皆さま、こんにちは!
高知県で、山林や農地をはじめ、相続後の扱いに困っている土地や、売却・処分が難しい「負動産」を専門としている福島屋代表の上田です。
不動産に関わる制度の中核にあるのが、「宅地建物取引業法」と「不動産登記法」です。
これらは、日本の不動産取引の安全と秩序を支えてきた重要な法律です。
その役割は、今後も変わるものではありません。
しかし、処分や管理に困難を抱える不動産の現場に立つと、ひとつの前提が浮かび上がってきます。
それは、これらの制度が「不動産に価値がある」ことを前提に設計されているという点です。
そこで本日は、その構造について、負動産の現場に立つ者としての率直な考えを話してまいります。
制度が整えているもの

宅地建物取引業法
宅建業法は、取引の安全を守る法律です。
重要事項説明、契約条件の明確化、手付金等の保全。
いずれも、売買という市場行為を前提としています。
買主がいること。
売主がいること。
市場価格が成立していること。
売買取引が成立し得る不動産を、いかに安全に流通させるか。
それが制度の中心的な目的です。
不動産登記法
一方、不動産登記法は、権利関係を公示する制度です。
所有権の明確化。
抵当権の設定。
権利の優劣の整理。
ここでもまた、利用や取引を前提とした不動産が想定されています。
登記は、経済活動の基盤を整えるための仕組みです。
境界の明示と経済合理性

不動産実務において、境界の明示は重要な要素です。
売却時には、土地の範囲を明確にすることが原則とされています。
そのため、測量を実施し、隣接地所有者と立会いのうえで境界を確認し、費用をかけて確定させることが一般的です。
なぜそこまで行うのか。
それは、その土地に市場価格があり、費用と価値の間に経済合理性が成立しているからです。
しかし、市場価格が実質的に評価されない土地ではどうでしょうか。
境界確定のための費用を負担する合理性が見いだしにくい。
ここにもまた、「価値前提」の構造が見えます。
制度の中にある、動かない不動産
現実には、次のような土地が存在します。
売却できない山林。
市場価格がつかない宅地。
境界確定の経済合理性が成立しない耕作放棄地。
登記はされている。
所有者も明確である。
それにもかかわらず、売買は成立せず、整理も進まない。
制度の枠内にありながら、実質的には動かない不動産です。
負動産という現象

こうした不動産は、資産として評価されにくい一方で、所有者には管理や税負担といった負担だけが残ります。
市場で流通することを前提に整えられた制度のもとでは、市場から評価されない不動産はその制度の恩恵を受けにくく、相続登記などの義務と費用だけが所有者に帰属する構造となります。
法律が誤っているわけではありません。
ただ、制度が整えているのは「価値が流通する領域」であり、「価値がつかない不動産の整理」そのものではありません。
そこに、制度の構造的な隙間が生じています。
まとめ|負動産と制度のはざま

不動産が常に資産であるとは限りません。
市場価格が成立しない土地。
売買取引が成立し得ない不動産。
それでもなお、所有権は存在し続けます。
制度が前提とする世界と、現実に存在する不動産とのあいだには、確かに差異が横たわっています。
そして実務の現場では、使っていない土地や、利用する予定のない不動産を所有し続けることに負担を感じている方が少なくありません。
負動産を専門領域とする立場から見れば、この差異は、これからの不動産制度と実務のあり方を考えるうえで、検討を深めるべき重要なテーマであると認識しています。

































