固定資産税と登記の面積が違うのはなぜ?売却で知っておくべきポイント

登記簿固定資産税不動産面積の違い

皆さま、こんにちは!

高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。

相続した土地や家を売却しようとした際に、固定資産税の面積(課税床面積)と登記簿の面積が一致していないことに気づき、疑問に思われる方は多くいらっしゃいます。

とくに多いのが次のケースです。

  • 固定資産税の面積の方が大きい
  • 数㎡〜十数㎡ほど差がある

結論からいうと、面積差は 珍しいことではなく、むしろよくあること です。

そこで本日は、安心して不動産売却を進めるために、面積差の理由・注意点・対応方法について話してまります。

建物の面積が違うのはなぜ?(課税床面積と登記床面積の違い)

建物については、面積の算定方法そのものが異なるため 差が生じます。

種類主な目的計測方法
登記簿の床面積建物の登録壁の内側(内法)で計測
固定資産税の課税床面積税金算定壁の中心線計算(壁厚を含む)

この違いにより、ほとんどの建物は課税床面積 > 登記床面積となります。

差が広がりやすい要因には次があります。

  • ロフト・小屋裏収納の扱い
  • スキップフロア・吹き抜けの計算方法
  • バルコニー・玄関ポーチの扱い

面積差は異常ではなく、むしろ一般的な現象だと理解して問題ありません。

登記簿固定資産税不動産面積の違い

土地の面積が違うこともある

面積差は建物だけではなく、土地でも起こります。

▼土地の面積差が生じる原因

内容説明
公簿面積(登記)と現況面積の違い古い測量技術や境界不明確化
固定資産税の算定が古い図面を基準過去の地籍図・概算面積を基に課税されているケース
道路認定・地役権・払下げの反映遅れ実態と登記内容が一致していない
地番ごとの面積は正しくても境界杭がない現況面積と合わなくなる

土地の売却では、登記面積で売る「公簿売買」と、実測面積で精算する「実測売買」という2つの方法があり、物件に応じて適切な選択が異なります。

土地の面積差があるからといって、売却できなくなるわけではありません。

登記簿固定資産税不動産面積の違い

面積が違うと売却に影響するのか?

面積が違っていても売却はできます。

ただし、次の場合はトラブルの原因になりかねません。

トラブルが発生しやすいケース

  • 課税面積で売却価格を計算してしまった
  • 増築未登記部分の説明が不足していた
  • 図面や書類の確認をせずに契約を進めた

不動産会社が仲介に入る取引の場合、課税面積・登記面積・実測面積の違いを踏まえて査定・調査・重要事項説明が行われるため、こうしたトラブルは原則として発生しにくい仕組みになっています。

一方で、個人同士の売買、知人・親族間での取引、相続人間での調整、空き家の直接取引などでは、このような誤解や確認不足が発生しやすいのが実情です。

売買契約で使う面積はどれ?

原則として使うのは「登記簿の床面積(法務局の登記事項証明書)」です。

固定資産税評価額の面積を契約面積として使うことはありません。

登記簿固定資産税不動産面積の違い

登記変更や測量をしないと売れない?

よくある誤解 →「面積差がある=登記変更や測量が必須」ではない

実際には、必要な場合・不要な場合が分かれます。

必要になる可能性があるケース

  • 増築部分を正式に登記して価値として売りたい
  • 銀行の住宅ローン審査で指摘された

不要なケース

  • 現況渡し・建物を解体前提で売る場合
  • 面積修正コストの方が大きくなる場合
  • 物件の価値が面積に依存しない場合

大切なのは、“すべての物件で同じ対応をするのではなく、状況に応じた最適解を選ぶこと”です。

登記簿固定資産税不動産面積の違い

売却前にやっておくと安心なチェックリスト

売却でトラブルをほぼ防げる確認項目はこちらです。

チェック内容必要書類
契約に記載する面積の確認登記事項証明書
固定資産税の面積の確認課税明細書
増改築・未登記の有無図面・建築資料・登記事項証明書
面積差の理由を説明できるか上記の資料で整理
登記簿固定資産税不動産面積の違い

まとめ|面積が違っても売却はできる

固定資産税と登記の面積が違うのはよくあることで、基本的には売却に支障はありません。

しかし、

  • 面積の扱いを誤った契約書
  • 書類の確認不足

によって、トラブル・売却遅延につながる可能性があります。

取引を安全に進めるうえで最も大切なのは、「なぜ面積が違うのか」を売主・買主ともに理解し、説明できる状態にしておくことです。

理由が明確であれば、面積差があってもトラブルに発展する可能性は大きく減ります。

ABOUT US
上田 司代表取締役/宅地建物取引士
相続した負動産で苦労した自身の経験を原点に、同じような悩みを抱える方の支えになりたいとの想いから、負動産専門のサポート事業を開始。相続不動産を中心に、各分野の専門家と連携し、売却の難しい家や土地の再生・譲渡・国庫帰属など多角的な解決策を提案。ご相談者様一人ひとりの事情に寄り添い、不動産の整理・処分を全力でサポートしています。