり、正式に農地転用届出を行うことで、正しい評価に戻せるケースもあります。

一方で、耕作継続が難しい場合は、「隣地売却」「譲渡」「国庫帰属」などの出口策を検討するのが現実的です。

農地・雑種地固定資産税対策

まとめ|「雑種地課税」は早期対応で防げる

  • 農地は使っていなければ自動的に雑種地(非住宅地)扱いになることがある
  • 雑種地(非住宅地)課税に変わると、固定資産税は3〜10倍に上昇

放置している間に、税金の上昇リスクは進みます。

「もう使っていないから」と放っておかず、現状の確認と将来の整理を始めましょう。

ABOUT US
上田 司代表取締役/宅地建物取引士
相続した負動産で苦労した自身の経験を原点に、同じような悩みを抱える方の支えになりたいとの想いから、負動産専門のサポート事業を開始。相続不動産を中心に、各分野の専門家と連携し、売却の難しい家や土地の再生・譲渡・国庫帰属など多角的な解決策を提案。ご相談者様一人ひとりの事情に寄り添い、不動産の整理・処分を全力でサポートしています。