皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
2023年にスタートした「相続土地国庫帰属制度」は、相続した土地を国に引き取ってもらえる制度として全国的に注目されています。
中でも特に多く寄せられているのが 「宅地の負担金はいくらになるのか?」というご相談です。
土地によって20万円で済む場合もあれば、増額になるケースもあり、その違いが分かりづらいことが不安の原因になっています。
そこで本日は、「市街地の宅地」に焦点を当てながら、費用・条件・審査落ちポイントについて話してまいります。
目次
そもそも「20万円」とは何の費用?
相続土地国庫帰属制度では、国が引き取った土地を管理する費用として、負担金(管理費相当額)=土地1筆あたり原則20万円が定められています。
ただし、宅地については
- 立地(用途地域)
- 面積
- 周辺状況
によって負担金が増額される場合があるため、必ず20万円とは限りません。

宅地が20万円で収まる可能性が高いケース
特に以下に該当する宅地は、20万円の範囲で済むことが多いです。
- 市街化調整区域
- 用途地域の指定がない(非線引きエリア)
- 農村・過疎エリアの宅地
- 面積が大きすぎない(目安:100〜300坪以内)
市街地から離れた宅地は、20万円適用になりやすい傾向があります。

市街地の宅地は「20万円で済まない」可能性が高い
次の条件に当てはまる場合、追加の負担金が必要となるケースが多いです。
- 市街化区域の宅地
- 用途地域あり(住居系・商業系・準工業など)
- 面積が広い
- 住宅密集地にある
この場合、地域係数・面積係数によって、80万円〜100万円超になることもあります。

地域係数・面積係数とは?負担金が増額される仕組み
相続土地国庫帰属制度の負担金は「原則20万円」とされていますが、土地の状況によっては地域係数・面積係数が適用され、金額が増える場合があります。
地域係数とは?土地の立地によって負担金が変動
地域係数とは、土地が所在しているエリアの管理コストを評価するための係数です。
- 市街地や用途地域内の宅地は、負担金が増額されやすい
- 市街化調整区域・用途地域なしの宅地は、20万円で収まる可能性が高い
制度は地価の高さを判断しているのではなく、国が管理するために必要となる経費や安全確保の負荷をもとに算定されています。
面積係数とは?土地が広いほど負担金が増額
面積係数とは、土地の広さに応じて負担金を増額するための係数です。
- 面積が広くなるほど増額の可能性
- 宅地の場合、100〜300坪以内であれば増額リスクは低め
- 500坪〜1,000坪級になると大幅な増額となる例もあり
とくに市街地では、土地が広いほど負担金が高額になりやすい傾向があります。
| 係数 | 影響する内容 | 増額になりやすい土地 |
|---|---|---|
| 地域係数 | 土地の立地・用途地域 | 市街地・用途地域内 |
| 面積係数 | 土地の広さ | 500坪・1,000坪超の宅地 |

まとめ|市街地の宅地は負担金が増額する可能性が高い
相続土地国庫帰属制度は、
- 使い道がない土地
- 遠方で管理できない土地
- 売却見込みの薄い土地
などを抱える相続人にとって、とても有効な制度です。
しかしその一方で、市街地の宅地は負担金が増額になりやすいという特徴があり、「想定以上の費用がかかった」という結果につながる可能性もあります。
負動産の処分は、無償譲渡や隣地調整など、ほかの選択肢との費用対効果を比較したうえで、最も負担の少ない方法を選択することをおすすめします。

































