皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
相続した土地について、
- 地番は分かるが住所が分からない
- どこにある土地なのか見当がつかない
このような相談は非常に多くあります。
特に、「山林・農地・原野」などでは、住所表示そのものが存在せず、「地番=場所」ではありません。
そこで本日は、地番しか分からない相続土地を、現地に近いレベルまで特定する考え方と実務手順を、実際の現場経験を踏まえて話してまいります。
目次
そもそも、なぜ「地番があっても場所が分からない」のか

まず前提として知っておいてほしいのは、「地番と住所は別物」だという点です。
- 住所:人が住む・郵便が届くための表示
- 地番:法務局で土地を管理するための番号
山林や農地では、
- 住所が存在しない
- 昔の地番のまま変更されていない
- 地籍調査が未実施
といった理由で、「書類上は存在するが、地図上で分からない土地」になりがちです。
地番しか分からない相続土地を探す基本的な考え方
結論から言うと、1つの資料だけで特定できることはほぼありません。
特に、地籍調査が終わっていない地域では、複数の地図・資料を重ね合わせて、少しずつ精度を上げていくという方法が有効です。
地番しか分からない土地は「地図を重ねて精度を上げる」
地籍調査が終わっていない山林や農地では、1つの資料だけで土地の場所を特定することはほぼ不可能です。
そのため実務では、
① 地番の並びを把握する
② 課税上の位置を確認する
③ 山林・農地としての管理図に当てはめる
④ 現況に近い区画情報で精度を高める
という流れで、複数の地図・資料を重ね合わせながら、少しずつ場所の確度を上げていきます。
① 登記所備付地図(いわゆる公図)
地番配置を把握するための「出発点」
まず最初に確認するのが、登記所備付地図(公図)です。

これは、地番同士の並びや位置関係を把握するための基礎資料になります。
福島屋の実務では、G空間情報センターで取得できる「法務省登記所備付地図データ」を「QGIS(地理情報システム)」に取り込み、課税地番図や農地の区画情報など、他の地図と重ね合わせて使用します。

ただし公図は、
- 作成時期が古い
- 縮尺が不正確
- 地形や道路と合わない
というケースが珍しくありません。
正確な面積や境界を示すものではなく、あくまで「地番配置を考えるための起点」として使います。
② 課税地番図
「実際に税金がかかっている場所」を確認する
次に確認するのが、市町村が管理する「課税地番図」です。

これは固定資産税の課税対象を示す地図で、
- 実際に課税されている地番
- 現況に比較的近い位置
が反映されていることが多く、公図より実務的な精度が高い場合があります。
特に、
- 固定資産税は払っている
- でも土地の場所が分からない
というケースでは、「税金がかかっている場所」を地図上で確認できる重要な資料になります。
③ 森林計画図(山林の場合)
山の中で「どのエリアか」を絞り込む

対象が山林の場合、欠かせないのが「森林計画図」です。
森林計画図は、
- 林班・小班単位で森林を管理
- 地形や尾根、谷との関係が分かる
という特徴があり、「この地番がどの山のどの辺か」を考えるうえで非常に役立ちます。
公図や課税地番図だけでは平面的にしか分からない土地も、森林計画図を重ねることで、立体的・地形的な位置関係が見えてくるようになります。
④ 農地の区画情報(筆ポリゴン)
現況に最も近い形で精度を高める

農地の場合は、農地台帳や農地情報公開システムに基づく「筆ポリゴン」が非常に有効です。
これは、
- 1筆ごとの区画をポリゴン(面)で管理
- GIS上で扱える
ため、QGIS(地理情報システム)上で、
- 公図
- 課税地番図
と重ねることで、「この農地のこの区画が該当しそうだ」というレベルまで絞り込むことができます。
資料を重ねることで見えてくるもの
この①〜④を単独で見るのではなく、
- 公図で地番の並びを確認し
- 課税地番図で現実の位置に近づけ
- 森林計画図・筆ポリゴンでエリアを確定していく
ことで、地番しか分からなかった相続土地が、現地と結びついた情報に変わっていきます。
境界は「合意」が前提

このようにして土地のおおよその場所を特定できたとしても、譲渡や国庫帰属を行う場合には、所有権界(境界)を明確に示す必要があります。
ただし、
- 公図の線をそのまま信じる
- 一方的に標を打つ
ことはできません。
福島屋の実務では、
- 隣地所有者に確認のうえ
- 合意を前提として
- 所有権界を示すための標を設置
という手順を取っています。
まとめ|「正しい地図」は存在しない
地籍調査が終わっていない土地では、
「1枚の正しい地図」は存在しない
という前提に立ち、複数の資料を組み合わせて検討していくことが、相続した山林や農地などの土地を特定するための、最も現実的な方法です。


































