皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
「これはもう農地じゃないはずだ」そう思っていた土地が、いざ処分しようとするとまったく動かない。
非農地の処分に悩む方の多くが、ここで初めて立ち止まります。
背景には、土地そのものの問題だけでなく、時代の変化があります。
そこで本日は、非農地の処分に困ったとき、まず整理すべきことについて話してまいります。
目次
昭和の自家菜園用農地が、いま相続負動産になっている

現在問題になっている農地の多くは、もともと本格的な営農を目的としたものではありません。
戦時中の食糧難を経験したこともあり、昭和の時代、祖父母世代は「いざという時に自分たちで食べる分を確保する」という意識を強く持っていました。
その結果、
- 自家消費用の野菜を作るため
- 宅地の近くや集落の一角で
- 生活の延長として
畑を取得するケースが各地で見られるようになります。
当時は、農地を持つこと自体が特別な負担になることはなく、地域内で耕作する人も多く、使わなくなっても次の担い手が自然と見つかる時代でした。
しかし、その前提はすでに大きく変わっています。
亡くなったあと、使われないまま年月だけが経つ

祖父母が亡くなり、相続が発生すると状況は一変します。
- 相続人は畑を使わない
- 遠方に住んでいる
- 使う予定もない
その結果、畑は耕作されないまま放置され、何年、何十年と年月だけが過ぎていきます。
こうして生まれた土地が、今まさに、子や孫の世代に「負担」としてのしかかってきているのが現実です。
登記・課税・実態は一致しない

非農地の処分が行き詰まる原因の多くは、登記・課税・実態が食い違ったまま放置されていることにあります。
現場では、次のような組み合わせが珍しくありません。
① 登記が農地のまま残っているケース
- 登記地目:畑
- 課税地目:雑種地・宅地
- 実態:未利用地・駐車場など
長年耕作されておらず、見た目も農地ではない。課税上も農地扱いではないため、「これはもう非農地だろう」と考えてしまいがちです。
しかし、登記地目が「畑」である限り、法的には農地として扱われる余地が残ります。

② 課税が農地扱いのままになっているケース
- 登記地目:雑種地
- 課税地目:畑
- 実態:未利用地・資材置き場など
こちらは一見すると安心しがちなケースですが、課税地目が「畑」のままになっている点が問題になります。
このような土地では、所有権移転(名義変更)の段階で、農地として扱われ、手続きが止まってしまうことがあります。
農地は、農業委員会の許可がなければ、売買か無償かを問わず、自由に譲渡することができないためです。
このように、登記・課税・実態のズレこそが、「非農地のはずなのに処分できない」という状況を生み出しています。
非農地証明とは何か
こうした行き詰まりの中で、多くの方が調べ始めるのが「非農地証明」です。
非農地証明とは、
その土地が、一定期間以上農地として利用されておらず、農地として復元することも困難である
と認められた場合に、農業委員会が事実関係を証明するものです。
ここで重要なのは、非農地証明は「申請すれば必ずもらえるもの」ではなく、要件を満たした場合にのみ認められるという点です。
ケース別に異なる手続きのしかた
非農地証明は万能ではなく、土地の状態によって必要な手続きの順番が異なります。
① 登記地目が「畑」の場合
- 非農地証明を取得
- その後、地目を「雑種地」等へ変更
- 地目変更が済んでから、所有権移転(名義変更)
この順番を踏まない限り、売却や贈与の話は先に進みません。

② 登記地目が「雑種地」だが、課税地目が「畑」の場合
このケースでは、非農地証明が使えないことがあります。
理由は、非農地証明の申請にあたり、多くの自治体で求められる「長期間、課税上も農地として扱われていないこと」を証明できないためです。
そのため、
- 課税担当課に依頼し
- 課税地目を「雑種地」または現況の地目に修正してもらう
- そのうえで、所有権移転(名義変更)
という手続きが必要になります。
なお、法務局で登記を行う際には課税地目の確認が行われるため、この工程を省くことはできません。
登記だけ先に進めようとしても、手続きは止まることになります。

まとめ|非農地の処分は、整理の順番がすべて
昭和の時代に取得された自家菜園用の畑が、時代の変化とともに「相続負動産」へと姿を変えています。
土地の処分を考える前に、まず整理すべきことは次の通りです。
- 登記上の地目は何か
- 課税地目はどうなっているか
- 農地法の影響は残っていないか
- 非農地証明が使える状態か
現状を正しく理解し、順番を間違えずに向き合えば、土地は「重荷」から「整理できるもの」へと必ず変えていけます。
それが、自分の代で不動産整理に向き合うと決めた方の、いま選べる行動です。

































