皆さま、こんにちは!
高知県で、山林や農地をはじめ、相続後の扱いに困っている土地や、売却・処分が難しい「負動産」を専門としている福島屋代表の上田です。
近年、高知でも空き家や相続不動産に関する相談が増えていますが、その中でも特に多いのが「昭和に建てられた住宅」の扱いに関する悩みです。
現在はまだ何とか維持できている建物でも、
- 相続人が県外に住んでいる
- 管理が難しくなってきた
- 修繕費の負担が重い
- 解体費用が高額
- 活用方法が見つからない
など、時間の経過とともに問題が複雑化していくケースは少なくありません。
さらに今後は、単に「古い家が増える」という話ではなく、不動産市場そのものの構造が変わっていく可能性があります。
その大きな理由のひとつが、平成住宅の相続時代に入っていくことです。
そこで本日は、これから平成住宅の相続が増えていく中で、昭和の建物がどのような立場になっていく可能性があるのか、実務上の感覚も踏まえながら話してまいります。
目次
あと10〜15年で「平成に建てられた家」の相続が増えていく

現在、日本人の平均寿命は男性約81歳、女性約87歳前後と言われています。
例えば30歳で家を建てた場合、
- 昭和50年(1975年)に建築 → 現在80代前後
- 平成5年(1993年)に建築 → これから70代に入る世代
つまり、これから10〜15年ほどで、平成時代に建てられた住宅の相続が急増していくことになります。
平成初期以降は、
- 新耐震基準
- 高断熱・高気密化
- 設備性能の向上
- メンテナンス性を考慮した設計
など、住宅性能そのものが大きく変わった時代でもありました。
これから相続不動産市場で増えていくのは「平成の家」

平成時代は、
- ダイワハウス
- 積水ハウス
- セキスイハイム
- ミサワホーム
- パナホーム
など、大手ハウスメーカー住宅が全国的に普及した時代でもありました。
築年数が経過していても、
- 耐震性能
- 設計の合理性
- 修繕履歴
- ブランド力
などが評価されやすく、一定の需要が残る可能性があります。
つまり今後の相続不動産市場では、比較対象そのものが変わっていきます。
昭和の住宅は「古い家」ではなく「比較される家」になる

もちろん、昭和の建物すべてに価値がないわけではありません。
- 豪華な日本建築
- 数寄屋建築
- 古民家としての希少性
- 立地条件の良い建物
など、特殊価値を持つ建物は別です。
しかし一般的な昭和住宅、特に1981年(昭和56年)以前の「旧耐震」住宅は、
- 耐震性能への不安
- 古い配管や電気設備
- 断熱性能不足
- シロアリや雨漏りリスク
- 修繕費の増加
などから、ニッチ層以外には受け入れられにくくなっています。
これまでは「古い家同士」の比較だったものが、今後は平成住宅との比較になります。
すると昭和住宅は、単に“古い”だけではなく、「より条件の良い中古住宅が増える中で選ばれにくくなる」という状況が起きやすくなります。
「解体しか残らない」ケースも増えていく

- 売却が難しい
- 賃貸化も難しい
- リフォーム費用も重い
そうなると、最終的に「解体」という選択肢しか残らないケースも増えていきます。
しかし現在、解体費用は以前より大きく上昇しています。
木造住宅でも、立地や条件によっては数百万円単位になることは珍しくありません。
さらに、ここで誤解されやすいのが「解体補助金」です。
建物を壊せば終わりではない

ただし注意が必要なのは、「建物を解体すれば処分しやすくなるわけではない」という点です。
土地需要の高い地域であれば、古い建物を解体して更地として売却することも有力な選択肢になります。
しかし、土地需要の低い地域では事情が異なります。
建物が残っていれば、
- 居住用として使いたい人
- 倉庫や趣味の拠点として使いたい人
など、限られていても取得を検討する層が残る場合があります。
一方で、建物を解体して土地だけになると、活用方法が限られてしまい、地域によってはかえって手放しにくくなるケースもあります。
さらに、建物を解体すると住宅用地の特例が外れるため、固定資産税の負担増加も考慮しなければなりません。
つまり、土地需要の低い地域では、建物を解体した結果、それまで残っていた需要まで失い、手放せない土地になることもあるのです。
「古い家だから解体補助金が出る」わけではない

実務上の感覚として、自治体の老朽危険空き家の解体補助金は、
- 建物の傾き
- 屋根の崩落
- 外壁の著しい損傷
- 躯体の腐食
など、かなり老朽化が進んでいる状態でないと対象になりにくい傾向があります。
昭和初期の建物であっても、
- まだ管理されている
- 倒壊危険性が低い
- 危険度判定の点数が足りない
という理由で対象外になるケースは少なくありません。
多くの自治体では加点方式で審査されており、
- 躯体損傷
- 倒壊危険性
- 周辺への危険度
など、厳しい基準が設けられています。
つまり、「古いから補助金が出る」のではなく、「危険性が高いから補助対象になる」という考え方です。
“まだ何とかできる段階”が一番選択肢が多い
不動産は、状態や市場環境が悪化するほど選択肢が減っていきます。
- 利用する
- 維持する
- 手放す
どの方向を選ぶにしても、判断が後になるほど難しくなります。
特に昭和の住宅は、今後さらに市場環境が厳しくなる可能性があります。
「まだ使える」という段階と、「もうどうしようもない」という段階では、取れる選択肢が大きく変わります。
平成住宅の相続が本格化していくこれからの時代、昭和の建物は今まで以上に“比較される存在”になっていくのかもしれません。
まとめ|昭和住宅を取り巻く環境は変わり始めている

これから10〜15年で、平成時代に建てられた住宅の相続が本格化していきます。
新耐震基準や住宅性能の向上、大手ハウスメーカー住宅の普及などにより、今後の相続不動産市場では「平成の家」が比較対象として増えていきます。
その一方で、昭和の住宅は、
- 耐震性能
- 設備の規格
- 修繕費負担
- 維持管理の難しさ
などから、これまで以上に厳しい立場になっていくことも考えられます。
また、解体費用の上昇、土地需要の低下、老朽危険空き家に対する補助金制度の厳格化などにより、「最後は解体すればよい」という考え方も、以前ほど簡単には成り立たなくなっています。
不動産は、時間の経過とともに選択肢が減っていく傾向があります。
「まだ使える段階」と、「もうどうしようもない段階」では、取れる対応が大きく変わります。
平成住宅の相続が本格化していくこれからの時代、昭和の建物はこれまで以上に「選ばれにくくなる」傾向が強まっていくと考えられます。
さらに、高知県では住宅そのものの競争環境だけでなく、不動産需要を支える人口構造にも変化が生じています。
2025年の国勢調査では、高知県の人口が1920年(大正9年)の調査開始以来、最少となったことも明らかになりました。
人口と不動産需要は密接に関係しています。
建物の新旧だけでなく、不動産需要そのものが減少していくことも考える必要があります。
だからこそ、不動産は「まだ需要があるうち」に引き受け手を探すことが重要です。
将来の負担を減らすためにも、早めの判断が大切になります。


































