皆さま、こんにちは!
高知県で、山林や農地をはじめ、相続後の扱いに困っている土地や、売却・処分が難しい「負動産」を専門としている福島屋代表の上田です。
不動産の売買にあたって、「契約書は不動産会社でないと作れないのでは?」と感じる方は少なくありません。
結論から言えば、不動産売買契約書そのものは、不動産会社(宅建業者)でなくても作成することが可能です。
しかし、この点だけを前提に取引を進めてしまうと、思わぬトラブルや法的リスクにつながる可能性があります。
重要なのは、「どこまでが不動産会社以外でも認められている行為なのか」という線引きを正しく理解することです。
そこで本日は、不動産売買契約書に関する基本的な考え方と、制度上の「合法ライン」について話してまいります。
目次
契約書の作成自体は制限されていない

契約書は、当事者同士の合意内容を書面にしたものです。
そのため、
- 売主・買主本人
- 司法書士
- 行政書士
などが、当事者の依頼に基づいて作成すること自体は、法律上問題ありません。
この点だけを見ると、「不動産会社を通さなくてもよいのでは」と感じるかもしれません。
しかし、不動産取引において本質的に重要なのは、契約書そのものではありません。
問題になるのは「取引への関与の仕方」
不動産取引で法律上問題となるのは、契約書の作成ではなく、取引にどのように関わるかです。
宅地建物取引業法では、次のような行為を業として行う場合、免許が必要とされています。
- 物件の紹介や広告
- 売主と買主のマッチング
- 価格や条件の交渉
- 契約の仲介(媒介)や代理
これらは一般に「仲介」と呼ばれる領域です。
つまり、契約書は作れても、取引を成立させる行為は誰でもできるわけではないというのが制度上の整理になります。
司法書士・行政書士ができること

司法書士
司法書士は、主に登記の専門家です。
- 所有権移転登記
- 抵当権設定登記
- 所有権保存登記
- 登記に関する書類作成
また、契約書についても当事者の依頼に基づく作成補助は可能です。
ただし、売買の仲介や交渉に関与することはできません。
行政書士
行政書士は、契約書などの書類作成を業務としています。
不動産売買契約書の作成も可能ですが、
- 物件の紹介
- 売買のあっせん
- 条件交渉
といった行為は、宅建業に該当するため行うことはできません。
仲介手数料をかけないという選択
不動産会社を介さずに売買を行う理由の一つに、「仲介手数料を抑えたい」という考えがあります。
仲介手数料は取引金額に応じて決まり、場合によっては数十万円から数百万円規模になることもあります。
そのため、費用面だけを見れば、直接取引には一定の合理性があります。
一方で、仲介を介さない場合は、
- 条件整理や交渉を当事者同士で行う必要がある
- 物件に関する情報を自ら確認する必要がある
- 契約内容の不備がそのままリスクになる
といった点も同時に発生します。
重要事項説明という仕組み

不動産取引には、「重要事項説明」という仕組みがあります。
これは、
- 法令上の制限
- 権利関係
- インフラ状況
- 利用上の制約
など、取引判断に大きく関わる内容を契約前に説明するものです。
不動産会社が関与する場合、この説明は宅建士(宅地建物取引士)によって行うことが義務付けられています。
一方で、当事者同士で直接取引を行う場合、この説明義務は存在しません。
そのため、必要な情報の収集と判断は、すべて自己責任となります。
不動産会社の役割とは何か
ここまでを見ると、「契約書が作れるなら問題ない」と感じるかもしれません。
しかし、不動産会社が担っているのは、単なる書類作成ではありません。
- 情報の整理と開示
- 利害関係の調整
- 法的リスクの整理
- 取引全体の安全性の確保
といった役割があります。
特に、条件が複雑な案件や、いわゆる活用が難しい不動産の場合、何を確認すべきか分からない状態そのものがリスクになることもあります。
まとめ|不動産売買契約書の合法ラインと取引の本質
不動産売買契約書については、
- 作成そのものは不動産会社でなくても可能
- しかし、仲介や交渉は宅建業に該当する
というのが制度上の整理です。
また、
- 契約書は「合意の記録」
- 重要事項説明は「判断材料の提供」
という役割の違いも重要です。
形式的に契約書を整えることと、安全に取引を完了させることは別の問題です。
その違いを理解したうえで、自身の状況に応じた進め方を選択することが求められます。































