皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい不動産を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。
「負動産ペイ」とは、本来お金を得られるはずの不動産で、逆に支出(ペイ)を強いられる負担のことを指します。
かつては「土地を持つ=豊かさの象徴」でしたが、少子高齢化と人口減少が進む高知県では、「売れない土地」や「放置された空き家」が急増しています。
その結果、所有者の死後には、相続人が“ツケ”を背負わされるという理不尽な不動産負債が次々と発生しています。
そこで本日は、高知県で深刻化する負動産の現実と、その具体的な対策についてお伝えしてまいります。
目次
高知県で深刻化する「負動産」の連鎖
高知県は全国でもとくに利用目的のない空き家(放置空き家)が多い地域です。
総務省の「住宅・土地統計調査(2023年)」によると、
・賃貸・売却用および二次的住宅を除く空き家率:12.9%(+0.1pt)全国第2位
・賃貸・売却用および二次的住宅を除く空き家数:約50,100戸(前年同数)
つまり、県内にあるおよそ8軒に1軒が「誰も住んでいない・利用目的のない空き家」です。
とくに郡部では、高齢者の単身世帯が相続をきっかけに居住者を失うケースが多く、そのまま空き家となり、固定資産税の負担と管理責任だけが残ります。
結果として、固定資産税などの維持費や管理の責任だけが相続人に残る状況が増えています。

相続人が背負う「理不尽な負担」とは?
1. 固定資産税・管理責任の負担
空き家や農地などの不動産を所有している限り、固定資産税や草刈り・清掃・修繕といった維持費がかかり続けます。
2. 売却しようにも売れない
- 住宅需要の少ない地域にある築古の空き家
- 崖地、狭小地、ハザードマップ上の警戒区域にある土地
- 山林や農地など、法的な利用制限が設けられている不動産
こうした不動産は市場価値がほぼゼロ、あるいはマイナスと見なされ、不動産会社にも断られるケースが多くあります。
3. 放置すると行政指導や罰則のリスク
空き家対策特別措置法の改正により、「管理不全空き家」でも固定資産税の優遇除外や行政代執行の対象になることがあります。
つまり、「相続してしまったがために罰せられる」という、相続人にとってきわめて理不尽な現実です。
4. 相続放棄以外に“逃げ道”がない現実
最も厄介なのは、一度相続してしまうと、原則としてその負動産から逃れられないという点です。
相続放棄をすれば回避できますが、それは「負動産だけでなく、預貯金や他の財産もすべて放棄」することを意味します。
このため、近年では贈与税を負担してでも他の資産を生前に引き継ぎ、負動産だけは相続放棄する人が増えています。

「負動産ペイ」を防ぐための3つの対策
① 早めの専門相談を受ける
相続が発生してから慌てるのではなく、生前のうちに「不動産の整理」を始めることが重要です。
ただし、親の世代は土地や建物を「お金を払って手に入れた資産」として大切にしているため、現実にそれが負動産化していることを受け入れられないケースも少なくありません。
そのような場合には、相続後であっても整理や処分、活用の余地があるかどうかについて、地元の不動産会社に一度相談してみることが考えられます。
② 「無償譲渡」や「国庫帰属制度」の活用
市場での取引が難しい土地であっても、条件を満たすことで、隣地所有者や利活用を検討している個人・法人へ無償で譲渡できる場合や、国庫に引き取ってもらう制度を利用できる場合があります。
これらは、相続放棄という選択を取らずに、負動産の整理を進めるための現実的な手段の一つです。
「手放す」という選択肢を早めに検討することで、将来、子どもや親族へと続いてしまう負担の連鎖を断ち切ることができます。
③ 専門業者による再生対応も視野に入れる
老朽化した空き家や再建築不可物件であっても、再生ノウハウを持つ専門業者であれば、現況のまま対応が検討される余地があります。
残置物が残っている場合でも、状況によってはそのままの状態で進められるケースがあり、測量や境界確定についても、必ずしも必要とならない場合があります。
そのため、物件条件が合えば、一般的な手続きに比べて比較的スムーズに整理が進むこともあります。

まとめ|負動産ペイは真面目な人ほど負担を感じやすい
「負動産ペイ」という言葉は、これからの高知県の相続不動産・空き家問題を象徴しています。
負動産を抱えるということは、たとえ固定資産税の負担が大きくなくても、管理責任や近隣への気遣いが積み重なり、責任感の強い方ほど精神的な負担を感じやすい傾向があります。
とくに、「気持ちを軽くしたい」「将来、子どもや親族に迷惑をかけたくない」「自分の代でけじめをつけたい」と考える方からのご相談が、近年、目立って増えています。
高知県をはじめ、人口減少が加速する地方では、不動産がすでに「資産」ではなく「負債」へと変わりつつあります。
だからこそ、困ってからではなく、「このままでいいのか」と感じた今の段階で、一度整理という視点で向き合うことが大切です。


































