借地権の本当の価値|土地代不要で持ち家を叶える昭和100年の新しい選択

借地権の本当の価値

皆さま、こんにちは!

高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。

「いつかは注文住宅を建てたい」

「自分の土地に家を持ちたい」

そう願う人は多いものです。

しかし現実には、立地の良く整形された土地ほど価格が高く、さらに建築費の上昇も重なって、結果的に無理をして郊外や利便性の低い場所に土地を購入し、家を建てるケースが増えています。

一見「マイホームの夢を叶えた」ように見えても、将来的には資産価値が下がり、売れない・相続で困る“負動産”化するリスクが潜んでいます

今、見直すべきは「所有」ではなく「暮らしの質」、借地権こそ、土地代を抑えながら理想の暮らしを実現する合理的な選択です。

今年で昭和から数えて100年を迎えますが、物価の上昇や国際情勢の不安定化などの影響により、日本の経済は先行きが見えにくく、将来の暮らしや資金計画を立てにくい時代になっています。

そこで本日は、借地権の歴史とその本当の価値について話してまいります。

借地権とは?|土地を借りて“自分の家”を持つ仕組み

借地権とは、他人の土地を借りて建物を建て、所有する権利のことです。

土地の所有権は地主にありますが、建物の所有権は借地人に帰属します。

借地権の歴史と背景

この制度は、明治時代に土地所有が一部の地主に集中していた時代、庶民が家を持てるように整備された仕組みです。

1919年(大正8年)に「旧借地法」が制定され、1992年には「借地借家法」によって現代的に見直されました。

借地権は「古い制度」ではなく、100年以上続く“持ち家を支える日本型の土地利用制度”です。

注文住宅を借地に建てる

借地権のメリット|昭和100年の今こそ再評価される理由

1.土地代不要で、建物にお金をかけられる

借地権の最大の利点は、土地を買う必要がないことです。

その分、建物の品質や快適性に予算を振り分けられます。

耐震性・断熱性・デザイン・素材など、“暮らしの満足度”を高める家づくりが可能です。

2.立地の良い場所で理想の暮らしを実現できる

土地価格が高い中心部ではマイホームを諦める人も多いですが、借地なら好立地での注文住宅が現実的になります。

通勤・通学・買い物の利便性を確保しながら、「土地を借りる」という柔軟な発想で理想の暮らしを手に入れることができます。

3.住宅ローン負担を軽くできる

土地代が不要な分、借入額が抑えられるため、ローン審査が通りやすく、月々の返済も安定します。

地代の支払いはありますが、土地を購入する場合に比べれば、総支出を確実に抑えることができます

4.建替え・再利用も可能(地主の承諾が基本)

建物が老朽化した場合、借地でも建替えは可能です。

ただし、原則として地主の承諾が必要となります(借地借家法第17条)。

■ 承諾が得られない場合の法的手段

地主が正当な理由なく拒否する場合は、裁判所に「増改築許可の申立て」(借地非訟)を行うことで、法的に建替えの許可を得ることができます。

この申立ては、

  • 建物が老朽化して使用に耐えない
  • 建替えが地主の土地利用を妨げない
  • 契約や地域環境の趣旨に反しない

といった条件を満たせば、裁判所が許可を出します。

つまり、地主が一方的に拒否したからといって、建て替えが不可能になるわけではありません。

とはいえ、地主との信頼関係を大切にし、建て替えを気持ちよく承諾してもらえるのが一番望ましい形です。

5.将来は「相続人が返却して完結」できる

借地権の大きな安心は、相続後に土地を返却して終了できる点です。

土地を所有していると、相続人は固定資産税・管理責任・処分費用などを背負うことになりますが、借地であれば、契約満了とともに土地を地主へ返却して完結します。

「資産を残す」よりも、「負担を残さない」
借地権は、次の世代に不動産の重荷を残さず、安心して暮らしを終えるための住まい方です。

借地権売買高知県

新規借地は減少傾向|“借地を買って建て替える”という現実的選択

新たな借地契約を結ぶケースは減少していますが、既存の借地権付き建物を購入するという方法があります。

借地権を購入する流れ

  1. 購入前に、地主の承諾の可否を確認する
    まずは建物所有者を変えてよいか、地主(貸地人)に事前相談します。
    ※ここを省くと、購入後に承諾拒否で進まなくなる恐れがあります。
  2. 地主の承諾を得たうえで、借地権付き建物を売買する
    地主の承諾を前提に売買契約を締結し、譲渡承諾書を交付してもらいます。
  3. 借地権を正式に引き継ぐ(譲渡+承諾の手続き)
    売買契約と承諾書のセットにより、新しい借地人としての地位が確定します。
  4. 建物解体・新築(注文住宅)へ進む
    ここで初めて建替えの手続きに進みます。
    建替えには「建替え承諾」または「裁判所の承諾に代わる許可」が必要になります。

ただし、最初から「新築・建替えを前提にした承諾」を求めると、地主が難色を示しやすく、承諾が得られないケースが多く見られます。

そのため、まず「建物所有者の変更に関する譲渡承諾」を取り、その後に「建替え承諾」を個別に協議するという段階的な進め方 が、最も安全で成功率の高い方法です。

この方法なら、立地の良い場所に土地代不要で家を建てられ、かつ将来的な相続リスクも回避できます。

「安さだけで土地を所有する」よりも、「良い立地を借りて建てる」方が、資金効率・居住満足度・出口戦略の三拍子がそろった、合理的な不動産選択です。

借地契約

まとめ|持ち家派こそ知っておきたい「借地という選択」

これからの時代に大切なのは、「土地を所有する」ことではなく、どこで・どんな暮らしを実現し、相続のときにどう受け渡すかという視点です。

借地権を活用すれば、

  • 土地代不要で理想の注文住宅を建てられる
  • 好立地で快適な暮らしができる
  • 将来は相続人が返却して負担を残さない

つまり、夢のマイホームを賢く叶え、すっきり終われる仕組み”です。

土地の所有に縛られない暮らし方。
それが、昭和100年の今こそ見直される「借地権の本当の価値」です。

大相続時代の到来で、借地権や底地の整理が本格化している

相続をきっかけに、借地権や底地の扱いに困る方が年々増加しています。

しかし、その一方で、借地権付き不動産を探している購入希望者にとっては好機となるケースもあります。

地元の不動産会社に相談し、最新の借地情報を把握することで、好立地での注文住宅建築という新しい選択肢が見えてくるかもしれません。

ABOUT US
上田 司代表取締役/宅地建物取引士
相続した負動産で苦労した自身の経験を原点に、同じような悩みを抱える方の支えになりたいとの想いから、負動産専門のサポート事業を開始。相続不動産を中心に、各分野の専門家と連携し、売却の難しい家や土地の再生・譲渡・国庫帰属など多角的な解決策を提案。ご相談者様一人ひとりの事情に寄り添い、不動産の整理・処分を全力でサポートしています。